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【売上を減らそう】新時代ビジネスモデルと、僕らの新しい働き方。

“みんなが売上を追いかけてうまくいってないのなら、もうそれを追いかける必要なんてない”


売上を、減らそう。


そんな新しいチャレンジに挑む、飲食店がある。


佰食屋だ。


京都に3店舗を構える、佰食屋。株式会社minitts運営する飲食店は1日限定で100食しか販売しない。

超特殊な飲食店だ。

経営者の中村朱美氏は、日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー2019年大賞を受賞された。その中村朱美氏の渾身の一作。

『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』から、

新時代ビジネスモデルと、働き方。

について読者のみなさんと考えてみたいと思う。


■小売、飲食の苦悩

「今日の売上目標は、●●です!」
「今月の売上予算比進捗は、●●%です。」

小売・飲食の日常。

月、週、日別で毎日売上と睨めっこしながら、もっと多く、もっと早くを追求する。

売上が伸びる、客足が伸びる。
それは、喜ばしいことである。

客足が伸びれば、もっと売あげたい、もっと稼ぎたい。
と、僕らは思う。

飲食であれば座席の回転、小売りであればレジの回転を速くする。
飲食であればメニューのラインナップ、小売りであれば品ぞろえを増やす。
飲食であれば仕入れを増やす、小売りであれば売れ筋の在庫を積み上げる。


僕らは、もっと売上を取るために、より多く、より早く、より大きくを求めるようになる。

しかし、その裏では、

社員、スタッフが悲鳴を上げている。
社員、スタッフがプライベートを犠牲にしている。

そんな現実があるのも事実だ。

僕も、繁忙期や突然訪れたピークの度に、スタッフや社員に頭を下げては、
残業と急な出勤依頼を幾度となく、したことがある。


みんな、

「大丈夫ですよ。」

と快く引き受けてくれたが、彼らの人生がそれで豊かになったのかどうかは、今でもわからないままである。

「大丈夫ですよ。」の言葉の裏には、一人一人の葛藤がある。
もしかしたら、家族を犠牲にしているかもしれないのだ。


読者の皆さんも考えたことがないだろうか。


資本主義社会が僕たちに求める、“成長”の限界を。

天井のない売上という業績を追い求めた先にあるのは、

本当に幸福なのだろうか。


そんな疑問を持つあなたに知って欲しいのが、

佰食屋

1日100食しか販売しない。

そんな売上を求めない新時代のビジネスモデルだ。


■100食限定でも、儲かる。

中村朱美氏が経営する佰食屋は、本当に1日限定で100食しか販売しない。


以下は、国産牛ステーキ丼だ。(*めっちゃ美味そう。。)


なるほど、そりゃわかったけど、

本当に1日100食限定で儲かるのか?

誰しもが抱く疑問だ。

佰食屋は、「すき焼き専科」「肉寿司専科」と合わせて3店舗を構え、いまでは年商1億円を超え、従業員は30名を数えるほどになりました。


そう儲かっているのだ。


その理由は、100食限定にしているから。

100食限定によるメリットはいくつもある。

①仕入れが安定するために、在庫ロス。フードロスがない。
②仕入れた食材をその日に確実に売り切るために、冷凍庫不要。
③整理券配布が可能にしたキャンセル率1%
④100食限定のプレミア感と、原価率50%の勝負価格。


100食しか販売しない、それがいくつものイノベーション生み出す。

①フードロスがない。

“2015年度、日本でまだ食べられるのに廃棄された食品の推計値はおよそ646万トン。国民一人当たりに換算すると、毎日お茶碗一杯分もの食べ物が捨てられていることになります。“


フードロスがなぜ起きるのか、理由は単純だ。

人が食べられる以上に、食べ物を仕入れ、作るから。

その元凶の一つが、もっと売ろう、もっと稼ごうとして、過剰に発注された食品だ。
でも、これが1日100食限定で売り切れるなら、フードロスはゼロになる。

佰食屋は地球環境にも、社会にも優しいビジネスモデルありながら、
在庫を棄損しない、その日に売り切って全てがキャッシュに変わる。

だから、儲かる。

②冷凍庫不要

通常の飲食店だと、一度に大量に仕入れて仕入れコストを下げようとするために、冷凍庫が必須になる。

しかし、100食屋の場合は仕入れが一定だから、冷凍庫は不要。
その分、オペレーションコストは安くなる。

さらに、冷凍庫で牛肉を冷凍してしまうと、味が落ちてしまうので、
冷凍せず、新鮮なお肉をその日に提供することが、佰食屋の商品力につながっている。

100食に限定することで、コストは実は下がる。

③キャンセル率1%

“無断キャンセルによる飲食店の被害額は年間2000憶円にも上る“

佰食屋の座席数は14席しかない。
そのため開店前から並ばれたお客様には、時間指定の整理券を配布している。

今のご時世で、ネットやアプリでの予約がなく、電話予約すらない。
なぜか、

“電話やネットでの予約と、対面での整理券での配布で、もっとも違う点は「顔を合わせるか否か」です。”

