えみーる

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小説を読むのが好きです。 YouTubeに動画を投稿しています。 https://www.youtube.com/channel/UCyksPlE8ah4bKWgSjJuGYFw

最近の記事

夏目漱石『吾輩は猫である』を読みました

感想です。 ※ネタバレかもしれません。 おもしろかった!途中から猫の吾輩も饒舌にしゃべるようになるし、迷亭先生もいつも嘘つらつらだし、人物が増えてしゃべりのパターンも増えて展開してって。でもほんとにこういう話を集まってはだらだらとしてたんやろなーと思えた。すごく楽しそう。結婚しても変わらない関係っていいですね。そして、苦沙弥先生の奥さんのファンになりました!笑 かわいくないですか!?ちゃんと自分の思ったことを素直に言うところ、頭に丸いはげが出来てるけど、そこまで気にしていな

    • 小説推敲補助ソフト「Novel Supporter」で芥川龍之介6作品を比較しました

      小説推敲補助ソフト「Novel Supporter」を使って、芥川龍之介の6作品を比較しました。 「Novel Supporter」(c) 2017 Masakazu Yanai https://crocro.com/pc/soft/novel_supporter/ 比較したのは「羅生門」「鼻」「芋粥」「地獄変」「杜子春」「トロッコ」です。特徴や共通点、相違点を調べてみました。 (本文は青空文庫より) ①文の長さ 「地獄変」は長い一文が多い。「時系列分析」では、漢字含有

      • 【比較】芥川龍之介「芋粥」 宇治拾遺物語との違い(巻第1-18「利仁署預ノ事」)

        芥川龍之介「芋粥」は、今昔物語や宇治拾遺物語に載っている話を題材にした作品です。 宇治拾遺物語 巻第1-18「利仁署預ノ事」と比較しました。 1、共通する登場人物、ストーリー紹介それではまず、共通のあらすじをざっとご紹介します。 ①登場人物 どちらも五位と利仁という2人の人物が出てきます。二人は摂政藤原基経に仕えていて、利仁は藤原時長の子の武士です。 ②ストーリー 大饗(大臣に任じられた時、正月の初に諸大臣以下殿上人を招いて饗応する行事)が終わったのち、給仕した者たちで

        • レイ・ブラッドベリ『華氏451度[新訳版]』感想

          レイ・ブラッドベリ『華氏451度[新訳版]』(伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF)を読みました。 文庫裏のあらすじを引用します。 ※感想です ネタバレがあると思います。 すごく面白くて、すごく考えさせられました。 1、豊かな文章表現 初めは文章が独特で読むのが少し大変に感じてしまいました。それは比喩表現が多く抽象的な世界で、例えばモンターグの妻がベッドで横たわって夜を過ごす様子は、 と表現されています。 現実に付随する想像の世界の割合が多く、幻想のような雰囲気も持って

        夏目漱石『吾輩は猫である』を読みました

          ロバート・A・ハインライン『夏への扉[新版]』感想

          ロバート・A・ハインライン『夏への扉[新版]』(福島正実訳 ハヤカワ文庫SF)を読んだ感想です。 あらすじを文庫裏から引用します。 この小説は題名は聞いたことがあったのですが、どんなお話なのか知らずに読みました。読む前は、表紙に書かれた猫と、猫が夏につながる扉を探しているというあらすじから、可愛らしくてすこし不思議な話を想像していました。 その予想は覆され、主人公のダンが婚約していた女性に裏切られて発明品と会社を失い、猫のピートとも離れ離れになったり、はらはらする展開でし

          ロバート・A・ハインライン『夏への扉[新版]』感想

          最近読んだ本の感想

          最近読んだエッセイなどの感想です。 宮本輝 吉本ばなな『人生の道しるべ』(集英社)  宮本輝さんと吉本ばななさんの対談の本です。宮本輝さんの前書きから、吉本ばななさんのあとがきまで、とてもよかったです。  小説家さんって、文章が上手い人というより、世界からたくさんの事を見て取る人なんだなぁとお二人の話から思いました。他作品にたくさん触れるからだけじゃなくて、どれだけ普段から環境や人から感じ取っているか。言葉になるもの、ならないもの、どちらも。 お二人は、幼いころの私が憧れ

          最近読んだ本の感想

          芥川龍之介「鼻」を宇治拾遺物語と比べました

          芥川龍之介の「鼻」は今昔物語や宇治拾遺物語に載っている話を題材にした作品のようです。 気になったので、宇治拾遺物語 巻第二 七「鼻長キ僧ノ事」と比較してみました。 比べたのは内供の人物像とストーリーです。 1、内供の人物像 比較まず共通する部分は、鼻の長い僧が出てくることでした。 芥川の鼻では「禅智内供」、宇治拾遺物語では「禅珍内供」という名前です。どちらも池の尾という場所に住んでいます。 ①鼻の様子 どちらも5、6寸(15~18cmほど)で、長さはあごの下まであり

          芥川龍之介「鼻」を宇治拾遺物語と比べました

          文字が並ぶ本を読んで、なぜ感動するのか

          ずっと疑問に思っています。 書き手の方が込めた思いはもちろんあると思いますが、 完璧に読み手に伝わるかというと、そうではないと思います。 では伝わっているものは何だろうと考えます。 感動するポイントは人によって違うと思いますが、 1、読み手自身の経験が思い出されたとき。 2、知らなかったことを知ったとき。 3、表現、テンポ感、雰囲気。 思いついたのはこの辺りです。 1、読み手自身の経験が思い出されたとき。自分が経験したことがある話だと、より共感しやすいです。 感

