文字が並ぶ本を読んで、なぜ感動するのか

ずっと疑問に思っています。

書き手の方が込めた思いはもちろんあると思いますが、
完璧に読み手に伝わるかというと、そうではないと思います。

では伝わっているものは何だろうと考えます。


感動するポイントは人によって違うと思いますが、
1、読み手自身の経験が思い出されたとき。

2、知らなかったことを知ったとき。

3、表現、テンポ感、雰囲気。


思いついたのはこの辺りです。

1、読み手自身の経験が思い出されたとき。

自分が経験したことがある話だと、より共感しやすいです。
感動にもつながりやすいと思います。
私は恋愛に疎く、「失恋」の気持ちがよく分かりません。
以前失恋がテーマの本を読んで「そういう気持ちなんだ」と想像することは出来ました。
ですが実際に経験している人とは見えているものが違う気がしました。
そう感じたのは巻末の解説を読んだときです。本当に気持ちがこもっていて、ここまで誰かの心を動かす作品なんだ、と解説から知ることが出来ました。

文章は書き手の思いが込められて出来ています。
それとは別に、読み手は触発されてそれぞれ自分の経験を思い出します。
二つが合わさることで、より深く感動すると感じました。

2、知らなかったことを知ったとき。

自分が今まで知らなかった考え方、知識に出会うと「面白い」と感じます。
本に限ったことではないですが。映画でも漫画でも人との会話でも、新しいことを知るのは楽しいと思います。自分とは違う物の見方など。

3、表現、テンポ感、雰囲気。

文章のリズムや表現の仕方はそれぞれです。
これはもう好みです。好きなリズムだと、感情も乗りやすい気がします。



結局はよくわかりませんでした。



そもそも「文字の羅列である本を読んで、なぜ感動するのか」と考えるきっかけとなった本は、あさのあつこさんの『NO.6』(講談社文庫)です。

中学生の多感な時期に読んだためか、すごくハマりました。
文字は記号。その組み合わせで人を感動させられることに驚きました。

映像があるわけじゃない。色や音楽もついていない。

でも読んでいると頭の中では、登場人物は話し、走っています。
泣いて、笑って、怒っていました。
本当に生きているよう。すごく不思議に感じました。


好きなところです。

◆世界観
NO.6という管理された社会と、その周りに広がる西ブロック。
自分の生きる世界と違う、本の世界に夢中になりました。

◆「ネズミ」16歳の大人びた少年。大人になり切れない真っすぐさがあります。中学生の私の心は彼に鷲掴みにされました。

◆「イヌカシ」職業名で呼ばれている。普段は強めの口調ですが、少女のように震えるところでギャップにやられました。大好きなキャラです。

◆「紫苑」天然で誰もが心を開いてしまうが、一番掴めないキャラ。優しくて残酷。好き。


アニメもストーリーは少し違いますが、とても良かったです。

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