見出し画像

自立して生きる喜び~村上龍から学んだこと

名古屋での勉強会を終え、
今、帰路の新幹線の中でこれを書いています。

ふと、国語教師になった
きっかけを思い出しました。

というのも
高校時代の僕は
もともと数学が得意で、
将来は理系の大学を志望していたのですが、
大好きだった数学の先生が、
ある日すすめてくれた小説を読んで、
それで人生が変わったんです。

先生はこう言いました。

「村上龍という作家、知ってるか?おもしろいぞ。特に彼のデビュー作「限りなく透明に近いブルー」あれは良かった。みんなも読んでみるといい。ちょっとエッチだけど」

僕はその先生のセリフの後半
「ちょっとエッチだけど」
この一点に興味をもって、
その本を買いました。

イメージしていたよりも
大分エッチだったけど、
それよりも何よりも
村上龍という作家の感性の豊かさ、
彼が描写する色彩や情感、
登場人物の繊細な心理、
いろいろなものが当時高校生の僕の
心の琴線にストレートで響きまして、

「言葉ひとつで、
こんな世界を描ける文学ておもしろいかも!」

そう思ったのが理系から文転する
大きなきっかけになりました。

僕が今、高校で国語教師をしているのは
「ちょっとエッチかも」のおかげなんです。

それはさておき、
あくまで僕の解釈なのですが、
村上龍の作家としての一大テーマは
「自立」です。

それは
①精神的自立
②社会的自立
③経済的自立

の3点で、
日本人の良くも悪くも
依存するというか、
甘える文化を徹底的に否定し、
自立の大切さを伝えていたのだと
僕は思っています。

特に彼のベストセラー
「13歳のハローワーク」が
わかりやすい具体例ですね。

日本の子どもの自己肯定感は、
世界的に低いとよくいわれます。
その理由は文化的な背景も含めて
複雑に要素が絡まっているのでしょう。

あなたの強みを発揮して、
人を喜ばせることが仕事なんだ、
他人のお困りごとを
あなたの長所でサポートしてあげることで
価値を生み出しているのだ、
そんなビジネスの本質的な学びがあまりされていないことも要因の1つにあると思います。

あなたの強みが価値をうみ、お金を生む。
それは自立して生きていくことにつながる、
という教えが学校現場で徹底されていないのです。少なくとも僕の15年の教員人生の中で生徒の意識に落とし込むほど、しつこく教育できてはいなかった。

それは、
自分自身が公務員として安定していたから、
なのかもしれません。

なんとなく授業していても、
悪いことしなければ、
必ず月給もボーナスも入ってくる。
だから、いつのまにか職員の意識のなかで
「失敗しなければいい」
が刻まれて、
チャレンジングな精神が枯渇していくのです。

勘違いしてほしくないのは
僕がここで主張したいのは
教員批判ではありません。

教員はハイスペックな人が多いです。
なおかつ善良です。
ほんと、みんな「いい人」が多い。

でも、
お金を自ら稼ぐ文化、
ビジネス的な発想を
ほとんどの教員は意識せずに
仕事をしている、という
事実を指摘したいのです。

だって、ほんの少し前まで
僕自身がそうだったから(苦笑)

子どもたちは、
学校で教えてもらえず未学習ゆえ、
自らの力で稼いで自立して生きていくための
マインドセットもスキルも磨けず、
ただ安定を求めて高学歴、大手企業に
入ろうとする。

そして有名大学や、有望企業に
庇護されることで生きるという選択肢を選ぶ。

これでは、本物の自信は養われず、
どこかで、
甘えや依存心を抱えてしまうでしょう。

そんな文化を
村上龍は徹底的に否定して、
働く意味、自立する喜びを
訴えていました。

今、そんなことを思い出しています。


一泊二日、缶詰になって
来年の目標計画を立てました。
合宿を終えた今の心境を一言で表すなら
「オレはもっともっと自立したいんだ」
という自覚です。

今でももちろん社会的、精神的、経済的に
自立しているといえば自立していますが、
もっともっと自立したいのです。

そして、
生徒はもちろん、
同僚や家族にも
より自立して、
より自由に、
楽しそうに、
生き生きと働く
自分の姿を率先垂範で
見せて(魅せて)いきたい!

それはたぶん、
高校時代の僕が村上龍に憧れたことと
本質的には同じなんです。

そんな気づきでした。

最後までお読みいただきありがとうございます。
これを読んでくれたあなたの少しでもお役に立てたなら嬉しいです。

この記事が参加している募集

国語がすき

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?