          文字が並ぶ本を読んで、なぜ感動するのか

          電話を取らなきゃと思うほど取れなかった

          新入社員の時、会社外からの電話をなかなか取れませんでした。 わからなかったらどうしよう、何を聞かれるのだろう、という不安のせいでした。 わからなくてもとりあえず出てみるのが必要なこと、 周りの方が助けてくださるとわかっていましたが、怖くて配属から数週間一度も出られませんでした。 私がしたことは二つです。 1、家でイメージトレーニングをしました。 机の前に座り、電話を取るところから終わりまで動作付きで声に出して練習しました。 (受話器をとる)→「(会社名)の○○です

          電話を取らなきゃと思うほど取れなかった

          (感想)桜庭一樹『青年のための読書クラブ』(新潮文庫)

          浪漫がつまっていました。なぜちょっと昔の時代の話はこうも心惹かれるのか……。 ある時代の一人が主人公の話ではなくて、連作短編の形で 各時代の女学校の読書クラブが描かれる話でした。舞台となる場所は変わらないけど、時は流れ在籍する子たちがどんどん変わっていきます。部室自体もどんどん古くなります。長い時間の流れが描かれることによってか、人物との距離が、一枚フィルターをかけたように少し離れて感じました。もうずいぶん前のことだから一緒にいることはできないけど、少しのぞかせてもらってる、

          (感想)桜庭一樹『青年のための読書クラブ』(新潮文庫)

          (感想)筒井康隆『旅のラゴス』(新潮文庫)

          ※ネタバレがあると思います。 「超能力」がメインの世界というより、ラゴスさんが旅をする話、という印象が私の中では強かったです。 ラゴスさんが一年、また一年と過ごすうちに積み重ねていく経験が、読んで旅を共にする読み手の中にも少しずつ積もりゆくようでした。文庫本自体はそんなに厚くないのに、充足感が大きかったです。ラゴスさんの一代記のようで、密度が高く感じました。 密度の高さは、各地で出会う人が個性的で魅力的だったのも理由にあるかなと思いました。一つの場所のことを記されている

          (感想)筒井康隆『旅のラゴス』(新潮文庫)

          (感想)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J.D.サリンジャー 村上春樹訳(白水社)

          描かれる感情が細やかでした。若い時の言い知れぬ不安というか、何かしたい、けどこれじゃない、何かが出来る気がする、これからどうなる? 楽しい、楽しくない……ころころと変わる気分。すごくわかる気がしました。 私自身思い出したのは、お正月に田舎に帰ってだらだらと過ごした時間です。ただ時間が過ぎていくと、何かしなくていいんだろうかと焦りのような、心が苦しいように感じることがありました。今でもたまにあります。 主人公の僕は、優しいと思いました。それは好きな人にも嫌いな人にも、平等に接

          (感想)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J.D.サリンジャー 村上春樹訳(白水社)

          驚いている姿が好き。アニメの話。

          ひとつ前のnoteにも書きましたが、「ドラゴンボール」で絶対負けると周りが思っている中で悟空が勝つシーンが好きです。 アニメをそこまで見てきた私たちは知っている悟空の強さを、まだ知らない登場人物たちが知って、驚いているところを見るのが楽しかったです。 今「異世界食堂」というアニメを見ているのですが、このアニメにも共通する面白さがあるのかも、と思いました。雑居ビルにあるレストランが週に一度だけ、異世界につながる話です。お客さんは異世界の住人なので、お店の料理すべてが見たこと

          驚いている姿が好き。アニメの話。

          読んで笑った小説

          三浦しをんさんの『本屋さんで待ちあわせ』(だいわ文庫)で、読んで笑った小説が紹介されていて面白かったです。私自身も読んで笑った小説について思い返してみました。 実際に読んでいて吹き出した覚えがあるのは、初野晴さん『退出ゲーム』です。読んだのは高校生のころでした。 面白かったのは表題作でもある「退出ゲーム」です。退出ゲームは、舞台上での即興劇のようなゲームです。相手チームとの戦いで、割と予想もつかない即興のセリフが出てきて面白かったです。 また、吹き出したかは覚えてないで

          読んで笑った小説

          (感想)吉本ばなな『キッチン』

          すごく力をもらえた気がしました。ことばがそっと心に寄り添ってくれる感じです。 初めは文章表現の、天気を表すのにこの単語を使うのか!等が新鮮で、文章ばかり見ていました。でも話がすすむにつれ、細部まで読むのがじれったくなる程物語に惹きこまれ、続きが気になりました。 想像を膨らませてくれるたくさんの擬音語と擬態語、表現。人物たちの心の動きと、着眼点。台所が好き、から話がはじまるのとか、雄一は暇な時間が嫌いとか、えり子さんは大きな買い物をするのが好きとか、細かなところから個人の姿が立

          (感想)吉本ばなな『キッチン』

          下校を見守る方のやさしい声

          最近いいなとおもったことです。 横断歩道で、下校する小学生たちが渡るのを 旗をもって見守る方がいらっしゃるのをたびたび見かけます。 「気を付けて帰ってね」という声が優しく、心があたたかくなりました。 私が小学生だった時も、下校時に見守ってくれた方がいたなぁと思い出します。 大人になって車を運転するようになると、事故を起こす危険を知りました。 以前横断歩道を渡る人に気付かず道を曲がろうとしたことがあります。 気付いて止まり、事故にはならなかったのですがとてもひやひや

          下校を見守る方のやさしい声