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ブランディングの手順 ー Branding Mapの紹介

こんにちは、広瀬です。最近の投稿はブランディングやストーリーテリングなど、マーケティングの話が中心になっていますが、今回もブランディングのお話をさせて下さい。


今日の内容は、LinkedInで見つけたトピックの紹介です。ブランディングの手順がきれいにまとまっているのと、BRANDING MAPと言うイメージ図があまりにも私の心に刺さったので、皆さんとシェアしようと思った次第です。私の勝手な判断で恐縮ですが、LinkedInの記事は個人の記事で日本語に翻訳しても問題はなさそうである、またほぼ英語の世界で仕事関連の記事が多いのと、インスタのように軽い気持ちでユーザ登録している日本人も少ないだろうと思い、全文の要約、ポイント、全文和訳、そして最後に私の補足説明を載せています。
多分、この記事を読んでくださっているあなたは冒頭のBRANDING MAPのイメージ図に「何だこれは?」と思った方ではないでしょうか? そう思った方には新たな発見があるかもしれません。そう思わず、たまたまこの記事を読んでいる方には、ブランディングの面白さを感じていただけるかもしれません。日々、当たり前と思っているブランディングも、このように効果的な手順にまとめると、今まで行っていた活動は実はブランディングの一環ではなく、なんとなくマーケティングの一部の活動として一貫性がなく行っていたかも、と言う方々も多くいることでしょう。

では、早速本題に入りたいと思います。元ネタはこちらです。

要約

ブランディングは、消費者の心に製品やサービスの独自のアイデンティティを創り出し、競合他社との差別化を図るプロセスです。市場とオーディエンスを理解し、明確なブランドアイデンティティを定義し、一貫した視覚的および言語的要素を作成し、ブランド認知を構築し、継続的に監視し適応することが重要です。Apple、Nike、Coca-Colaのような成功したブランドは、戦略的なブランディングの力を示しています。効果的なブランディングは長期的な顧客関係を築く鍵です。

5つのポイント

  1. 市場とオーディエンスの理解
    市場調査とオーディエンスセグメンテーション。

  2. ブランドアイデンティティの定義
    ブランドの目的、価値観、個性の確立。

  3. 視覚的および言語的要素の作成
    ブランド名、ロゴ、視覚アイデンティティ、ブランドの声とメッセージ。

  4. ブランド認知と価値の構築
    統合マーケティングコミュニケーション、顧客体験の強化、一貫性と真実性の維持。

  5. 監視と適応
    ブランドパフォーマンスの追跡とフィードバックを基にした戦略の適応。

ブランディングの手順

私たちはブランディングについて何を理解しているでしょうか?

ブランディングとは、消費者の心に商品、サービス、または会社の独自のアイデンティティやイメージを作り出すこと。

しかし、それだけではありません。 目標は、競合他社とブランドを差別化し、ターゲットオーディエンスの間で強く、ポジティブな認識を構築することです。以下は、ブランディングがどのように機能するかについての詳細な見解です。

