書籍紹介_ザ_ゴール

みんなに読んで欲しい良い本~その1「ザ・ゴール」~

なんかざっくりしたタイトルで申し訳ない。どうもウチダです。
僕はプロダクトデザイナーなんてやってますが、読書が割と好きでして、デザイン書籍より別ジャンルの本ばかり読んでいます。しかも読みきれないことがほとんどです。

そんな僕でも読み切れて、かつすごくためになった本がこちら。

■ザ・ゴール (エリヤフ・ゴールドラット著)

界隈ではめっちゃ有名なアレです。17年間邦訳が禁止されてたとか言うホントかウソかわからない触れ込み付きの本です。
この本の著者エリヤフ・ゴールドラットさんは、生産スケジュールソフトを販売していたユダヤ人物理学者です。
彼のキレキレのシステム理論は結構感動しますよ。
ちなみにジャンルとしてはビジネス書に当たります。


■ざっくりしたあらすじ

主人公は「アレックス・ロゴ」という妻に息子・娘のいるプラントマネージャーです。初期設定からすでになんか勝ち組臭いのがなんともアメリカンで良いですね。
そんなアレックス、いろいろ上層部のクソ経営のアオリを受けて、後一ヶ月で結果が出ないと工場を閉めなくてはならなくなります。
え?なにそれ?俺のキャリアここで終わり!?そんな気持ちで失意に沈んでいたら、かつての恩師「物理学者ジョナ」(言うまでもなく作者)と偶然再開します。
このジョナがアレックスに工場運用のヒントを授けてから、進研ゼミの漫画みたいなノリで今まで受注残まみれだったクソ工場が一気に余剰生産力を持った工場に返り咲きます。ちなみに、彼の夫婦仲も工場の状況と相関して上げ下げします。こんなとこまで進研ゼミライクです。
彼や彼を救った幹部のみなさんももれなく出世し、ハッピーエンドで幕を閉じます。


■制約条件理論 (Theory of constraints) 

さて、この本の唯一にして最大の理論が「制約条件理論 (Theory of constraints)」です。俗に「TOC」 なんて呼ばれています。
この理論は、「工場ラインは一番トロくてダメなセクションに合わせてリソースを割き、最適化すること」という一言に集約されます。

もう少し一般化すると、「ビジネスのフロー一般は、一番効率の悪い部分をいち早く発見し、そこに全リソースを割くと全体として効率がよくなる」という事を言っています。つまり工場以外のお仕事でも応用できる考え方ということです。

とはいえどういうこっちゃということで、これを読んだ時に僕が思い出した絵を下に挙げてみました。(※画像1)

(画像1)

この桶は「リービッヒの最小律」という理論を絵で示したモノだそうです。昔理科の教科書で見たのをうっすら覚えていました。
この理論は植物がよく育つ条件は、必要な要素の一番少ないところで限定されるというものです。
工場もこの法則に同じく、最低効率点以外の効率をどれほど上げても、全てその点によって効率が限定されます。
この最低効率点を「ボトルネック」といいます。


■工場は砂時計のよう

(画像2)

工場のラインは例えるなら砂時計のようなものです。(※画像2)
砂時計のくびれてるところが「ボトルネック」に、砂は流れてくる「仕事」に、砂の通り道の細さが「処理スピード」に当たります。

ここで、砂時計のくびれ以前と以後を考えてみます。
くびれ(ボトルネック)以前の部分では、どれほど砂(仕事)があってもボトルネックの細さ(処理スピード)でしか砂は落ちません。
逆にボトルネック以後の空間(処理スピード)にどれほど余裕があっても、流れ落ちる砂は細いままです。

結局、問題の箇所の前後をどれほど強化しても、問題箇所の処理スピードの弱さに全てが引っ張られてしまう状態になります。
逆に、問題箇所の出力底上げが結果的に全体の出力の底上げになると言えます。

この考えで行くと、仕事がめちゃくちゃ早い優秀な人を強化するより、スピードについていけていない人を全力でサポートしたほうが結果的に効率がよくなるということになります。(まぁそれは仕事が直列で動いているときに限るのですが…)


■プロダクトデザイナーとして考えられること

プロダクトデザインはチームプレイです。僕はそれっぽい図面は引けても、金属を曲げたり、機械工作をしたりは出来ません。
当然ながら僕に出来ない仕事は、誰か別の人が僕より後工程で行うことになります。
この時、後工程の人の処理スピードを極端に下げるような特殊なオーダーをしたりすると、後工程をボトルネック化する可能性が上がります。
デザイナーとして品質に妥協するのは良くないですが、一点物でも無いのならば、効率を殺しすぎるのは返って品質を損ねます。

このあたりを勘違いして「俺の考えた最強の〇〇」を作ってしまうと、悲しい結果になってしまいます。


■さいごに

この本はすごい汎用性の高い良い知識の詰まった本なだけに話したいことが山程あって正直キリがないです。

とにかく皆さん、ぜひ手にとって見てください。お時間ない人、活字苦手の人には漫画版もありますので。

では今回はこんなところで。さようならー


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