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ワクワクをカタチに

その昔、私には大好きなおじいちゃんがいた。

夏休み、おじいちゃんの家へ遊びに行くと、いつも満面の笑みで迎えてくれた。
一緒にプールに行ったり、お祭りや縁日に行ったり、それは私たちにとって夏休みの中でも特別にワクワクする時間だった。

おじいちゃんは料理が得意で、遊びに行くといつもカレーを作ってくれた。市販のルーを使うのではなく、カレー粉を使って一から作る本格的なカレー。
団地の狭い台所からは、いい匂いと共に、いつも鼻歌が聞こえてきた。ご機嫌なおじいちゃんの鼻歌は、私たちをいっそうご機嫌にした。

だから今でも、どこからか鼻歌が聞こえてくると、思わず顔がほころんでしまう。
鼻歌というのは、緊張やストレスといったものとは無縁で、機嫌が良くなると思わず自然に出てしまうもの。それは、幸せのバロメーターと言えるかもしれない。

友人が昔やっていた絵画教室のキャッチフレーズが「鼻歌を歌うように絵を描こう」というものだった。構図がどうとか、陰影がどうとか、そんなことは置いといて、とにかく自分のココロがウキウキするような絵を描こうというもの。何をするにも、まずは楽しむこと、シンプルだけどとても大切なメッセージだった。

そう言えば先日、写真をなりわいにしているという若い女性2人がNOMAyadoを訪ねてくれた。何台ものカメラをぶら下げ、鼻歌交じりに楽しそうにシャッターを切り合う2人。写真を撮ることが楽しくて仕方ない、仕事とかプライベートとかまったく関係無く、純粋に写真が好き。そんな彼女たちの鼻歌がもっと聴きたくなって、次の朝近所の造船所跡へと散歩に連れ出した。

近所の造船所跡

不思議な空間を目の前にして、彼女たちは何に心を引かれ、レンズを向けるのか、とても興味があった。その風景を純粋に面白がる2人、みるみるテンションが上がって、おのおの独自の視線で風景を切り取りはじめた。そして誰も居ない海岸へと連れ出すと、思惑通り鼻歌が飛び出した。そんな2人の鼻歌を聴いていて、だからこの場所にNOMAyadoを作ったんだと、とても幸せな気分になりました。

造船所から続く海へのレール

けれど私自身振り返ってみると、正直もう何年も鼻歌なんて出てきた事が無い。
それって年齢的なものなのか、いやいやおじいちゃんだって昔歌ってた。

客室の掃除、シーツ交換、お客様をお迎えする準備の中で、まずは意識的に鼻歌を歌ってみることにしよう。鼻歌先行でお客様をお迎えするワクワク感を高めよう!

「ワクワクをカタチに・・・、純粋に今を楽しむこと」
改めて、とても大切なことを思い出した気がします。

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