見出し画像

耳鳴り潰し26

 薬をいくら変えても喉の調子が変わらないのは、これは病変ではなく、喉をあまりに使っていないからではないか、家族との会話以外で話をほとんどしていないからではないか、という結論に勝手に辿り着く。発声練習をしようということで、家中の窓を閉め切って、友成空「鬼ノ宴」を繰り返し歌う。途中からリハビリ用の2kgのトレーニングボール的なのをパーカッション替わりにしながら。それを見ていた妻は何も言わず。

 市役所で就労支援員の方と三度目の面談。在宅ワーク可能そうな案件をたくさん持ってこられる。しかしコンピューター系の専門学校卒が条件などの案件が多かった。
「妻の仕事探しもうまく行っていません。妻は自分一人で家計を支えられるような仕事探しをしていますが、その線は諦めて、僕が短時間外で働き、また副業などでいくらか稼ぎ、それでも不足分を妻がどこかで埋められるくらいの働き口が見つかれば、という考えに変わっています」と話す。

 早朝のリモートワーク案件を持ち帰り、後に「受けてみます」と支援員さんに連絡する。近場で経験不問、タイピング早い人が理想、といった事務員募集の案件もあったので、そちらにも応募しようかと思う。

 息子帰宅、宿題、おやつ、公園、の流れ。
 遠目に先にカナちゃんがいるのを私は分かっていたが、息子は気付かず入り口近くの遊具に登った。駆け寄ってきたカナちゃんが遊具の上にいる息子を見失って探し始める。そんな光景を見て、愛だなあ、と思う。

 同じクラスの子の妹さんとママさんもいて一緒に遊ぶ。私はまだヘビの幻影を追いかけていろいろ探していると、カナちゃんの弟君が「ダンゴムシおるー?」とすぐに近寄ってくる。私の元に必ず何かがいるわけではないのだが。

 その弟君が途中から暴走。縄跳びを自分の腰に巻きつけ、飼い犬ごっこを始める。カナちゃんや息子が縄跳びを持ち飼い主役となるが、弟君はすぐに暴走するから、いつまでも縄を持っていては危ない。昨日犬を怖がっていた弟君は、自ら犬となることで恐怖を克服しようとしているようだ。

 カナちゃんママさんにもらったお菓子を、息子はあまり食べずに持ち帰った。娘にあげることにしたそれを見て「ちいさっ」と特に悪気なく娘は言った。
「そんなこと言わんといて、カナちゃんにもらったお菓子なんやで」と泣きそうな顔で息子は言う。愛だなあ、と思う。


この記事が参加している募集

子どもの成長記録

入院費用にあてさせていただきます。