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21世紀の基本的人権、GDPRとは何か??

「個人データ保護は、21世紀の基本的人権である。」

GDPR(一般情報保護規則)という言葉を聞いたことがあるだろうか??

2018年5月25日にEUで施行されたEU+アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー(=EEA)で適用される、EU域内個人情報保護法の法律だ。

「???」

GDPRの一体何が、私たちに関係あるんですか。
と、考える人も多いかもしれない。

うむ、これが意外と関係大有りなのだ。
今後、世界のデジタル潮流は大きく3つに分類されていく。

①アメリカ流:GAFAMを中心として企業が個人のデータを牛耳る。
②中国流:官民が連携し、政府が個人のデータを牛耳る。
③ヨーロピアン流:個人のデータを法律で保護する。

③のヨーロピアン流データ保護のど真ん中の法律が、

GDPR(一般情報保護規則)

という個人情報保護法の法律になる。

日本は、まだこの3つの潮流に対する明確なポジションを示してないが、
いずれはどこかにポジショニングし、フォローしていかなければならない。

①無料で個人データを企業に引き渡し、欲しいモノを欲しい時におススメしてくれる快適生活。

②信頼できる政府に個人データを引き渡し、AIによってあなたの信用スコアが判断される生活。

③自分の個人データを法律の中で保護し、多少の不便さをこうむってもプライバシーを守る生活

あなたは、自分自身のデータをどのように運用し、どんな生活を送りたいのか。

その選択をしなければならない日は、遠くない。

■あなたより、企業があなたを知る時代。

FACEBOOK,Instagram,Twitter,Gmail,Youtube

どれもアカウント持ってません!!

という人は、なかなかの勇者だろう。

実は、FACEBOOKアカウントを作成した瞬間に、あなたのPCなりスマホなりに、

「トラッキングクッキー」

が挿入される。

クッキー(Cookie)とは、Webサイトを提供するサーバとその訪問者のブラウザ間で情報を送受信する仕組み。

簡単に言うと、あなた専用の識別IDが付与される。

一度、Facebookやインスタグラムにログインすると2回目以降に自動ログインできるのは、このCookieの仕組みがあるから。

あなたのPCやスマホに付与された識別IDを認識して、自動ログインを可能にしてくれる。つまり、めちゃ便利な仕組。

なんだけど、この識別IDを通じてFacebookはしっかりとあなたと、

“Webブラウザ動向“

を把握している。

例えば、カフェでWifiを使用するときにFacebookやグーグルアカウントを経由して、
インターネットを使用すると、そのブラウジング傾向は彼らにばっちり提供される

そこで、あなたが美容に関するウェブページをブラジングしたとする。

すると、次回あなたがFacebookにログインする時には、あなたの欲しい化粧品の広告が、目の前に現れる。

なぜ、facebook、Google、Instagramが便利な機能付きアプリを、無料で提供してくれるのか?

それは、あなたのデータが金鉱になるから。

個人が明確に特定できるデータまでは取らない。
ただ、識別IDのトラッキングCookieを通じて、

●このスマホから検索されている用語は、コスメ。
●検索している内容から、このスマホユーザーはメガネを使用している。
●Youtubeで検索されている動画からして、ユーザーは30代。

