ポメラで日記42/感情ジェットコースターお休みの日編
454円の謎
金曜日、もう北と縁が切れてもいいと思うほど腹が立っていた私。
北も、私の切り口上に穏やかではないようだった。
しかし、北の方がやはり冷静。
「落ち着いて聞いて、なんの感情も持たずに聞いて、しばらく黙って聞いて」
そう言うと話し出した。
「君は、最近、俺の気持ちを先回りして『こうだろうからごめん』『こう思うだろうからやめとく』。それ、俺の気持ちとは関係ないよね」
「いいから黙って聞いて。マニピュレーターのことがあってから、君は傷つかないためか、そうやって予防線を張ってくる」
「いいから黙れ。君の病気も分かっているし、君が傷ついて怯えていることも分かっているけど、俺はいい加減不快だ」
黙れ、黙れと言われているのは、まあ、私が何回も口を挟もうとしたから。
「冷静に考えて、話し合って、解決しないことはないと俺は思う」
独裁者に聞かせたい言葉を北はつぶやいた。
居心地が悪いまま、病院、買い物を済ませて、帰ってから私の家計簿付け。
私のお財布は一部北と共有しているので、買い物をする度に採算をするのだが、「454円」合わない。
私はクラウド型の家計簿、北は手書きの家計簿で管理していて、付き合わせても合わない。
3時間ほど悩んで、北が気がついた。
「君、WAONでポイントチャージしなかった?」
「ああ、したね。レシート出し忘れた…」
AEONで買い物した(買うか買わないかで迷って、数回レジを通った)レシートを時間を追って見ていくと、ある時間から残高がおかしい。
「これだ」
「454円」の謎はあっけなく解けた。
ULTRAYUZU
北が目にして、気になったという。
「ULTRAYUZU」
「B'zの歌みたい」
と笑っていたが、HPを見たらまさにコンセプトがそれだった。
「いいのかー!」
と笑いながら飲んだゆずのお酒は、6%のアルコール度数だけれど、私にも飲みやすかった。
千代むすびが県内の酒造なのは知っているが、最近よく見る気がするんだよねー、と言いつつ、謎のゆず縛りおつまみを開いていく。
ゆず味の海苔天は私がどうしてもと言ったもの。
ゆず胡椒のおせんべいはとっても辛くて二人とも悶絶しつつ、でも癖になって手が止まらない。
初物の梨、巨峰も食べた。
「ULTRAYUZU、1600円だから、普段は飲もうと思わないけど、たまに飲むなら気持ちいい贅沢だと思うよ」
「そうだね」
「まあ、今夜は出版記念だし」
私はやはりもうアルコールをそんなに飲めなくなって、グラス1杯。
残りは北が飲みきった。
普段は顔が真っ赤になるのに、ずっとしらふのような顔色だ。
いいお酒だったようだ。
ソフトクリームを食べに
土曜日、雨の予報だったが、降らない。
お百度参りに行く前、ふっと
「ソフトクリームが食べたい」
と私が言う。
この辺でソフトクリームと言ったら、「大山・みるくの里」が有名。
でも、私たちは「道の駅・めぐみの里」の紅茶ソフトが好きだ。
「まあ、今日は俺のおごりで」
と北が言ってくれた。
行きは自動車道を使ったけれど、あんまりいい天気で
「海辺に行きたいね」
と、帰りは下の道で帰ることにした。
道の駅に着き、北がポケットから財布を取り出そうとして
「君の家に忘れた」
と呆然としている。
「いいよ、私が出す」
ソフトクリームを無事買って、食べて手を洗ってから、私は切り出す。
「お財布を忘れたってことは、今免許不携帯?」
「うん」
「神社には行くけど、まっすぐ帰ろう」
海辺の道はまた今度。
千代むすび
神社に着くと、空に巨大な「昇龍」がいた。
「え、あれ飛行機雲じゃない…?あ、確かに飛行機雲にしたら太い」
北は珍しそうに見上げた。
勝田神社では、前撮りなのか結婚式なのか、華やかなは打ち掛け姿の女性と、紋付き袴の男性、カメラマンなどが先客にいた。
お稲荷さんとかで時間を潰して、一行が場所を離れた隙にお参りを済ます。
「千代むすび、ここにあった」
何回も見た記憶なはずだ。
毎日来る神社の奉納品だ。
こういうシンクロニシティはよくあることだが、驚いた。
「ここ、酒粕からジンも作ってるってHPにあったよ」
「へえ」
「ラベンダーの香りがするって。どんなだろう」
「想像出来ない」
「境港に行った時でもよってみようか」
そんな話をしながら、「交番」の前を通りかかる。
「今、殺人も放火も誘拐も起こらないことを祈る。検問はやばい」
「そうだね」
他愛ない話をしながら、家に帰った。
もう飲み干してしまったお酒の酔いが、ふと蘇ったような気持ちよさだった。
雨降って…
土曜日からずっと晴れ。
明日は午後から雷雨の予定。
今朝もお百度参りに行ってきたが、もしかしたら写真消えてるかも…
朝からスマホの調子悪かったんだよね。
まあ、この機会に放置していたSDカードをそれぞれの端末に入れて、バックアップを取っておく。
私も調子悪いし、これだけそばにいるスマホも調子狂うかな。
31日の満月は見えるだろうか?
写真に撮れたらうれしいな。
北は今日の深夜から仕事で、朝帰宅時に電話をしてきた。
「昨日のギルバトどうだった?」
「今日の昼はガチるか」
他愛ない会話。
「そこまでしんどいなら、いっそ生理きてしまうと対処が出来るのにね」
北の心配も素直に受け入れられる。
「医大が認めた「効かないロキソプロフェン」飲んで、安静にしとくよ」
「そうしてくれ」
『話し合いで解決しないことはない』か。
それはとても綺麗な言葉で、理想論だって分かっているけれど。
北は、私とは話し合えばわかり合えると思ってくれているんだ。
また揺れる日も、凪じゃない感情も、来るだろう。
それでも、『話し合えたら』いいね。
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