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好きなものを「好きだ」と言うのがニガテな人の末路
女子高生の好き避けなら、まだかわいげがある。
どうもわかりにくいらしいのだ。
「いいと思うならいいって本人に言ってあげればいいのに。」
先日、一緒に組んでいるデザイナーさんのデザインが好きすぎて、周りの同僚に押しまくっていたら、言われた言葉だ。
もちろん何度も言ってるつもり。でも、おばさんが何度も好きだ好きだと豪語すれば、それはそれで迷惑なんじゃと思って、あえて言葉を飲み込んでしまった。
こういうことってよくある。
もともと若い時から、めちゃくちゃに頑固な自分の意見を持っているわりに、求められないかぎりはしゃべらないタイプだったし、歳を重ねたからって急に、ちょうどいいコミュニケーションが取れるわけもない。
「あのね、それ多分、相手は全然気が付いてないよ」
「え?うそでしょ? 好きすぎて、ちゃんと笑えてなくて、顔引きつってるんだけど」
「いやぁ、顔引きつってるって思ってるの、自分だけだよ」
***
良いことなんだと思う。心の内が外にでないのは。
サラリーマンとして。企業戦士として。24時間戦うつもりなら。ドラクエで言うところの「ホイミ」くらいには、自己防衛できる。
問題なのは、ゆーて、繰り返してきちゃったんだわ、わたし。
嫌いなものを隠すのと、好きなものを隠すのは同じスキルだ。どちらかひとつは選べない。
「好きな人に告白できないけど、嫌いな人に攻撃されない人生」と「好きな人に告白できるけど、嫌いな人に攻撃される人生」、どっちがすてきなのかってはなし。
…そりゃ後者でしょ。そう思うでしょ?
40歳すぎたら特に。迷う理由なんてない。
でも、若い時はとにかくメンタル弱いから、攻撃されないテクニックをひたすら身につけてしまうのよね。スキル振り間違えたなーって気がつくまでに10年以上かかるから、もはや変えられないところまできちゃってる。
わたしは明らかに「好きな人に告白できないけど、嫌いな人に攻撃されない人生」を選んできてしまった。
今だに自分から告白して付き合ったことなんてないのはそういうわけです。笑えない。
となれば、たぶん、いったんスキルを振り直す必要があると思うんだ。
ゲームでもよくある、スキル振り直しアイテム。
なかなかに高い課金アイテムだから、こちとら納得いかない。「なんでそこにそんなにお金とるかね?」って絶望して、運営嫌いになるけど、結局買っちゃうやつね。
人生途中離脱はなかなかにリスク高いけど、ゆーて人生100年時代よ?まだ折り返してない可能性すらある。
いったん、防御力落として、「好きなものを好きと言う練習(レベル1)」からはじめることにした。
***
好きなものをみつけたら、幼稚園児みたいに「これ好き」って言ってみる。
デザイナーさんが作ってくれたデザインに「これ好き」
お土産にもらった八ツ橋に「これ好き」
映画をみたら同僚におすすめしながら、ゆるっと「これ好き」を添える。
どこぞのイタリアンレストランの「シェフのきまぐれサラダ~季節の果物を添えて~」ぐらい自然にゆるっと添えるのだ。
***
やってみて思ったけど、意外に害はない。
害はないが、責任感が生まれて忘れなくなることを知った。
そうか、好きを言葉にすると責任感が宿るんだな。そんな責任感から、わたしは長年逃げてきたんだ。これは、たぶん、大きなこと。
だから、簡単に終わりにできてしまうのだ。愛やら恋やら。そっか、片足を突っ込んで、もう片足は安全地帯に置いたまま。ずっと逃げる準備をしていたわけだ?
それはあまりにも不誠実かもしれない。
だから、わたしは未だに心の底から信頼できるパートナーに出会えていないのだ。
なんか、わかった気がした。
好きなものを「好きだ」と言うのがニガテな人の末路、結構ヤバい。
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