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イチジクを愛さずにはいられない

パン屋さんに行ったら、焼きたてですよと言われたので、ついついイチジクのパンを買ってしまいました。イチジクのパンっておいしいんですよね。

あまり家で食べる機会はないですが、私はイチジクが好きです。
そのまま食べてももちろん美味しいですし、タルトやコンポートなどのスイーツになると、さらに美味しいですね。そしてなんだかとってもオシャレです。それに、他のフルーツよりも大人っぽくて、なんだかできる人になった気分を味わえちゃうのは私だけでしょうか。

また、イチジクはサラダにしてもおいしく食べられます。ドレッシングの酸味を少し強めに効かせると、イチジクの甘みが際立ちます。さらに、イチジクのねっとり感を酸味が優しく切ってくれるので、ついつい後を引いて、もう一口もう一口となってしまうんですね。さらに欲を言えば、クルミなどのナッツを入れて食感を加えても、乙なものです。

それと、イチジクはチーズとの相性が抜群によいので、カットしたイチジクとモッツァレラチーズをお皿に乗せて、その上からオリーブオイルをかけただけでも立派な前菜になります。少し贅沢をするのであれば、そこに生ハムを乗せればもう言う事なしです。この一皿だけでワインがすすむこと事請け合いです。

想像してみてください、よく晴れた休日に、ゆるめの服を着て、窓を全開にして爽やかな風を感じながら、イチジクと生ハムを同時に口に運ぶ自分を。まさに至福ですね。

あぁ、シャンパンが恋しい。

さらにさらに、実は、イチジクは揚げても美味しんです。

小麦粉にベーキングパウダーをちょっとだけ入れて、炭酸水で溶いた衣を付けてフリットにすると、サクサクッとした衣の食感と、加熱されてねっとりと甘くなったイチジクの食感とのコントラストが、もうたまりません。揚げたてに塩をちょこっとつけて食べれば、それはもう、アッツアツのサックサクで、甘みはねっとりハッフハフで、もうワインを飲む手が止まりません。

これでもう完全に、ワインが一本あいてしまいます。


そんなイチジクなのですが、漢字では「無花果」と書きます。この漢字のイメージから、なんとなく花がないフルーツなのかなと思われがちですが、イチジクにもちゃんと花はあります。実は、私たちが普段、果肉だと思って食べている部分がイチジクの花なのです。

イチジクを切ると、中に赤いプツプツとしたところがありますよね。あれがイチジクの花です。外から見ただけでは、花がないように見えるので「無花果」なんですね。

こんなにおいしい食べ方がたくさんあって、そのうえオシャレで大人っぽくて、ワインまですすむのに、その魅力的な部分をいっさいひけらかすことなく、内側にしまい込んでいます。
なんとも控えめで、奥ゆかしいですね。

これはもう、愛さずにはいられません。




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