これくらいかそれ以上のデータは、無料アカウントを通じて漏れなくFacebookとGoogleに提供されていると考えておいた方が良い。

こうして各ユーザーをセグメントした後に、広告の枠を企業に売り、莫大な広告収益を得るのが、彼らのビジネスモデル。

あなたのアカウントは、ばっちりお金儲けのために使われている。

これからは、IOTといってあらゆる家電や車も5Gを通じてインターネットに接続される時代。

2015年に、サムスンはスマートTV前での会話は音声認識技術により拾われ、第3者に転送されると注意喚起した。

家の中にすらあなたのプライベートは、ない。

Googleホームやアマゾンエコーで便利さを享受する代わりに、あなたは彼らに情報を差し出す。

個人データは、21世紀の天然資源。

そんな時代は、すでに始まっている。

それを法律によって保護しようと、働きかけているのがEU。
データ保護の第3潮流である。

■GDPRが意味するもの。

GDPRが目指していることは、

IT企業によってコモディティ化された個人のデータに対する所有権の権利の保護と強化。

EUは、個人データを大量集積しているプラットフォーマーに、新しい世界秩序を構築する権限を委ねることに反対している。

なぜなら彼らは、民主的なプロセスで選ばれた代表ではないから。
企業は、利潤を追求するので、簡単にデータを利潤追求のために使うかもしれない。

だからこそ、個人データの所有権を各個人に帰属させ、市民社会の合意と民主主義のプロセスの中で、個人データを扱わないといけない。

それが、GDPRの大きな方針。
そして、主に4つの規制がある。

①忘れられる権利:個人が自身のデータを消去するようにデータ管理担当者に要求できる権利
②データアクセスへの容易性:個人データについて、処理状況、処理方法の内容を知る権利
③データハッキングの知る権利:企業は、個人を危険にさらすデータ侵害を監督当局に速やかに通知、個人が適切な措置を講じることができるようにする。
④デザインによるデータ保護のデフォルト:デフォルト(初期設定)においては、特定の目的のために必要な個人データのみを取扱い、必要範囲を超えたデータ収集、保有をしない。

小難しいと思うので、具体例で説明すると、
①過去のFacebookに投稿した記録を必要に応じて消去する要求ができる。

②Facebookが個人のデータをどのように処理しているか知ることができる。

③ハッキングされた際にFacebookは、適切かつ迅速な対応をユーザーに提供する。

④Facebookは、必要以上に個人のデータを収集しない。

以下の4つの規制でGDPRは、個人データ所有権を企業ではなく、個人に帰属させることを目標としている。

ちなみに、この規制に違反した場合の制裁金は巨額だ。

最大で2,000万ユーロ(26億円程度)か、もしくは全会計年度の全世界年間売上高の4%のいずれか高い方。

というわけで、EU VS プラットフォーマーはドンパチやりあっている。

2018年施行のため立件数は少ないが、例えばグーグルは、
個人情報の利用目的などを説明したページがまとまっておらず、わかりずらい。」
という理由で、62億円の制裁金をフランス当局から命じられた。

今後さらに、法廷での争いが繰り広げられる可能性がある。

依然、運用面での課題はあるもののEU圏内でビジネスをする日本企業にとっても、GDPRによる制裁金は対岸の火事ではない。

個人でECビジネスを展開していても、GDPRは適用されるから気を付けよう。

GDPRを通じて、EUは個人データの所有権を、

21世紀の基本的人権

として、アメリカ、中国に続く、デジタル潮流の第3極として存在感を示している。

■まとめ

2010年の1月。Facebookのマーク・ザッカバーグ氏は、
「プライバシーはもはや社会規範ではない。」
と述べた。

これが、意味することは、

プライバシーの死

IOT,5G,AI,ブロックチェーン,などのテクノロジーが発展する先に待ち受けている世界は、

プライバシーなき、世界。

むしろ、あらゆる情報を公開し、データをシェアすることこそ、豊かな社会の実現につながる。
という世界観

そして、実際に僕らもその恩恵を受けている立場だ。

あなたが位置情報をグーグルに提供するから、配送サービスが可能になった。

あなたがブラウザのトラッキングを許可するから、欲しい商品が広告に表示されるようになった。

あなたがインスタグラムで旅行先の写真を投稿するから、次の候補をIGがオススメしてくれるようになった。

個人データに関するプライバシーの保護を切望している人は、多くない。
なぜなら、実際にFACEBOOKを利用していても、プライバシーの監視や乱用が実感できないからだ。

そして、僕らは無料アカウントを通じて、どんどん彼らに自分のデータを公開している。

一方、悪徳な広告業者が提供するフェイクニュースによって、現実をコントールする事態を前に、個人はプライバシーを晒すリスクを自覚しつつある。

2016年の米大統領選では、こんなフェイクニュースがFacebookを駆け巡った。

「ローマ法王がトランプ支持を公式に表明した」

「民主党候補のヒラリー・クリントンは、テロ組織IS(自称イスラム国)に武器を売却した」

「クリントンは、トランプが勝った場合には内戦を始めるつもりだ」

このようなフェイクニュースが、FACEBOOK上で拡散され、
ヒラリーは負け、トランプが勝った。

あなたのデータを使ってこんなニュースを拡散されたら、どうする??

それに対する法的な整備と措置を、
広告業者、プラットフォーマーに対して、あなたが法的に権利を行使できるようにするのが、


GDPRである。


あなたのデータを企業にあずけ、便利な生活を享受するか。

あなたのデータを国家にあずけ、信用を稼ぐか。


あなたのデータを法律で保護し、所有権を獲得するか。


そんな問いかけを、


欧州のGDPRは、僕ら人類に投げかけている。



ではでは、本日はここまでです。
また、明日のnoteでお逢いしましょう。

P.S:本日もありがとうござます・明日は、月曜日なのでお金編NISAについてです!

<参考文献>




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