江戸紫 yamamoto kimiko

面白い小説を書きたいです http://koten-kagu.jp/ https://twitter.com/247kagu03bigak1   https://www.instagram.com/yamamoto_kimiko/ 着物 有職故実 文学 能 バロックインテリア

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    • 東京に住む龍

      龍が動き出すとき神々も動き出す。して人類は? 龍は世界に5匹しかいなかった。青龍は東京23区内に住み、日本国政府はお世話係で、あの世の支配下にあった。 青龍が1億歳の誕生日に日本人女性と結婚すると言いだしたので、神々はパニックです。

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    東京に住む龍 第十話 千客万来⑤

     ゴールデンウイークに入った。講義がはじまって二・三回しかなかったので、宿題は一つしかなくて、ほっとした。出された宿題は編曲学の講義で、「最近気になった編曲作品についてのレポート 五百字」というボーナスレポートだった。編曲学は三十代の准教授が担当していた。アレンジャーとしても業界で知られている、見た目が長髪に派手目な柄シャツだが、言動を見て小手毬は中身は明治の学者と見ていた。  連休初日、祖母と叔母に誘われて、日比谷のホテルのフレンチレストランに行った。現世でこんな高級な所

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      • 東京に住む龍 第十話 千客万来④

         馬場君のお爺さんが龍神社に、鯉幟のぼりの棹を立てくれた。辰麿は早速鯉のぼりを揚げた。棹の上の矢車と玉が勢いよく回っている。長い竿には吹き流しに、真鯉緋鯉に青とピンクの子供の鯉が揚がっている。それを嬉しそうに見上げている青龍だった。いよいよゴールデンウイーク直前だ。社務所の木の引き戸を開けて小手毬が出て来た。 「鯉のぼりが揚がっているー。今日は天気だね」 「小手毬、これから大学」 「今日は履修届を出しに行かなきゃ」  目いっぱいスケジュールを入れた 、履修届を見た辰麿

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        • 東京に住む龍 第十話 千客万来③

           その日、高天の原政庁で参議身分の上に、鬼神の称号を与えられ、今は一線を引いたとはいえ、亡者の拷問では日本地獄一とうたわれ、諸外国の地獄でも人目おかれる腕前を持つ、日本地獄の最高権力者の野守は、三柱の女神に詰められた。  まず早朝から天照大神に呼びつけられた。天照大神はまだ日本の高天の原と黄泉の国と現世・地上が未分化な時代に、野守の上司だった。若い野守をびしびし鍛え、有能な官吏に育てたのだ。今の上司は子孫のアメノスグレヤドのミコトで、直接命じられることも少なくなった。  

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          • 東京に住む龍 第十話 千客万来②

             新学年がスタートした。卒業必須単位以外にも、国のお金で勉強できるなら、これはお得ではないかと必須単位以外でも積極的に履修登録をした。もう必須では無くなったが、ピアノは卒業年次まで続けることにした。去年がバッハで今年はモーツァルト、来年はロマン派を考えている。  リストの超絶技巧は土台無理だが、ピアノは小手毬が唯一持てる西洋音楽との接点だと思っている。流行り音楽からクラッシックまで、現世の現在日本では西洋音楽が主流だ。日本文化の源流だと、邦楽科の連中が騒いでも、邦楽を断絶さ

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            東京に住む龍 第十話 千客万来①

             龍神社の社務所で神主と巫女の、辰麿と小手毬は少々暇を持て余していた。お守り売り場を開けているのだが、小さな神社で近所の人や通りがかりの人がお参りに寄るだけで、社務所に用事のある人もない平日の昼下がりだった。普段は用事がないなら神社の後ろの幽世の龍御殿の自室で雅楽の楽器練習をしている。今朝は大学が無かったので、起き抜けに白い着物に赤い袴を穿き千早を引っ掛けた所為なのか、社務所で辰麿の隣にいる。  神官の辰麿は社務所でもやることがあるようで、机の上のパソコンを立ち上げて、神社

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            東京に住む龍 第九話 龍珠③

             青龍は悩んでいた。龍が結婚をすることは龍珠を得る事だ。珠を手にした龍は強い力を持つ。小手毬と結婚したことで、青龍は龍珠を得て強大な力を得た。何処が強大になったのかは、青龍ですら全て分かっている訳ではない。肝心の小手毬は青龍が結婚に障害になることを話せなくする術を掛けたことで、難無く結婚ができた。でも毎日お互いの口から吐き出す『龍珠』を交換するのだが、小手毬の龍珠が濁った色をしているのだ。小手毬は青龍のことを愛していないようだ。 『これで闘えるのか、予想される事態となった時

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            東京に住む龍 第九話 龍珠②

             抜けるような青空の下、麦の穂が豊かに実り収穫を迎えようとしていた。平和で豊かな村で、奴婢でさえこざっぱりした服に、まともな食事を与えられている村だった。村は収穫を迎えていた。  その村の麦畑にも野菜畑にも百姓も奴婢も人間は一人もいなかった。流行り病がこの村を襲っていたのだった。  野守は構わず異国の鬼の姿のまま、村中を歩き回り観察した。鬼の角と鉤爪を出し、美豆良に日本式の貫頭衣という大陸の人間には珍しい格好で彷徨いたが、生きた人間は既に居なかった。  妻と娘を失った野

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            東京に住む龍 第九話 龍珠①

             私鉄沿線の住宅地の駅前商店街の中程にある、洒落た花屋で和服姿の若い女性が買い物をしていた。明るい茶系の絣に、緑色の帯、帯は太鼓に結んでいて、控えめな刺繍が施されている。二十代に見える見た目には、地味ではあるが、着慣れしていて戦前の中流階級の夫人の雰囲気がする女性だ。  女性は店頭に並んだ仏花を一瞥すると。奥の切り花が陳列している所に向かった。中年の女性店員が応対する。薔薇・トルコ桔梗・カーネーション等の洋花の見た目が愛らしい新種の花を十本程選び、包ませた。 「奥さん今年

