日本企業「アシックス」が世界で認められる理由は、コソコソ感とアート性?!
投資をしている人ならだれでも知っている投資信託、通称「オルカン」。
つい先日、今月末に新しくオルカンに組み入れられる銘柄が発表されたが、日本の企業はたった1社だけだった。
その銘柄こそが、日本の老舗企業「アシックス」だ。
オルカンの組み入れ銘柄に選定されたアシックス
前回は、インド企業の組み入れ割合が増え、日本企業の組み入れ割合は減っていると書いた。
しかし、実はたった1社だけ、同じタイミングで新しく組み入れられることが決まった日本企業がいた。
その銘柄こそが、スポーツメーカーの「アシックス(7936)」だ。
いや、待って。笑
すごくない?
ここ数年のアシックスの海外人気は本当にすごい。NIKEが持っている顧客を次々と奪っているとウワサされるほどだ。
2000年1月に118円だった株価は、2024年5月には8102円に到達。アシックスは約4年半で、70倍近くまで成長したことになる。
ひえー。
これだけ円安が進めば、海外での売上が好調であたりまえ。そう思う人も多いかもしれない。
たしかに、円安は円安。
でも、実は、為替の影響を除いても、アシックスの売上高は絶好調。
特に「スポーツスタイル(SPS)」と「オニツカタイガー(OT)」は、為替の影響を除いても、約40%増加している。
もともと売上規模の大きい北米では、「スポーツスタイル(SPS)」の増収が顕著だ。
収益性向上に向けたECシフトやサプライチェーンの適正化を行い、さらにランニングNo.1ポジションの奪還に向けて、さまざまなコラボを展開した。
また、アシックスが展開するファッションブランド「オニツカタイガー(OT)」は、日本のインバウンド需要や中国、アジアで特に人気を博している。
円安の影響はあるけど、別にそれだけが原因ではない。
アシックスは、すごいのだ。
アシックスは、「何が」すごいのか
そもそもアシックスの経営戦略はとても論理的で、目指しているところがわかりやすい。
戦略は商品カテゴリーや地域によって分かれていて、納得感もある。
この資料だけをみると、株主を安心させてくれる、「紛れもない優等生感」がふわっと香る。
でも、それだけじゃない。
アシックスは、「コソコソ変なこと」をしている。
この優等生なのに、教室のすみで、なんか変なことをしてて、決して目立ちたくない風でいるのに、目立っている感じが、わたしは好きだ。
特に気になるのが、オリジナルブランド「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」。
オニツカタイガーは、アシックスが展開するファッションブランドで、実は1970年代には海外展開をスタートしている。
途中1977年の社名変更で現在の「アシックス」となり、ブランドが統合されたが、2002年に復活し、そこからは右肩上がりで成長中だ。
きっかけは2003年に映画「キル・ビル」で、主演女優のユマ・サーマンが黄色と黒の「TAI-CHI」を履いたこと。ここから、知名度が一気に爆発した。
「オニツカタイガー」という名前とぴったり合うそのビジュアルは、そりゃキャッチーで、興味をそそる。
だって、トラ模様そのままなんだもの。
黄色と黒の「TAI-CHI」だけじゃない。「オニツカタイガー」のスニーカーは、ストーリーがあって、個性的。そして、ミステリアスで、ちょっとかわいい。
ダイヤモンド・リテイルメディアに掲載された「オニツカタイガー」のPR担当者の方へのインタビューによると、「オニツカタイガー」はあくまでもファッションブランドであり、「和を醸し出す余計なイメージ」は打ちだしていない、という。
和を醸し出すことを、「余計」と言っちゃうあたり、やっぱりおもしろい。
アシックスは決して媚びない。
「スニーカーはゴツゴツしてるほうがかっこいいんでしょ?」とか、
「日本産のブランドだから、和風がいいんでしょ?」とか、
そういう安易な、わかりやすい寄り添いをしない。
もともと日本人は、変人のあつまりだ。
地球の端の端までたどり着いて定住したわたしたちの祖先が、普通の人だったとは思えない。
さらに言えば、変なことを思いついて、コソコソ研究を重ねるのが、昔ながらの製造業の成功パターン。
乾電池も、輪ゴムも、カップラーメンも、ウォークマンも、そうやって作ってきた。
アシックスの「コソコソ感」と「アート性」
アシックスの商品は「かっこいい」。
「王道のかっこよさ」というよりは、「アートなかっこよさ」がある。
アートとは、「能力を究極に本質的に突き詰めた」もの。
アシックスは辺境の島国で、コソコソとプランを練り、それに合った上質な素材を使い、染めや縫製の細かい部分にこだわって、究極に突き詰めた商品を、ちょっとだけキャッチーにして世界に提供している。
「俺たちの作るものは、かっこいい(かわいい)」
というシンプルな想いが、言われなくても伝わってくる。
思えば、世界に受け入れられている日本の文化はみな、「コソコソ感」と「アート性」を兼ね備えている。
乾電池も、輪ゴムも、カップラーメンも、ウォークマンも、そうやって作られてきたのだ。
世界的に認められたい日本の会社は、媚びたらダメ。
ぜひ、アシックスには、この「コソコソ感」と「アート性」を貫いてほしい。
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