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マガジン

  • 禍話リライトの記録

    自分がリライトした禍話まとめ:書く対象はその時点で他の方のリライトがまだ無い回から選んでいます

最近の記事

禍話リライト「石鹸トイレ」

九州の山にあるトイレが怖い、というお話。 そのトイレは山中にポツンとあるわけではなく、ダムに併設されているのだそうだ。 外観はまあまあ綺麗で、水洗設備も整っている。 大抵の人は普通に使えるような、まともなトイレである。 ただし、現在そこの男子トイレには石鹸がない。 これから語るのは、そうなる前の出来事。 **************** その男子トイレには、洗面台が2つ並んでいる。 石鹸置き場もそれぞれあり、ダムの管理事務所の職員が定期的に固形石鹸を補充・交換していた

    • 禍話リライト「不要の家」

      禍々しい団地の話。 **************** 社会人になっても肝試しをしたっていい。 横暴な先輩に連れられてしかたなく行く、なんてパターンもあるが、この話の登場人物は、会社の同僚達で仲の良いメンバー数人である。 彼らがその団地へ肝試しに行こうと決めたのは、ある週末の夜、仲間の一人のアパートに集まった時のことだった。 なんとなく怖い話の流れになった中で、タブーな場所について、誰かが話を振った。 いわゆる「ただの」心霊スポット ⎯ 失礼な言い方だが、そうなった原因

      • 禍話番外編(特ホウ逢禍)リライト「『リング』の思ひ出」

        この話は投稿者の体験談を読み上げる形式で披露されたので、それに沿って一人称で書きます。 ****************** 私が小学生の頃、映画「リング」の一作目が公開されました(松嶋菜々子さんと真田広之さんの奴です)。 当時の自分はまだホラーに耐性のない、ピュアで素直な子供でした。 さっちゃんの怖い話を聞いて枕元にバナナの絵を置いたり、満月の日は黒猫を恐れたり、、、 リングのことは、「呪いのビデオ」とか「貞子」とか単語レベルでしか知りませんでした。 ビデオが怖いら

        • 禍話リライト「離すなこっくりさん/こっくり井さん/こっくり貯金箱」

          こっくりさんの体験談を集めている方から教えてもらった、3つのお話。 「離すなこっくりさん」 平成になってからの話だという。 当時もうこっくりさんは「昔流行ったもの」扱いだったが、テレビやアニメなどの話題に上ることもあり、それをみた子供達が試すようなことが時々あった。 また、こっくりさんの派生パターンも色々増えていたそうだ。名前をちょっと変えただけのもの、紙などを使わず鉛筆一本で出来るもの、、 とにかく様々だったようだが、今回の話の体験者である少年にとっては、あまり興味の

        禍話リライト「石鹸トイレ」

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        • 禍話リライトの記録
          18本

        記事

          禍話リライト「手なら入る」

          今はもう取り壊されたらしい、廃神社か廃寺かのお話。 そこの山門、つまり入口は、一目で異常とわかる状態だったそうだ。 上・中・下の3カ所が、漢数字の「三」のように、黄色い紐でぐるぐる巻きにされていた。 いつ頃からそうなったのか、そもそもなぜそんな風になっているのか、などはわからなかった。 ともかく、普通の人は山門を見た瞬間に引き返すだろう。 そこで止まらなかった奴らがいた。 彼ら三人組はある日の夕方、肝試しとしてそこを訪れた。 山門の前で車を降り、紐を眺める。 彼らにはそ

          禍話リライト「手なら入る」

          禍話リライト「yのいるビル」

          「最近あいつ警備員のバイト始めたんだって」 大学の部室で怠惰に過ごしていると、そんな話が出た。 そこにいたのは暇を持て余した学生たち。 たまたまその場にいない奴の話になり、上の言葉につながった。 警備員ってお給料いいらしいね、なんて受け答えが続く。 その話はそれ以上膨らむこともなく、ダラダラと過ごし続けて、日付が変わる真夜中ごろ。 先ほど話に出た、警備員を始めた青年から電話がかかってきた。ちょうど今あるビルの警備中で、そこへ来てほしい、というお願いだった。 「『ちょっ

          禍話リライト「yのいるビル」

          禍話リライト「封筒の届く家」

          禍々しい家の話。 ****************** ある地方にあった賃貸の古い一軒家。 そこには初老の男性が一人で住んでいた。 男性は身寄りもなく、また年金暮らしなのか、外へ働きに出なくても済むようで、あまり周囲との交流はなかった。 この男性が問題だったのではない。 その家の玄関にある郵便受け、つまりポストが時々変だったという。 近所の住民いわく。 ⎯⎯ 夜遅くや早朝にその家の前を通ると、ポストに封筒がパンパンにささっている時がある。 大量の封筒はお手製らしく、ガム

          禍話リライト「封筒の届く家」

          禍話リライト「くいちがい」

          学生達が集まって怖い話をしていたら、怖いことが起きたお話。 体験者の青年が大学3年生ぐらいの時に起きたことだそうだ。 その日は友人達と、1つ年下の後輩の家に集まって皆で怖い話をすることになった。この後輩は親がお金持ちで、いい部屋で1人暮らしをしていた。 生活費もそれなりにもらっていたらしく、行けば家の主の方から高いお酒を出してくれたりして、そこでの宅飲みがすっかり定番になっていた。 飲み食いしつつ全員で車座になり、1人ずつ怖い話を始めた。この話は本で読んだんだけど、とか、

