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詩 川辺のジャム

詩 川辺のジャム

小さな庭を出て
長くつづく道を一人きりで進み
節操もなく万物に祈る

誰かがしあわせであるように
君が安らかであるように

君の川辺を歩き
砂利の上でステップを踏みながら
草いきれのなかを進む

懐かしいうたを歌い
細い風をうなじに遊ばせながら
桑の実を採りに行く

君の紡いだ糸は
わたしの藍のスカーフに

ちらちらと光る波と
その深い色と
爽やかな木陰と

ここに在るなにもかも
一緒に煮詰めて

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はざま (春)

はざま (春)

    春と夏のはざま
    淡く 脆く 危うげな今日の日が
    過ぎてゆこうとしています
    夏になろうとしています

    初夏 私が一番好きな季節
    あなたの庭に バラが咲く季節

    始まりを告げる 春よりも
    心躍る日が 来るはずなのに
    
    春よ 行かないでと
    願ってしまう
    夏よ 来ないでと
    願ってしまう

    私の願

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はざま (冬)

はざま (冬)

冬と春のはざま

柔く 鋭く 揺蕩い積もる今日の日が

過ぎて行こうとしています

春になろうとしています

心湿らす冬よりも

瑞々しい日が来るはずなのに

冬よ、去らないでと願ってしまう

春よ、目覚めないでと願ってしまう

私の願いは届くでしょうか

果たして誰に届くでしょうか 

神や仏やそのほか色々

そんなに遠く届かなくっていいのです

新たな場所に震える君に

君の隣を駆け抜くシーン

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