美術館レポ イサムノグチ
@香川県高松市牟礼町 イサムノグチ庭園美術館
2020年秋、GOTOで四国に旅行した際に訪問し、とてもオススメだったのでレポートします。
20210424-0829に東京都美術館で展覧会「発見の道」が開催されますので、そちらもどうぞ。
この庭園美術館は、イサムノグチ(1904-1988)が実際に活動していたアトリエと住居です。完全予約制で開館日が少ないので旅行の予定が決まり次第、スケジュールに入れると良いです。開館日は火曜、木曜、土曜の10時、13時、15時の1日3回制となっています。大人2,200円。バスやタクシーでも行けますが、本数も少ないので車での訪問がオススメです。
・アトリエもお庭も野外で、お庭は高低差がありますので、ヒールでは無くスニーカーなど歩きやすい履き物がオススメです。
◇香川県とイサムノグチ
彫刻家で有る彼は、51歳の時に始めて石の産地で有るこの地を訪れ、石工の和泉さんと出会います。この和泉さんの腕に惚れ込んだ彼は、ここにアトリエと住居を構え、一年に数ヶ月春と秋にこちらで制作活動をしていたそうです。
彼の美意識が、アトリエ、庭、住居と隅々まで及んでいるのを感じる事が出来ると思います。1時間ほどアトリエとお庭を案内&自由見学させて頂けるのですが、案内してくださった方の知識が豊富で、色々質問してお話を伺うのが楽しかったです。
イサムノグチは若い頃から彫刻の才能を認められ、40代で彫刻家として世界的に成功を収めていました。お金はたくさんあったと思うので、シンプルながら財を投じたのだなという豊かさを感じました。
◇アトリエ
小さな門からスタートするアトリエ訪問ですが、その外観から"マル"と彼が呼んでいた石垣で囲われた作業場に入ります。何に数回ここに訪れて石工達と作業し、拠点にしていたニューヨークに帰って行くという生活をしていたので、現在のアトリエも彼が最後に帰って行った時のまま時が止まっていました。作品は完成したものと未完成のものが混在しており、彼の美意識によって訪問都度配されており、アトリエながら展示品としての客観的な見え方を意識したお庭になっています。
◇住居と庭園
次に住居の外観を見学です。この建物自体は元は四国の大名の家の一部を移築したもので、内部はノグチ用に西洋的な暮らしが出来るよう工夫されているとの事です。今は指定文化財になっています。中のしつらえを窓から覗けるのですが、2つの窓から覗くだけでも、シンプルな中にも計算された美しさがあり、中庭も含めてこだわりを込めて作られたのだなと感じ取れます。
庭園も、その立地からの風景は素晴らしく、連なる山々と石切場、瀬戸内海が見えます。石工さん達とお花見をしたという舞台の石や、さりげなく山に配された石に座ってみると、ここに座ってこの景色を見て彼は何を考えたんだろうと思いを馳せずにはいられませんでした。
◇イサムノグチのアイデンティティ
彼の出世については、混血であるという事と非摘出子で有る事が記録に有り、彼のアイデンティティに深く影響を及ぼしていると思います。英文学者として成功した日本人との父親と、作家でアメリカ人の母親の間にできた子供でしたが婚姻関係は無く、人生の中で父親からの愛情を感じた事は少なかったのでは無いかと想像します。母親に連れられて2才で来日した彼は、幼少期にその混血児の見た目からイジメにあっており、インターナショナルスクールに転入してからも父親から経済的援助も無かった為、母親は仕事に忙しく、甘えさせて貰える事は少なかったようです。母親はノグチがアーティストになる事を強く望んでおり、11才の頃、学校を1年休学して、茅ヶ崎の指物師(木工品の専門職人)の元に修行に行かせます。この時の経験が、のちの彫刻家としての土台になったのは間違い無い様です。「子供時代を自然の、変化に敏感な日本で過ごしたのは幸運だった」また、当時外国籍の母親から生まれた私生児は日本国籍が与えられなかった為「父母にとって(自分は)不便この上無いお荷物だった」と振り返って語っています。
また、彼は14才で大工道具を手に単身渡米させられました。しかし、2ヶ月で学校が経営破綻で閉鎖、校長先生の家にお世話になり過ごしたそうです。高校生から成績が良く、大学に医学部に通うかたわら夜間に美術学校に通っていた彼は、入学してすぐに個展を開くなど、彫刻の才能の開花させました。その後、父親のノグチ性を名乗り、彫刻の道に励む事になります。
◇作品について
若い方は照明「AKARI」や家具で名前を知っている人もいると思いますが、彼は彫刻家として世界各地に作品が有ります。庭園や公園、噴水も数多く取り組んでいます。
◇交友関係 野口英世、フランクロイドライト、アントニンレーモンド、北大路魯山人、丹下健三、三宅一生など、山口淑子(李香蘭)とは、5年間夫婦関係でした。
◇近くのオススメ
ジョージナカシマ展示場 イサムノグチとも交流のあった家具職人の展示場
タカラ(菓子店) ボリュームの有るフルーツクリーム大福が美味しいです。
栗林公園 ガイドボランティアさんに説明を受けるのと、船に乗るのがオススメ。
骨付鳥 一鶴 親鳥、雛鳥の味付けされたもも肉各一本にとり飯を付けて食べました。
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