1.市場とオーディエンスの理解

  • 市場調査

    • 業界のトレンド、顧客のニーズ、好み、問題点を理解するために市場調査を実施します。

    • 競合他社を分析してギャップや機会を特定します。

  • オーディエンスセグメンテーション

    • 人口統計、心理統計、行動特性に基づいてターゲットオーディエンスをセグメント化します。

    • 異なるセグメントを代表する詳細なバイヤーペルソナを開発します。

2.ブランドアイデンティティの定義

  • ブランドの目的とミッション

    • ブランドの核心的な目的とミッションステートメントを定義します。これは、ブランドが存在する理由と達成しようとしていることを表します。

  • ブランドの価値観

    • ブランドが支持する主要な価値観を特定します。これらの価値観はターゲットオーディエンスに共鳴し、ブランドの行動とメッセージを導くべきです。

  • ブランドの個性

    • ブランドを人間化するブランドの個性を開発します。これは「親しみやすい」、「プロフェッショナル」、「革新的」、「冒険的」などの形容詞で表現できます。

3.視覚的および言語的要素の作成

  • ブランド名とロゴ

    • 記憶に残りやすく、意味のあるブランド名を選びます。

    • ブランドのアイデンティティと価値を視覚的に表す独特のロゴをデザインします。

  • 視覚的アイデンティティ

    • カラーパレット、タイポグラフィ、イメージ、デザイン要素を含む統一された視覚的アイデンティティを開発します。

    • すべてのブランド接点(ウェブサイト、パッケージ、広告など)で一貫性を確保します。

  • ブランドの声とメッセージ

    • ブランドの個性に一致するブランドの声を確立します。この声はすべてのコミュニケーションにおいて一貫しているべきです。

    • ブランドの価値提案を明確に伝え、オーディエンスに共鳴するキーメッセージやタグラインを作成します。

4.ブランド認知と価値の構築

  • 統合マーケティングコミュニケーション

    • ブランドの可視性を高めるために、さまざまなチャンネル(ソーシャルメディア、メール、コンテンツマーケティング、広告)でマーケティングキャンペーンを実施します。

    • ストーリーテリングを使用して、オーディエンスと感情的なつながりを作り出します。

  • 顧客体験

    • すべての顧客との対話がブランドの価値と約束を強化することを確認します。

    • 優れたカスタマーサービスを提供し、信頼と忠誠心を築きます。

  • 一貫性と真実性

    • 認識と信頼を築くために、すべてのブランディング努力に一貫性を持たせます。

    • ブランドの価値と約束に忠実であり続けます。

5.監視と適応

  • ブランド監視

    • ブランド認知度、顧客満足度、ブランド価値などの指標を通じてブランドのパフォーマンスを追跡します。

    • ソーシャルリスニング、調査、フィードバックフォームなどのツールを使用してインサイトを収集します。

  • 適応と進化

    • 市場の変化、顧客のフィードバック、ビジネス目標に基づいてブランディング戦略を適応させる準備を整えます。

    • ブランドを関連性のある競争力のあるものに保つために継続的に革新します。

成功したブランディングの例

Apple

Appleのブランディングは、革新、シンプルさ、プレミアム品質に基づいています。一貫したミニマリストデザインと、ストーリーテリングを通じた強い感情的なつながりにより、忠実な顧客基盤を築いています。

Nike

Nikeの「Just Do It」キャンペーンは、強力なストーリーテリングと感情的なブランディングの例です。インスピレーション、アスレチック、エンパワーメントに焦点を当てることで、オーディエンスに深く共鳴しています。

Coca-Cola

Coca-Colaのブランディングは、幸福と一体感を強調しています。赤と白のカラースキームなどの一貫した視覚要素と、記憶に残る広告キャンペーンを通じて、強力なグローバルプレゼンスを確立しています。

まとめ

ブランディングは単なるロゴやキャッチーなタグラインではなく、ビジネスのアイデンティティの本質であり、オーディエンスとの感情的なつながりの方法です。
よく実行されたブランディング戦略は、製品やサービスを差別化するだけでなく、信頼、忠誠心、長期的な顧客関係を構築します。
市場とオーディエンスを理解し、明確で魅力的なブランドアイデンティティを定義し、統一された視覚的および言語的要素を作成し、すべての接点で一貫性を維持することで、ブランドを向上させ、持続的な影響を与えることができます。
Apple、Nike、Coca-Colaのような成功したブランドは、戦略的なブランディングの変革力を示しています。これらのブランドは、オーディエンスに共鳴し、ビジネスの成長を促進する強力で認識しやすいアイデンティティを構築しています。 効果的なブランディングは継続的なプロセスであり、継続的な監視、適応、革新が必要です。ブランドの価値と目的に忠実であり続けることで、時の試練に耐え、顧客との意味のあるつながりを育む強力なブランドを作り出すことができます。
ブランディングの力を活用して、何か特別なものを作りましょう!

補足説明

BRANDING MAPの流れは、ここでは逐一説明はしません。多分、見ていただければご理解いただけると思います。ここでは左端にある「COLLATERAL」のリストについて補足します。実は、このリストが私の心に刺さった箇所です。日本企業やベンチャーで立ち上がったばかりの企業のマーケティングご担当者は、CORATERALにまで気が回っていないのでは、と思った次第です。

COLLATERALとは?