整理券を配布される時、顧客は自分の顔を従業員の方に合わせる。
当然、従業員の方も顔を覚える、それが予約キャンセルを回避する顧客心理に作用する。

100食屋のキャンセル率は、0.1%に過ぎない。

④原価率50%の強気価格と商品力

経営者の中村朱美氏の商品開発の条件は以下の4つだ。

1、月に一回、自分がその金額を出してでも行きたいお店かどうか
2、家庭で再現できないもの
3、大手チェーンに参入されにくいもの。
4、みんなのごちそうであること

まさに、看板メニューのステーキ丼は、1-4の条件を満たしている。
たった1000円で、国産Aランク牛のステーキ丼。

ごちそうだ。けど、そこまで高くない。
とはいえ、家庭では絶対に実現できない調理法で料理を提供している。

佰食屋の看板メニューステーキ丼の原価率は50%とされている。
大手チェーンでは30%-40%が通常とされており、絶対に真似できない価格設定なのだ。


しかも、佰食屋の広告費はゼロ。
商品さえ良ければ、SNS、口コミを通じて広がっていくという信念の下、
一切原価に広告費がのってない。

100食だからこそ、最高のコストパフォーマンスのステーキ丼が完成するというわけだ。


売上を求めなくても、儲かる。

それが、百職屋のビジネスモデルだ。

つまり、100食に限定する。という制約条件こそがイノベーションを生みだす。


でも、ひとつの疑問は、

売上なくして、一体何をモチベーションに働くのか。

ということだ、売上を伸ばさない、儲うけを上げない。その先にあるモチベーションとは何か。


■百職屋のモチベーション

結論を述べてしまうと、百職屋のビジネルモデルのモチベーションの源泉は、

“早く帰れる”

ことだ、本書にシフト表の記載があったが正社員の方でも、
9時前後に出勤し、17時前後に退勤している。


とにかく、早く帰れる。


今まで以上に、家族との時間が過ごせるようになった。
仕事が終わってからの、趣味や自分のやりたいことの時間が増えた。

という声が社員の方の声から寄せられていた。
そして、中村氏自身も

“わたしの場合、食べることが何より好きです。夫の作ってくれた晩ごはんを18時頃にたべて、こどもたちとお風呂に入って、我が家には20時頃にもう一度楽しみがあります。「おやつタイム」です。


と、ご家族と充実した時間を過ごされているようだ。

“なに気ない毎日を丁寧に生きられる心の余裕”

僕も、現場にいたからよくわかる。

売上が伸びた時、ある商品が爆発的に売れた時、予想以上のお客様が来店された時、

テンションは上がるし、もっと売り込まなければならないとがむしゃらになる。スタッフや社員と一緒に、

「いくら売りました!!」

と、目標を達成した喜びを分かち合う。
それは、今の僕にとってもかけがえのない経験である。


でも、一方で、

僕の心に、何気ない毎日を丁寧に生きれる心の余裕があったか。

と、問われればそうではないかもしれない。

お客様を何名という数ではなくて、一人の人間として接することができていたか。

と、問われればそうではないかもしれない。

社員とスタッフがプライベートを犠牲にしてまで、残業する価値を提供できていたのか。

と、問われればそうでないかもしれない。


何のために、売上や利益を求めるのか、

いつまで、拡大と成長を続けるのか、


自分でもよくわからなくなる時がある。

“会社は、従業員によって支えられています。それなら、彼ら一人ひとりの時間も尊重されるべきです。”


仕事を通じて、事業を通じて、


あなたは誰を幸せにしたいのか。


売上を拡大して、儲けを増やして、


一番幸せに対して貪欲なのは、あなた自身じゃないのか。


そんな問いかけを、この本は僕らに突きつけるのだ。


■まとめ

さて本日は、中村朱美氏の著作
『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』

新時代ビジネスモデルと、働き方。

について考えてきました。

本noteでお伝えしたかったことは、


売上を追い求めない、新しいビジネルモデルの可能性と、働き方です。


売上、業績、成長を常に求め続ける資本主義社会の中で、
本当に僕たち人類は、幸せになったのでしょうか。

昨日も、今日も、明日もノルマとKPIを課される僕ら。
売上の達成は喜ばしいものの、その先には一体何があるのでしょうか。

佰食屋は、そんな資本主義社会に一石を投じる新しいビジネスモデルです。

むしろ、売上を追い求めない、100食限定のビジネスモデルだからこそ、
数多くのイノベーションが生まれています。

そこそこ儲ける、給与もしっかり支払う。
けど、成長は追い求めない。

だからみんな、早く帰ろう。

このビジネスモデルの方が、より持続可能で、やりがいを搾取しない仕組みではないでしょうか。

“もう「頑張れ」なんて言いたくない。わたしは「仕組み」で人を幸せにしたい”


読者の皆さんもなんとなく気づいていると思います。


拝金主義、資本主義の歪みに。


仕事を通じて、事業を通じて、



あなたは誰を幸せにしたいのか。



成長と拡大の先にある世界で、あなたは何を実現したいのか。


そんなことを今一度、考えてみる時代になっているのではないのでしょうか。

もし、あなたがお客様を“お金”としか見なくなっているのであれば、
是非、本書を手に取ってみてください。

“なに気ない毎日を丁寧に生きられる心の余裕”


を手にするために。


ではでは、本日はここまでです。
また、明日のNOTEでお逢いしましょう!


p.s:明日は、本書を更に深堀り、“成功は魔物”ということについて考えていきます!!

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