          禍話リライト「くいちがい」

          禍話リライト「霧の校舎」

          「自分達は運が良かったんです」と彼は語った。彼らが山の中の廃校舎へ肝試しに行ったときの話である。 その古い木造校舎は、ある山の中腹、かつて村があったらしき地域に残されていた。 立入禁止にはなっているが、ドアや窓が壊され、誰でも中に入れる状態だった。地元ではそれなりに有名な肝試しスポットだったそうだ。 彼らもある夜、4人組でそこへ肝試しに行った。 順調に車で山道を進み、目的地の直前で、木々で出来たアーチ、あるいはトンネルともいえそうな空間を抜け、校舎の前まで来た。 車を止め

          禍話リライト「霧の校舎」

          禍話リライト「増えぐるみ」

          結局何が起きているのか、答えに困るお話。 ぬいぐるみの愛好家の中には、一つの種類のものをたくさん集めるタイプが存在する。普通の人にとっては全部同じぬいぐるみ達に、それぞれ名前をつけて可愛がるような人々だ。 この話をしてくれた大学生のA子さんにも、そんな友達がいるそうだ。その女の子が集めていたのはクマのぬいぐるみだった。 一度家に遊びに行った時に、素敵なコレクションを見せてもらった。彼女の自室以外にも、至る所にそのクマちゃんがいて感心したという。 その友達とはそれほど頻繁に

          禍話リライト「増えぐるみ」

          禍話リライト「学生証」

          昭和の時代、ある高校での出来事だそうだ。 その高校には使われなくなった旧校舎が残されており、自由に出入りできる状態だったという。 ある時、何人かの生徒が旧校舎からちょっとした道具をとってくることになった。学校行事か何かの準備だったらしい。 自由に入れるといっても、用がなければわざわざ旧校舎に行くことはない。物珍しさもあり、彼らは探検気分で中を進んでいった。 男子が無駄に色々な部屋を開けたりして、女子が注意しつつも本気で怒りはしないような、そんな調子だったそうだ。 旧校舎

          禍話リライト「学生証」

          禍話リライト「ためすな/水切り子」

          好奇心は猫をも殺す。 変な実験をしたり、明らかにおかしなものを観察し続けるのはやめた方がいい。 そんなお話2つである。 **************** 「ためすな」 先輩の言葉が本当か確かめようと実験した大学生の話である。 ある時、大学の食堂で同じゼミのメンバーが何人かたまたま揃った。その中で一人、卒論に追われている先輩がだいぶげっそりしていた。 さぞ大変なんだろうと思い、大丈夫か聞いてみると、卒論のせいではないのだという。 ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ 先輩

          禍話リライト「ためすな/水切り子」

          禍話リライト「洋式親子」

          ウォシュレット付きのトイレにこだわりすぎるのは良くない。そういうお話である。 この話をしてくれた大学生の青年は、当たり前のようにウォシュレットがある環境で育った。 彼は街中でもウォシュレット付きのトイレを探すタイプだった。デパートや電気屋のトイレを使うのは当然だったし、トイレのためだけにパチンコ屋に入るようなこともあった。 この感覚がよくわかる人もいれば、全然共感できない人もいるだろう。 そんな彼は家から少し歩いた場所でアルバイトをしていたのだが、一つ困りごとがあった。

          禍話リライト「洋式親子」

          禍話リライト「?童子」

          座敷童子みたいなものが、家以外の場所にも出たとしたら、それは一体なにわらしだろうか。 就職がうまくいかず落ち込んでいる後輩を慰めるため、先輩達が飲み会を開くところからこの話は始まる。 その後輩には大学に入った頃から付き合っていた彼女がいたが、同じところに就職しようとして、彼の方だけ落ちてしまった。 男のプライドが傷ついたのか、そのまま男女関係もこじれていった。 卒業までは数ヶ月あり、就活はまだまだやり直せるタイミングだったが、彼はすっかり落ち込んで自暴自棄になってしまって

          禍話リライト「?童子」

          禍話リライト「大広間の女」

          「肝試しは怖いけど、ちゃんとした明るいライトを持っていけば大丈夫!」 こんな風に思っている人がいたら、考え直した方がいい。そういうお話である。 ****************** その旅館は、円満に終わったという。 金銭上のトラブルなどがなくても、後継ぎがいないと営業を続けるのは難しい。廃業を決めた経営者は適切に手続きを進め、どこかへ隠居した。建物の取り壊しこそしなかったものの、中の機材や設備の処分もきっちり完了させていった。 あとから言われたことだが、その旅館は地域

          禍話リライト「大広間の女」

          禍話リライト「カーテンのちがう部屋」

          空き教室は良くないという気持ちになる、学校の怖い話である。 こんな学校があった。 元はいわゆるマンモス校、例えば1クラスが40人で、1学年が10クラスあって、それが3学年分みっちり詰まっていた、そんな高校。生徒の数が多かった頃はさぞ賑やかだったろう。密なんて気にしていなかった時代の産物。 少子化が進んだ現在、かつて活気にあふれていた校舎は使われなくなった教室が目立ち、空き教室ばかりが集まった特別棟なんて区画ができている。近頃では珍しくない話かもしれない。そんなこの学校には一

          禍話リライト「カーテンのちがう部屋」