ブランディングやマーケティングの文脈における「コラテラル」とは、企業やブランドがメッセージを伝えるために使用する文房具・小物・印刷物やデジタル媒体の総称です。これらのアイテムは、ブランドのアイデンティティを視覚的に表現し、一貫性のあるメッセージを伝えるために重要です。コラテラルは、ブランド認知度を高め、信頼性を構築し、顧客との関係を強化するためのツールとして機能します。以下に、各アイテムが意味することやその必要性について説明します。一部の項目では理解を高めるために、テーマパークを引き合いに出しています。

筆者注:私の経験上のコメントですが、コラテラルは外資企業ほど力を入れていると感じています。私が在籍していた、当時世界第2位のコンピュータメーカーでは、会社ロゴの入ったボールペン、名刺入れ、マグカップ、Tシャツ、ポロシャツ、トレーナー、小さめなバスタオル、置き時計、温湿度計等など、オフィスワーカーであれば誰でも欲しくる小物類をたくさん在庫していて、社員はもちろん、お客様にも営業が配って歩くなど、会社のブランディング活動を日常的に行っていました。また、セミナー開催時などにもお客様向けのお土産として、その時折の品物に会社のロゴを入れたり、手提げ紙バッグをそのブランドに合わせて作ったりと、色々と力を入れていました。
また、りんごのロゴで有名な会社では言うまでもありませんが、アップルファンであれば誰でも欲しがる非売品の小物類が結構ありました。私が在籍していた時はレインボウのりんごがロゴで、今でも小さな水筒が残っています。
このように日常的に、それも無意識に企業ブランディングを自ら行っているためか、会社に対する愛着心や忠誠心、社員間の連帯意識が高まり、その結果業績向上にも繋がったのではないかと思います。したがって、ブランディングはマーケターが知っていれば良い知識ではなく、経営者も十分に理解しなければならない知識です。

Business Card(名刺)

  • 説明: 名刺は、連絡先情報が記載された小型のカードです。デザインにはブランドロゴ、カラースキーム、フォントなどが含まれます。

  • 必要性: 名刺は、初対面の際の重要なツールです。プロフェッショナルな印象を与え、ブランドの一貫性を示します。ネットワーキングやビジネスミーティングでブランドを記憶に残す手段となります。

Stationery(文房具)

  • 説明: 文房具には、手紙、封筒、メモ帳、ノートなどが含まれます。これらにはブランドのロゴやカラースキームが反映されています。

  • 必要性: 統一されたデザインの文房具は、公式なコミュニケーションにおいてブランドの一貫性を保ち、信頼性を高めます。企業のプロフェッショナリズムを強調し、ブランド認識を強化します。

Flyers(フライヤー)

  • 説明: フライヤーは1枚ペラのチラシの意味で、イベントや製品、サービスのプロモーション用の印刷物です。視覚的に魅力的なデザインが特徴です。外資企業ではチラシとは言わず、フライヤーが一般的かもしれません。

  • 必要性: フライヤーは、ターゲットオーディエンスに直接情報を届ける効果的な手段です。イベントや新製品の情報を迅速に広めることができます。

Menus(メニュー)

  • 説明: メニューは、飲食店やカフェで提供される料理や飲み物のリストです。ブランドのデザイン要素が組み込まれています。テーマパークのレストランメニューを思い出してみて下さい。テーマパークを連想させるキャラクターが載ってますよね。

  • 必要性: 見やすくデザインされたメニューは、顧客にとっての利便性を高め、ブランドのアイデンティティを強調します。食事体験全体を通じてブランドを強化します。

Packaging(パッケージ)

  • 説明: パッケージは、商品を保護し、魅力的に見せるための外装です。ブランドロゴやカラースキームが含まれます。テーマパークで買い物したお客様は帰路では歩く広告塔として、広く周りの人に購買意欲を促進しています。

  • 必要性: パッケージは、製品の第一印象を決定する重要な要素です。高品質でブランドに合ったデザインは、製品の価値を高め、購買意欲を促進します。

Uniforms(ユニフォーム)

  • 説明: ユニフォームは、企業の従業員が着用する統一された服装です。ブランドのロゴやカラースキームが反映されています。テーマパークのスタッフの役割に応じたユニフォームを思い起こしてみて下さい。

  • 必要性: 統一されたユニフォームは、プロフェッショナルな印象を与え、ブランドの一貫性と認識を強化します。また、従業員のチームスピリットを高めます。

Signage(サイネージ)

