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慢性骨髄性白血病

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慢性骨髄性白血病(CML)の記事をまとめました。
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記事一覧

慢性骨髄性白血病の方の花粉症

慢性骨髄性白血病の方の花粉症

スプリセルを内服したら、花粉症が軽くなったというツイートを元に、なるほどそういうこともあるかもなと思いました。

花粉症は、主に花粉の影響で肥満細胞からヒスタミンなどの物質(メディエーター)が放出されることで、症状がでます。
SYKというキナーゼを抑えると、肥満細胞のメディエーターの放出が抑制されることがわかっています。
スプリセルもこのSYKを抑える働きがあるため、花粉症症状が改善することもあり

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慢性骨髄性白血病と新型コロナウイルス

慢性骨髄性白血病と新型コロナウイルス

一年前に新型コロナウイルスが中国で発見され、あっという間に全世界に広がり、2020年は新型コロナウイルスの年となりました。

私は医療者として飲み会も帰省もない年末を過ごしています。

血液疾患の患者さん達は、新型コロナウイルスにかかると重症化し死亡する可能性が高いことが分かりつつあり、私たちよりも恐ろしい日常を過ごされているかも知れません。本当にしんどい一年でしたね。

ワクチン接種でコロナを恐

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慢性骨髄性白血病の方の妊娠

慢性骨髄性白血病の方の妊娠

慢性骨髄性白血病の治療薬であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、胎児への悪影響を懸念して、妊婦には基本的に服用させません。また内服中に妊娠しないように説明しています。

どのような影響があるのか、どのようにして妊娠すればよいのかお話します。

慢性骨髄性白血病は若い方でも発症することのある病気であり、これから結婚、妊娠というライフイベントを控えている方にとって、「妊娠は可能なのか」、「どのように

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慢性骨髄性白血病を深く知る part 3

慢性骨髄性白血病を深く知る part 3

これまでpart1で慢性骨髄性白血病の概要(詳しめ)、part 2でチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の副作用について書いてきました。

part 3では、TKI時代における予後について書いていきます。

part 1でも書きましたが、TKIのない時代、慢性骨髄性白血病は5年後に爆発する時限爆弾でした。骨髄移植をしないと長期生きることはできない病気でした。

それが最初のTKIであるグリベックが登場

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慢性骨髄性白血病を深く知る part 2

慢性骨髄性白血病を深く知る part 2

前回の続きです。

part 2ではチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の選択と副作用について書いていきます。

(長くなりましたので、予後はpart 3へ持ち越します)

TKIの選択現在、慢性骨髄性白血病に適応のあるTKIには、

第一世代:グリベック

第二世代:タシグナ、スプリセル、ボシュリフ

第三世代:アイクルシグ

の5種類があります。

それぞれ出やすい副作用が異なります。そのため、患

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慢性骨髄性白血病を深く知る part 1

慢性骨髄性白血病を深く知る part 1

慢性骨髄性白血病は英語でchronic myeloid leukemiaと言いますので、CMLと略します。

発症率は一年間に約1人/10万人です。

どのような病気か詳しく説明します。難しい話もありますが、出来るだけイメージしやすく解説していきます。全部理解していただければ、今までより深い知識を得られると思います。

発症機序原爆が落ちて、6年後にCMLが増えました。このことより、体に一つCML

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