見出し画像

読書記録:虚ろなるレガリア3 All Hell Breaks Loose (電撃文庫) 著 三雲 岳斗

【地獄の門が一度に解き放たれる、歪な真実を宿して】


【あらすじ】

暴かれたヤヒロと珠依の過去!
大殺戮の再現を目論む統合体の狙いとは!?

無名の配信者として活動していた彩葉の動画再生回数が、一夜にして百万回を突破する。
その背後には暴露系配信者ヤマドーこと、山瀬道慈の暗躍があった。

山瀬の動画によって、龍の巫女であることを公表されてしまった彩葉は、世界中から身柄を狙われることになる。

これ以上の情報漏洩を防ぐために山瀬の捜索に乗り出すヤヒロだが、逆に連続殺人事件の犯人として、ギルドに拘束されてしまう。

ヤヒロ不在の中、襲撃されるギャルリー日本支部。そして出現したヤヒロの命を狙う新たな不死者たち。

世界を混乱に陥れようとする山瀬の真の目的とは――

廃墟の街で出会った少年と少女が紡ぐ新たなる龍と龍殺しの物語、第三巻!

あらすじ要約
登場人物紹介1
登場人物紹介2


道慈の暗躍によって、彩葉の正体が晒される事と伴い、魍獣の真実、統合体の野望、大殺戮の真相が明らかとなる物語。 


世界を混乱に陥れる道慈の真の目的。
日本で大殺戮が起こった鍵となる龍の出現とそれに伴う魍獣の大発生。
その元を辿れば、珠依が召喚した龍が八尋に憑依したが故だった。
歪な真実とは、大殺戮の引き金を引いた八尋なのだ。
そこから導かれるは、魍獣に襲われた者が魍獣に変わる狂気。
不死者とは、龍を召喚する依代で。
開始される地獄が解き放たれたかのような大混乱。

力を持つ者、何かを成せる者、その在り方について触れてそれぞれの不死者達の想いが交錯していく。
そこで、徐々に理解していく残酷な真実。

普遍的な真実と言う物はあれど、我々は日常生活の中でいつの間にか、誰かによって意図的に歪められた真実を、真実として認知してしまっているかもしれない。
ならば、本当の意味での真実は何処にあるのだろうか?
それは、恐らく自身が歩いてきた足跡の中にしかない。

統合体が抱える本当の願い。
魍獣と呼ばれる獣達の正体。
そして、八尋と珠衣の兄妹が絡む四年前の大災厄。
それは、当人の八尋でさえも知らなかった真実。
それは、八尋自身が無意識下に記憶の蓋をして、忘れたかった真実。
八尋のトラウマとなっていた過去。

今までは、無名であった筈の彩葉の動画再生回数が一夜にして百万回を突破すると言う、まるでトップクラスの動画配信者のような事態が巻き起こる。

だがそれは、彩葉の魅力が伝わった、という意味ではなかった。
その事態の裏にあったのは、「ヤマドー」こと山瀬道慈という暴露系動画配信者の暗躍。
彼の動画により彩葉は龍の巫女であるという事実が暴かれ、世界から狙われる事になってしまったのである。

急いで身を隠すべき事態ではあるが、運悪くと言うべきか。
何者かの計略によって、八尋が連続殺人犯の嫌疑をかけられ、逃げる事が叶わなくなる。

風の龍の不死者である道慈、そして巫女であるみやびのコンビによって引き離される彼らの間隙を突いて。
ギャルリー日本支部が戸籍上のジュリやロゼの兄にあたる、因縁深いアンドレアに奇襲されて。
更には解放された八尋へと、絢穂を人質にして水の龍の巫女である澄華と不死者である善のコンビが迫る。

かつて、八尋によって、筆舌し難い地獄を味わい、さらなる地獄が引き起こされるのを止める為に正義の味方のように振る舞う彼ら。
塗炭の苦しみを分かち合った彼らは、八尋を断罪しようとする。


八尋へと積年の怨みを抱く彼らは告げた。
八尋こそが大災厄の犯人である龍であると。
その事実を裏打ちするかのように、道慈と共に珠衣までもが襲来する。
動揺して暴走して、竜人となった八尋の力により、再び地獄の門が開かれてしまう。

大混乱の中で、明らかになる真実を飛び回るように各所で始まるそれぞれの戦い。
その中へ、果敢に彩葉は飛び込み、その姿と声が呪いに苦しむ八尋を解放する鍵となる。


 彩葉の力を狙い、複数の敵対組織や新たな龍の不死者が横浜の地を訪れる。
大殺戮のディテールが明らかになり、統合体の目的の一端の尻尾を掴む。

魍獣の正体、統合体の願い、そして大災厄の真実。

次々と明かされる事実を熟慮する余裕もなく、敵のおひざ元で行う力の奪い合い。
そんな、熾烈極まる激戦区で、八尋の新たな力が解き放たれ、絢穂に感応して光り輝く「宝器」が、拮抗した戦況に一石を投じる。

許せない敵を前に、手にした新たなる力。
「地」ではなく「火」として。
今までの生き様を否定するのではなく、あるがままに肯定して。
龍の力を否定するのではなく、受け入れて、手綱を握り、乗りこなす。
新たな境地に達した力が、状況を覆す余波を生む。
戦いの先を迎えるのは、新たな戦いへの誘いと不穏な予感。
絢穂の想いに呼応するように輝く「宝器」。
それが意味する物とは一体何なのか?

果たして、統合体の願いとは、世界をどのように変えようとする事なのか?

そして、自我を失った八尋を取り戻した彩葉は待ち受ける次なる試練を乗り切れるのだろうか?



この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?