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読書記録:無口な小日向さんは、なぜか俺の胸に頭突きする (角川スニーカー文庫) 著 心音ゆるり 

【小動物のような君を見て癒やされる、もう言葉はいらない】 


【あらすじ】
誰も喋っているところを見た事がない無口な小動物系美少女、小日向さん。
困っているところを助けてあげてからというもの、小日向さんがやけにスキンシップを図ってくる。
お揃いのストラップを付けたいと甘えてきたり、ぺちぺちと小さな手で無言のコミュニケーションを取ってきたり。
挙句の果てには二人きりの部屋で無防備にも俺のひざに寝転がり、安堵した顔で眠り始める始末。

「……もしかしてちょっと照れてる?」「……(ふるふる)」

何も話さない代わりに俺の胸に頭を押し付けてくる小日向さんは、とってもかわいい。
甘えん坊な無口ヒロインに癒されるラブコメ開幕。

あらすじ要約
登場人物紹介

女性に苦手意識を持つ智樹は、ある困り事から明日香を救う事で妙に懐かれる物語。


愛玩動物を愛でると、心の底から沸々と優しい感情がこみ上げる。
それは、恋愛感情とは違う、ある種の母性本能の様で。
その笑顔を守る為に何でもしてあげたいと思う。
無表情で無口ゆえに、態度で意思表示する明日香に甘えられる事で。
言葉はなくとも、甘くて尊い砂糖菓子の様な時間を過ごす智樹。
温かい関係の中で張り詰めた心は溶けていく。
それは、もう言葉は必要ない程に。

そもそも、無口という部分はクールという要素にクールな性格だと繋げる事もある。
敢えて、周りとコミュニケーションを取ろうとしない姿勢だとみなされる。
だが、ラブコメにおいては無口というのは強みとなるのであろうか。
台詞という武器なしで魅力を引き出す事が出来るのか。

可憐さと小動物のような可愛さで、周囲からは人気を密かに集めている少女、明日香。

そんな彼女が自販機の下に五百円玉を落としたのを助けてあげた智樹。
幼少期のとある事件により女子にトラウマを持っていて。
ある程度の時間、接し続けていると具合が悪くなる彼。
きまぐれのように彼女を助けて、新しい季節に同じクラスとなる。
そんな智樹に付きまとっている悪い誤解から来る噂に勘違いされてしまい。
明日香の幼なじみであり保護者役の野乃を始めとする何人かの女子から釘を刺されてしまう。

智樹の幼少期のトラウマに噂が尾ひれがついて、女性に手をあげたり、弱者に恐喝する最低な悪評が立ち込めていた。
そんな人間が学校のアイドルである明日香と仲睦まじくしているのは、事情を知っている女子からすれば面白くない。

無口キャラにありがちな文字による意思疎通も単語だったり、誤字といった言葉足らずのような形のコミュニケーションが庇護欲をさらに醸し出す。
ジェスチャーやスマホの画面で意思疎通を図る健気な不器用。
可愛さとは言葉からではなく、雰囲気や挙動から生まれるという事を教えてくれる。
ちっちゃな明日香が全力で気持ちを表現してくれていると、智樹自身にわだかまる古傷が疼いていく。

そんな過去のトラウマに苦しむ智樹を、2人をサポートする景一と冴島さんも優しく手助けしてくれる。
修羅場を目撃した智樹の親友、景一から誤解を訂正してくれて。
謝りに訪れた野乃をかわしきれず。
かと思いきや何故か、明日香がお弁当を持って彼の元に押しかけてきて。
気が付けば何故か、昼食を一緒に取る事となる。

それだけで終わるかと思えば、この日常は積み重なりだすのである。
智樹を心配する景一の企みにより、明日香と野乃が智樹のバイト先までやってきたり。
更には家にまで突撃しに来たり。
彼女達という彩りが加わる中、ふと気が付くと智樹にとって明日香は、楽で心休まる相手になっていく。 

お揃いのストラップを付けたがったり、彼女の家に招かれて破天荒な姉と遭遇したり。
更には彼女に、まるで兄妹のように安心して寄り添われたり。

言葉は無いけれど、それを補うように行動で示してくる。
まるで甘えてくる小動物のように。
ぐりぐりと距離を詰めてくる。
そんな彼女の様子が、秘かな彼女のファンに見咎められてしまった時に。
明日香はまるで失いたくないとでも言うかのように、智樹に甘える動作をこれでもかとアピールする。

そんな彼女の行動が功を奏して、ファン達の萌えを引き出す事に成功する。
また彼らと共に過ごす日常を取り戻す事が叶うのである。

陽だまりのような温かさとミルクティのような甘さに満ちている二人の関係。
心がほっこりと温かくなる関係を築けた二人には言葉はなくても、その関わりこそが心を癒やしていく。
傷ついた智樹の心が彼女との甘い逢瀬の中で、再生していく。

何気なく動き始める日々、変わり出していく日常の彩り。果たしてその先に二人の関係はどう変化していくのだろうか?
周りから少しずつ、注目を集めていく二人が認められる事はあるのか?
そして、明日香が最初に発する言葉はどういった物になるのか?

以心伝心して優しい関係を築ける彼らはこの先どんな関係を築いていけるのだろうか?




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