  • 説明: サイネージは、店舗やオフィスの表示や看板です。ブランドロゴ、カラースキーム、フォントが使われます。

  • 必要性: サイネージは、ブランドの視認性を高め、顧客が場所を見つけやすくする役割を果たします。一貫したデザインはブランド認識を助けます。

Stickers(ステッカー)

  • 説明: ステッカーは、ブランドロゴやメッセージが印刷されたシールです。

  • 必要性: ステッカーは、手軽に配布できるプロモーションツールであり、ブランドの露出を増やすのに役立ちます。魅力的なデザインは、使用される可能性を高めます。

Swag(スワッグ)

  • 説明: スワッグは、プロモーション目的で配布されるブランドグッズ(例: マグカップ、Tシャツ)。

  • 必要性: スワッグは、ブランドロイヤリティを高めるための効果的な手段です。顧客や従業員にとって価値のあるアイテムを提供することで、ブランドとのポジティブな関係を築きます。

Invoices(請求書)

  • 説明: 請求書は、取引やサービスに対する料金を請求するための書類です。ブランドロゴやカラースキームが含まれます。テーマパークで買い物したときのレシートを思い出してみて下さい。テーマパークを連想させるキャラクターやロゴなどがヘッダーに印刷されていて、誰が見ても特定のテーマパークで発行されたレシートと直感的に思うでしょう。

  • 必要性: プロフェッショナルで統一されたデザインの請求書は、企業の信頼性を高め、ブランドの一貫性を維持します。ビジネス取引におけるブランドイメージを強化します。

最後に:ブランディングとストーリーテリングでCrazy Quiltを強化する方法

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。このブランディングは「ストーリーテリングの4つのポイント」でも述べたように、EffectuationのCrazy Quiltの原則を強化するツールとして使えると思っています。自分が持っている技術・商品・サービスを効果的に伝えたい時、ブランディングの考えが活きてきます、そしてストーリーテリングで周りの人たちをワイワイガヤガヤと巻き込むことがスムーズにできるかもしれません。
以下に、ブランディングとストーリーテリングでCrazy Quiltを強化する方法を書いておきますので参考にしていただけると幸いです。

共通のビジョンを構築する

  • ブランディング: 強力なブランドアイデンティティを構築することで、パートナーシップの共通のビジョンや目標を明確に示します。ブランドのミッション、ビジョン、価値観を共有することで、各パートナーが同じ方向を目指して協力しやすくなります。

  • ストーリーテリング: ブランドの背後にあるストーリーを共有することで、パートナー間の共感と理解を深めます。感情的なつながりを築くことで、信頼関係が強化され、共同作業がスムーズに進みます。

パートナーのエンゲージメントを高める

  • ブランディング: 一貫したブランドメッセージを発信することで、パートナーやステークホルダーのエンゲージメントを高めます。信頼性の高いブランドは、協力関係を築く際に重要な役割を果たします。

  • ストーリーテリング: 共同プロジェクトの成功ストーリーや挑戦を乗り越えた経験を共有することで、パートナーシップの絆を深めます。これにより、パートナーが積極的に関与し、貢献しようという意欲が高まります。

柔軟なアプローチを促進する

  • ブランディング: ブランドのアイデンティティや価値観を基盤にしつつ、柔軟なアプローチを取り入れることで、変化に対応しやすくなります。ブランドがしっかりしていると、変化の中でも一貫性を保つことができます。

  • ストーリーテリング: ストーリーを通じて、柔軟な対応やイノベーションの重要性を伝えることで、パートナーシップの中で柔軟な思考を促します。過去の成功事例や教訓を共有することで、適応力が高まります。

共同の価値創造を実現する

  • ブランディング: 各パートナーの強みやリソースを統合し、ブランドとしての一貫性を持ちながら、共同で価値を創造する環境を整えます。強力なブランドは、協力して新しい価値を生み出す際の信頼性を高めます。

  • ストーリーテリング: 共同プロジェクトの成功ストーリーを発信し、新たなパートナーシップの可能性を広げます。これにより、パートナーシップがさらに強化され、持続可能な価値創造が促進されます。


皆さんの独立・起業や新規事業立ち上げの参考になれば幸いです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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