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ストーリーテリング4つのポイント

こんにちは、広瀬です。今までEffectuation理論に関して色々と意見を述べてきましたが、これからは時々Harvard Business Review誌を読んで感銘を受けた記事や現役の皆さんとシェアしたい記事を紹介していきたいと思います。ただし、ここで紹介する内容は記事の翻訳や要約ではなく、その記事が読者に訴求している箇所を抽出し、加筆した内容となります。また、まとめた内容と関連する話にも言及していきますので、皆さんの参考になれば幸いです。なお、Harvard Business Reviewに関するNoteは、表題のイメージ写真に今回使用している私の個人事務所のイメージ写真を使用しますのでよろしくお願いします。
と言うことで、今日紹介する記事はこれです。

原題をそのまま訳すと「大胆な変革を促すストーリーテリング」となりますが、お話する内容は記事の中で結論付けている「ストーリーテリング4つのポイント」についてです。
参考までに冒頭のサマリー原文と和訳を以下に示します。4つのポイント部分を太字にしておきました。

Summary. When tackling urgent organizational problems, leaders usually work hard to identify underlying causes, tap a wide range of knowledge, and experiment with solutions. But once they’ve mapped out a plan, there’s one more crucial step they must take: crafting a story so compelling that it will harness their organizations’ energy and direct it toward change. Drawing on decades of experience helping senior executives lead large-scale transformations, Harvard professor Frei and leadership coach Morriss present an effective way to approach that challenge. They outline four key steps: (1) Understand your story so well that you can describe it in simple terms, (2) honor the past, (3) articulate a persuasive mandate for change, and (4) lay out a rigorous and optimistic path forward.

Next you need to get others behind your story. Emotions can bring it to life and help drive employees’ commitment to change. You also should promote your narrative aggressively. Share it wherever the opportunity arises—in speeches, interviews, town hall meetings, one-on-ones—and incorporate it into different formats, from videos to images to guidebooks.

サマリー:緊急の組織問題に取り組むとき、リーダーは通常、根本原因を特定し、幅広い知識を活用し、解決策を試行錯誤するために努力します。しかし、一度計画を立てたら、もう一つ重要なステップがあります。それは、組織のエネルギーを引き出し、変革に向けて導くような、非常に魅力的な物語を作り上げることです。ハーバード大学の教授フレイとリーダーシップコーチのモリスは、上級幹部が大規模な変革をリードするのを助けた数十年の経験に基づいて、この課題に取り組む効果的な方法を提示しています。彼らは4つの重要なステップを概説しています。(1)物語を非常に理解し、簡単な言葉で説明できるようにする(2)過去を尊重する(3)説得力のある変革の必要性を明確に述べる、(4)厳密でありながら楽観的な進むべき道を示す

次に、他の人たちをあなたの物語の後ろ盾にする必要があります。感情は物語を生き生きとさせ、従業員の変革へのコミットメントを促進するのに役立ちます。また、物語を積極的に宣伝することも重要です。スピーチ、インタビュー、タウンホールミーティング、1対1の場など、機会があるたびにそれを共有し、ビデオ、画像、ガイドブックなど、さまざまな形式に取り入れてください。

Harvard Business Review, Storytelling That Drives Bold Change.

以前「ブランディングのお話」と言うNoteのストーリーテリングの章で、スティーブ・ジョブズがiPhoneの未来を描くストーリーテリングを行っていた例を挙げましたが、今回はストーリーテリングの基本について話します。

なお、Effectuation理論の観点からストーリーテリングを見ると、Crazy Quiltの原則に含まれる「効果的な問いかけ」に相当する「効果的な語りかけ」と考えて良いと思います。ストーリーテリングの技術はCrazy Quilt活動で強力な仲間集めのツールになることでしょう。


ストーリーテリングとは?