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            短い感想文「信長研究の最前線 ここまでわかった 『革新者』 の実像」日本史史料研究会

            私は織田信長のことは好きです。押しかと云われると、押しでもファンでもありません。好きか嫌いかと言えば好きの方位です。今回紹介する「信長研究の最前線 ここまでわかった「革新者」の実像 (朝日文庫) 」と戦国時代の深い知識のある、信頼できる戦国史情報の発信者の、まとめ管理人  さんの動画をみたら、一変に信長のことが嫌いになるかも。トラウマになるかも。 信長研究の最前線 ここまでわかった「革新者」の実像 (朝日文庫) Kindle版 上京焼き討ちの事 【『織田信長ってどういう人

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            短い感想文「カディスの赤い星」逢坂剛

            kindleの定額読み放題kindleunlimitedで、20年前に本屋で文庫本を買おうか迷っていた、逢坂剛の「カディスの赤い星」上下2巻が出ていたので、早速借りてみました。20年前の私はヨーロッパに強く惹かれていて、スペインを舞台にした、このミステリーが気になったのでしょう。癖のある赤ワインを求めるように、いやヨーロッパの秘密ががっつりわかるのではと思ったのですが。文庫本2冊だと高い!いやもっと読みたい本があったので、売り場で何度も手に取りましたが、棚に戻してしまいました

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            東京に住む龍 第八話 白龍③

            『これは白龍の物語だ』  そう心の中で呟くと、青龍こと辰麿は口中の唾を飲み込んだ。  御簾内の半分は寝所で半分はリビングルームだ。それぞれ几帳で囲まれている。寝所は白の練り絹の几帳で、リビングは青系統の様々な色の使われた、華やかな几帳に囲まれていた。中は精巧な彫刻の付いた、一畳ほどの大きさの茶卓の周りに、有職模様の絹の分厚い座布団が置かれていた。  辰麿は置かれているあの世と現世のテレビを見る訳でも無く、茶卓の上の小型パソコンを開く訳でも無く、目を半分閉じて座布団の上に

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            東京に住む龍 第八話 白龍②

             神社の裏手の竹藪に小手毬以外の人間が絶対に迷い込めない結界がしてあり、幽世《かくりよ》となっていた。そこに何百年も前から建っている大層な大名屋敷に、小手毬と辰麿は住んでいた。龍御殿の神社の反対側は広い座敷があり雨戸の開けたてや掃除に眷属の手を借りている。神社側の窓から現世の境内が見える部屋はプライベートな部屋が続く、生活に便利なように至って現代的な部屋になっていた、ダイニングキッチンなど、現世の日本人のそれと寸分違わなかった。  和琴はヨーロッパの小貴族くらいのクオリティ

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            東京に住む龍 八話 白龍①

             大学三年生がはじまった。新学期がはじまって早々、篳篥の個人レッスンの担当教員に小手毬は褒められた。卒業演奏会の奏者へ推薦したいとまで言われたのだった。 『天にも登る気持ちって、こういうこと』  レッスン室から出て廊下を歩く水神小手毬は思った。嬉しくて廊下をスキップしたいくらいだ。  食堂で一緒になった同じ専科の粟田朱海には、「何かいいことあったの」と聞かれたくらいだ。卒業演奏会云々のことをちょっと朱海に話したら、曇った表情をした。小手毬はちょっと不味かったなと感じた。

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            東京に住む龍 第七話 女神原宿に遊びに行く⑤

             三人の着物談義は続いた。胡蝶さんに、 「やっぱりお振袖が一番。この近くに着物のお店はないの」 「原宿の交差点近くに、少女趣味のアンティーク着物店があって、高校の頃から大好きだったんだけれど、去年の夏閉店したの。大好きな店だったので残念。この先の青山には呉服屋さんが幾つかあります。けれど大人向けのお店が多くて、入ったことがないのです」  それから小手毬の振袖を扱ったのが、龍神社近くの商店街にある武蔵野呉服店という店だったことを話すと、そこに行きたいと母娘は目をきらきらし

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            東京に住む龍 第七話 女神原宿に遊びに行く④

            <原宿女子トークまだまだ続きます。女神・鬼・人間の3人の話は尽きません> 「それと曼珠沙華君に聞いたのですが、胡蝶さんは、世にも珍しい『天然系女神』だそうですが」 「曼珠はそんなことまで小手毬さんに話したの」 鬼百合が呆れて言った。 「結婚を二人で決めた時、一番初めに天照大神様に報告に行ったの、そうしたら、私に女神になれ、地獄の住人の守り神になれと言われたの。  私は只の天人で、野守は鬼神で参議ですので格が違います。それで神になる修行をお命じになられたのでしょう。

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            東京に住む龍 第七話 女神原宿に遊びに行く③

             三月も終わり近く、桜の話題が出る頃、思いがけない人から連絡が来た。辰麿のスマホに胡蝶さんから連絡が来たのだった。原宿に行きたいのだけど、小手毬に案内をしてくれないかというものであった。  翌日龍御殿の玄関に、着物姿の胡蝶さんと、流行を外してないカジュアルなパンツ姿の、お嬢さんの鬼百合さんが現れた。 「今日は気晴らしに原宿に行きたいの。このところ、くさくさしていることが多くて、ぱーとお買い物がしたいわ。裏原宿で、鬼百合とアクセサリーでも買いたいと思って来たの」  鬼百合

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