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静かな退職はそんなにダメ?「ざわめく退職」をおすすめする理由

2020年以降の新しい働き方として注目されている「静かな退職」。

「静かな退職」とは言わないまでも、「ざわめく退職」ぐらいは認めてほしい。

実際にわたしは、新しい時代の働き方として、「ざわめく退職」の実践を開始した。


「静かな退職」とは?


「静かな退職」は、アメリカのキャリアコーチであるブライアン・クリーリー氏が提唱した言葉だ。

転職や退職をしないのに、必要最低限の業務にしか携わらない人たちのことを言う。

静かな退職(Quiet Quitting)
=転職や退職をするつもりはないものの、仕事に対して意欲や熱意を持たず、必要最低限の業務にしか携わらない状態のこと

日本法人「クアルトリクス合同会社」が発表した報告によると、日本でも正社員の約15%が「静かな退職」の状態であることがわかっている。

海の向こうの、遠くの話というわけではなさそうだ。

引用:クアルトリクス、2023年の従業員エクスペリエンスに関する調査結果を発表

「静かな退職」は悪いこと?


終身雇用制度があたり前だった昭和の「モーレツ社員」。

もし「静かな退職」がダメだとしたら、モーレツ社員をもう一度増やす必要が出てきてしまう。問題なのは、メリットだ。モーレツに頑張った分はちゃんと報われないとおかしな話になる。

高度成長期が終わった日本で、会社側は本当にその分のメリットを社員に与えられるのだろうか。

「静かな退職」に懐疑的な見方をする人が多いのは、あくまで「新しい知識を身につけようとする気持ち」や「将来のキャリア目標がない」ことに違和感があるからだ。

引用:クアルトリクス、2023年の従業員エクスペリエンスに関する調査結果を発表

たしかに、それは一理ある。

でも、この多様性が叫ばれる時代に、まさか会社以外の居場所を作ることがNGなんてことはないわけで。

会社で「新しい知識を身につけようとする気持ち」がないのは、あくまで社内で新しい知識が得られることを期待していないだけかもしれないし、「将来のキャリア目標がない」ことだって、他の居場所で目指すものがあるからという可能性がある。

誰にだって多面性はあっていい。わざわざ視野を狭くしている感じが、なんだか少し気持ち悪い。

小学生のころ仲の良かった女の子に、

「枝豆ちゃん、〇〇ちゃんと仲良くしないで」

と言われた時のような、何とも言いにくい違和感があるのだ。人の人生の独占権を持つのは自分だけのはずで、他人が決めてよいものではない。

時代の流れと言えばそれまでで、日本の経済成長が緩やかになり、努力すれば報われる社会が少しずつ揺らぎ始めているのも関係している。

2006年の調査では、努力すれば報われると答えた人は41%もいたが、その7年後の2013年には32%に留まった。メンタルを崩してまで働くことのメリットは多くないと考える人がいても、なんらおかしくない。

2006 年の調査では、日本が「努力すれば報われる社会」と思うかどうかも聞いています。「報われる」41%より「報われない」48%がやや多い結果になりました。終身雇用制度が揺らぎ始め、がんばった分報われる、とも限らない。こんな思いが、仕事観にも影響しているようです。同じ質問は、2013 年の郵送調査でもしました。20 代は「報われる」が 32%にとどまり、「報われない」60%が大きく上回りました。30 代以上でも「報われる」は 37%で、「報われない」は 54%。「努力しても報われない」という見方がさらに広がっていることがうかがえます。

引用:ACSES ニュースレター_2014号

日本法人「クアルトリクス合同会社」によると、アメリカではZ世代に多いと言われる静かな退職者が、日本の場合は40~50歳代の中堅一般社員に多いのもおもしろい。

国勢調査の職業別集計によると、日本の管理職の割合は、この20年で半分以下に減っている。

40~50歳代のサラリーマンのやる気が失われているのは、この社会的な状況にも関係がありそうだ。

引用:日本の管理職

お金と仕事は完全には相関しない


もうひとつ、世間にバレ始めている事実がある。

サラリーマンとしてどんなに身を粉にして働いたとしても、お金が稼げるとは限らない。

お金と仕事は、完全には相関しない。

ヒトの欲望にはさまざまな種類があるけれど、仕事をめちゃくちゃに頑張って出世したとして、満たされるのは「名誉欲」であり、「金銭欲」ではない。

わたしのように名誉や地位にほとんど興味がないけど、自由のためにお金はほしいと思っている人にとって、会社での仕事を必要以上に頑張ることは、非効率すぎる。

カー用品チェーン大手「イエローハット」の創業者である鍵山秀三郎さんは、自分の欲望に素直な行動をすることをすすめている。

お金が好きな人は、不正のない正攻法で、大いにお金を儲けるべきなのです。お金は汚いものであるなどと、分かったようなことを言う人は、自己を欺いています。何億円か儲けてから、そういうのなら分りますが、本当はお金に未練があるくせに、世捨て人みたいなことを言っても、負け惜しみに過ぎません。
名誉がほしい人は、それなりの実力を身につけて、大いなる地位と名誉を手に入れるべきです。その結果、その空しさを知るとすれば、それが最上の智恵なのです。ほんとうは名誉が欲しいのに、「おれはそんな俗人じゃない」と拗ねたような生き方をするのは、単に臆病者です。

引用:欲望論

2000年に発売された世界的なベストセラー「金持ち父さん 貧乏父さん」にも書かれていた。

お金持ちになるために必要なのは、給料を得る努力をすることではなく、投資や起業を成功させる努力をすることだ。

Employee(労働者)
Self employee(自営業者)
Business owner(ビジネスオーナー)
Investor(投資家)

フランスの経済学者「トマ・ピケティ」も言っていた。サラリーマンの賃金の成長率よりも、投資によるリターンのほうが常に大きい。

(投資によるリターン=投資収益率)>(賃金の伸び率=賃金成長率)

静かな退職がそんなにだめならば、ざわめく退職ぐらいならどうだろう。

少なくともわたしは、より自由に、そして豊かに生きるためのひとつの選択肢として、ざわめく退職を実践している。


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