ストーリーテリングとは、情報やメッセージをストーリーを通じて伝える手法です。ストーリーには人々の感情や関心を引きつける力があり、その力を活用してメッセージを伝えることができます。
プロジェクトでリーダーが夢を語ることや経営者がビジョンを実現するためのアイデアを語ることは、ストーリーテリングの一形態です。これらの行為は、情報やメッセージをストーリーを通じて伝えることを意味し、聴衆や参加者の関心を引きつけ、共感を生み出すことが目的です。リーダーや経営者がプロジェクトやビジョンに関するストーリーを語ることで、それらの目標をより鮮明に伝え、チームや組織を動機付け、方向付けることができます。

ストーリーテリングの重要性

ストーリーテリングは、リーダーシップやコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を果たします。ストーリーは人々の心に響き、情報やメッセージをより効果的に伝えることができます。また、ストーリーを通じて共感を生み出し、人々を行動に駆り立てることができます。

ストーリーテリング活用場面

ストーリーテリングを効果的に活用することで、メッセージの伝達力が強化され、関係者の共感や信頼を得ることができます。

1.新規事業立ち上げプロモーション

新規事業の立ち上げでは、ストーリーテリングを活用してビジョンや目的を関係者に伝え、一体感を醸成します。背景や動機をストーリーとして共有することで、投資家やチームメンバーの共感と信頼を得ることができます。また、顧客に対しても新規事業の価値を魅力的に伝える手段として有効です。

2.マーケティングのブランディング

ブランドの歴史や価値観を物語ることで、消費者に深い共感を呼び起こします。例えば、企業の創業者の苦労話や成功への道のりを共有することが効果的です(創業者や個人をブランディングの対象とするやり方)。

3.従業員のモチベーション向上

社内での成功事例や挑戦の物語を共有し、従業員のやる気を引き出します。リーダーが個人的な経験を話すことも、チームの団結力を高めます。

4.製品プロモーション

製品の開発秘話やユーザーの成功体験を物語として伝え、製品の魅力や価値を訴求します。製品の未来像やビジョンも語ることで、消費者の期待を高めます。

5.カスタマーエンゲージメント

顧客の声やレビューをストーリー化し、他の顧客に共有することで、製品やサービスに対する信頼感を醸成します。

6.企業の社会的責任(CSR)

企業の環境保護活動や社会貢献の取り組みをストーリーとして紹介し、ステークホルダーからの支持を得ます。具体的なエピソードを通じて、企業の真摯な姿勢を伝えます。

7.リーダーシップトレーニング

リーダーが自身の失敗と成功のストーリーを共有することで、次世代のリーダーを育成します。実際の経験に基づくストーリーは、学習効果を高めます。

8.社内コミュニケーション

会社のビジョンやミッションをストーリー形式で伝え、全社員の共通理解を促進します。これにより、組織全体の方向性が統一されます。

9.採用活動

企業文化や職場環境をストーリーとして伝えることで、求職者に魅力を感じさせます。社員の一日を描いたストーリーなども有効です。

10.プレゼンテーション

プレゼンテーションでの複雑なデータや概念をストーリーとして解説し、聴衆の理解と関心を引きます。具体的な事例を交えることで、説得力が増します。

ストーリーテリング4つのポイント

以下に示す4つのステップはストーリーに、一貫性を持たせ、感情に訴えかけ、具体的な行動を促すためのものです。この4つのポイントを順に実施することで、強力で一貫したストーリーが構築され、関係者の心を動かし、組織全体の行動を変える力を持つストーリーが生まれます。

1.簡単に説明できるように理解する

リーダーは変革のストーリーを深く理解し、それを簡潔に説明する能力が重視されます。リーダーは、変革の目的、背景、および方向性を理解し、それを専門用語や複雑な言葉を避けて明確に伝える必要があります。ストーリーを簡単に説明することで、組織のメンバーが変革の意図を理解しやすくなります。

2.過去を尊重する

組織の過去を尊重し、理解することが強調されます。リーダーは、過去の成功や失敗、および組織の文化を認識し、尊重する必要があります。過去を尊重することで、組織のメンバーが変革に対する信頼と安心感を持ち、変革プロセスへの参加意欲が高まります。

