夢見る魚

二十歳・エリックサティを敬愛しています。 Twitter @kanakichi816

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最近の記事

微罪

この街で見上げる空はいつも不機嫌で、私のことを歓迎なんてしない。 これはただの錯覚なんかじゃない。 街の空気から疲弊していて、やさぐれている。おかえりなんて言ってやらない。そんな匂いがするから、間違いじゃない。気持ちばかりの街灯も逆にこちらを小馬鹿にしているようで気に入らない。 夜、私の家から半径200mで一番明るいのは自動販売機の光で、これがまた不自然に明るいところが、「お前らにはこれくらいで十分だろ」と嘲笑われているようだ。しかし貧しい人間の中で成金が1人でもいたら多少

    • 厚かましさ

      しばらくあんまり文章を書こうという気になれなくて、自分の生活がうまくいきすぎてることに気がついた。幸い文学賞に応募する作品はもう書き終えてはいるからよかったものの、物を書きたいと思ってる、そしてその中で蟠りを餌にして筆を動かすタイプの人間にとっては、あんまり良い状況じゃないんだろうと思う。でもそれって、普通に他人から見たら幸せじゃんと言われる状態だからむずかしいね。ずーっとワガママで図々しく生きてきたけど、今回ばかりは呆れ返るレベルの我が厚かましい精神性に降参しそうです い

      • 全力戯言はじめるよ

        ハイサイどうも。なんでも鑑定団です。 どうやらネットの海には賢者が多く住んでいるらしい。その扉をたたく前んに、賢者はずかずかとやってきてこう言う「君は本質がわかっていない」 したり顔の賢者に背を向けることはすなわち負けであり、彼らは正しくあり続ける。 私はいわゆる意識高い系が苦手で仕方ない。「起業」「ビジネス」に片足を突っ込んで面だけデカくした馬鹿・・・お口が悪いですね、お調子者が非常に苦手だ。嫌悪という感情が一番近い。できれば関わり合いを持ちたくないのである(意識高い

        • 快い絶望

          若さとは何か? ここ最近厄介な問いかけばかりをしている。日々、音も立てずに感覚が鈍くなっていくのだけがなんとなくわかり、しかし逃げ出す光は見つからない。あらゆる感覚はナイフのようだ。変化に敏感で新しいものはよく切れて、飽きた途端に錆びていく。自我さえ内包して、研げども研げども元に戻ることはない。あらかた切り終わった後は捨てるしか仕様がない。 二人目の男(あるいは三人目、四人目かもしれない)と矛盾した愛の上にセックスしたその足で、カフェテリアに行きランチを食べている女。インス

          単調なマズルカ

          私には、この先、綺麗なものをただ綺麗だと眺めることさえできないだろうという確信があった。 それは綺麗なものが好きじゃ無いとか、自分の精神が汚れているからだとか、そういった類のものでもなく、くるみ割り人形のようなことだ。くるみ割り人形がくるみ割り人形であることに、疑問の余地はないだろう。実はこれは野望のイデアであり、長い髭は後に帝国を築く布石であるだとか、そんなことは誰も考えず、玩具としてただそこにある。ただそこにあるというのは不可思議なもので、我々の認識を越えようとする訳でも

          単調なマズルカ

          日々拡張ターン

          時給1000円で働いて、大学に行ったり行かなかったりして、これほどしょうもない自分がいつか人の心をどうにかこうにかできるような文章が書けるとは到底思えなかった。思えるはずもない。 自分に"何か"があるとすればそれは淀みを見つけることだけで、言語化も稚拙、発想は凡夫、度胸も無ければ知恵もない。ただ雨漏りのようにポタポタと滴っては消える悪意を掬ってはしたり顔をしているだけだ。やがて掌から零れ落ちて収拾さえ付かせない。何者かになりたいわけではないし、泣きたいわけではない。

          日々拡張ターン

          大トロが好き、と言える世の中を

          キルギスから来たという男を、ぼんやり眺めた。 私はキルギスというのが国なのか、どこかの都市なのかは判断できなかったが、包帯で腕を巻いた男が頭の中に出て来た。それはギプス。1ボケ。海に浮かぶポケモンも出て来た。それはラプラス。2ボケ。夏の間サボって痛い目を見るやつ。それはキリギリス。3ボケ。 山田と名乗るその男は、みんなの視線を背負いながら私の隣の席に座った。私がクジでズルして奪取した一番

          大トロが好き、と言える世の中を

          倫理・哲学グランプリをニヤニヤ外野から眺めている

          こんにちは、いい女です。生理も重けりゃマインドも重い、とても厚みのある人間です。さて、今年も倫理・哲学グランプリの季節がやってまいりましたね。やったーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!! 倫理・哲学グランプリってなあにみなさんご存じの倫理・哲学グランプリというめちゃくちゃポップで親近感の湧くこのグランプリ、いわゆるアカデミックなオリンピックの類の一つである哲学オリンピックIPO(International Philosophy Olympiad)が主催している

          倫理・哲学グランプリをニヤニヤ外野から眺めている

          やさしく

          ハイサイどうも!Youtuberです! 寝られない夜は寝なきゃ良いし、食べたいものは食べればいいし、抱きたい男は抱けば良い(最後はスカした) 物事は忘れていいこと、忘れてはいけないこと、忘れたいこと、忘れたくないこと、(忘れてしまうこともあるが、これは無意識なので今回は無し)の組み合わせでできてるけど、だいたい忘れていいことですよね。廊下の湿った匂い、光が溶けてくみたいな夕暮れ、悪戯な頭痛、だいたい全部忘れていいことなんだけど忘れてないんだよなあ そうい

          やさしく

          夢見るお魚

          💫隙あらば自分語りというかここはまあ私の隙なので好きにさせてくれ。すきだけに。💫 夢見る魚・東京都(20歳)…愛の戦士、純文学と芸術・映画・音楽など俗。普段は新人賞に寄稿したりへそ出して寝たりしている。ここは落書きみたいな、合間に書く適当屋さんです 私のランドセルは青だった。今はカラフルなのが普通かもしれないけれど今から15年くらい前は男の子は黒、女の子は赤、みたいな定番で構成されていて、(その2,3年後くらいからカラフルなのも珍しくなくなってきた)教室の後ろのランドセル

          夢見るお魚

          世俗的で豪華な唱句

          何かを書こうとするとき、それが一種の祈りの一形式に過ぎないということを意識すると、自分自身が可愛げのある存在に思えてきて、良い。海の底で響くみたいに心地よく紡がれる言葉にも、愛を掬うような儚い言葉にも涙を流すことが出来ずに来た自分にとって、ただそこにある言葉が確かにそうだと実感できる瞬間は少ない。多分みんなそうじゃないんですかね。知らんけど。小学生の道徳の時間に読まされた詩はなーんも覚えていないし、共感を得ないと自分は正常だとも思いこめないしどこかで倫理観がバグった人が、今日

          世俗的で豪華な唱句