3.変革の必要性を明確に述べる

リーダーが変革の必要性を明確に伝えることが重要です。リーダーは、組織が直面している問題や課題を率直に認識し、それらに対処するための必要性を明確に説明する必要があります。変革の必要性を明確に述べることで、組織のメンバーが変革に共感し、参加意欲を高めることができます。

4.厳密でありながら楽観的な道を示す

リーダーは厳密であると同時に楽観的なビジョンを示すことが求められます。リーダーは、変革の実現可能性や成功の見込みを示しながら、明るい未来への道筋を描く必要があります。厳密であると同時に楽観的なビジョンを示すことで、組織のメンバーが変革に対する信頼と希望を持ち、変革プロセスに前向きに取り組むことができます。

ストーリーを組み立てる

これまでに紹介した4つのポイントを連携させ、効果的なストーリーを作り上げるプロセスについて説明します。各ポイントを個別に実行するだけでなく、それらを統合して一貫性のあるストーリーを作ることが重要です。このプロセスを通じて、組織全体が共通のビジョンに向かって進むための道筋を明確にします。

1.自分のビジョンやメッセージを明確に理解する

ストーリーを作る前に、自分の伝えたいことや目指すビジョンを明確に理解しましょう。ビジョンが明確であれば、ストーリーをより一貫性のあるものにすることができます。

2.過去の成功/失敗/組織文化など組み込む要素を選択する

ストーリーには過去の経験や現状の文化など、聴衆や読者が関心を持つ要素を組み込むことが重要です。これによって、ストーリーがよりリアリティを持ち、共感を生み出すことができます。

3.起承転結の流れを決める

ストーリーの流れを考え、聴衆や読者が関心を持ち続けるような魅力的な展開を設計しましょう。

4.適切な言葉や表現で生き生きとさせる

言葉の選択や表現の工夫によって、ストーリーをより生き生きとさせることができます。具体的な描写や感情を込めた表現を使い、聴衆や読者に強烈な印象を与えるよう心がけましょう。

5.聴衆や読者の関心を引きつける要素を加え魅力的にする

ストーリーには、聴衆や読者の関心を引きつける要素を加えることが重要です。興味深いキャラクターや予想外の展開などを取り入れ、ストーリーをより魅力的にすることができます。

繰り返し語りかける

繰り返しを行う際には、同じ内容をただ繰り返すのではなく、異なる視点や例を用いて補強します。これにより、メッセージが多角的に理解され、より効果的に伝わります。

1.スピーチやプレゼンテーション

同じメッセージを繰り返し強調します。これにより、聴衆がメッセージを覚えやすくなり、その重要性がより深く浸透します。

2.インタビューや会議での意見表明

一貫したメッセージを繰り返し述べます。これにより、組織内外の関係者に対して一貫性のあるビジョンや方針を伝えることができます。

3.メール、メッセージ、チームミーティング

さまざまなコミュニケーションチャネルを利用してメッセージを繰り返し伝えます。これにより、メンバーが継続的にメッセージに触れ、理解を深めることができます。

まとめ:リーダーの感情とストーリーテリング

ストーリーテリングの最後に強調したいのは、感情を見つけて活用することの重要性です。リーダーの感情は組織全体に大きな影響を与えます。ポジティブな感情はチームを鼓舞し、ネガティブな感情は不安を招くことがあります。感情を適切に管理し、特に感謝や共感を示すことは、信頼を築き、組織全体のモチベーションを高めるために不可欠です。リーダーは自己認識を高め、自分の感情がどのように伝わっているかを常に意識することで、変革を成功に導く強力なストーリーを構築できます。

皆さんの独立・起業や新規事業立ち上げストーリーテリングの参考になれば幸いです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

P.S.
次回はストーリーテリングとリーダーシップの密接な関係や、経営理論にもストーリーテリング的な理論がある、と言うお話をしたいと思います。
ストーリーテリングは結構奥が深いです。

Transformational Leadership
Sensemaking Theory

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