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最高のチームをつくる、たった2つの要素

 先日、息子の所属するラグビークラブで部内練習試合が開催されました。部内で4チームに分かれて試合をするのですが、4チームでは人数が足りないため、数名の子供たちは他チームに助っ人選手としても参加します。うちの息子も最終戦で他チームに助っ人選手として参加しました。対戦相手のチームはラグビー歴が長かったり運動神経がよかったりする選手が殆どを占める競合チームでした。
 試合の終盤、3点差ほどで勝っていた相手チームの中でもラグビー歴の長い上手な子供がディフェンスラインの隙を抜けて独走。そのままトライを決め、試合が終了しました。
 ここまでは普通の話です。でも、実はこの、最後にトライを決めた子供のトライの仕方が、僕の琴線に触れました。最後のトライを決めた際、その子は残り5メートルを余裕綽々と片手を挙げながらトライしたのです。
 その様子を一緒に見ていた、ラグビー経験者のお父さんコーチは、
「あれは絶対にやっちゃいけないプレーです。相手チームに対して失礼です。ラグビーはどんなに大きい点差でボロ勝ちしていたとしても、最後まで絶対に手を抜かず、徹底的に相手を倒すことが相手に対するマナーです。だから、ああいうプレーは絶対にさせちゃダメなんです。」
と教えてくれました。加えて、
「緊張感のない態度でプレーすると、トライ直前でボールを落として無得点になったケースもたくさんあるし、気を抜いて走っている横から、思いっきりタックルとかされたら大怪我する危険もある。いろんな理由で、絶対にやっちゃいけないんです。」
とも言っていました。

 僕は彼を呼んで
「ああいうプレーは絶対にやっちゃダメだよ!」
「2度としちゃいけない」
とキツく叱りました。彼との付き合いも4年以上になるので、彼も
「はい!」
と素直に聞いてくれました。本人のお父さんや他のお父さんたちも
「僕も言うつもりでした」
と言ってくれました。
 にもかかわらず、何故かモヤモヤとした気持ちが残っていました。
「本当に、あんな風に怒ってよかったのだろうか?」
と、何日経ってもモヤモヤと、気になってしまっていたのです。

 息子が、敗戦したチームで頑張っていたから、最後にそんな態度でトライされて悔しかったという親心もあったと思います。だから感情的になってしまったことも、多少はあったのかもしれません。でも、僕の中のモヤモヤはそういうことではなく、子供の間違ってしまった行動に対して、「ただ怒る」「ただ諭す」という対処方法は正しいのだろうか?ということでした。

 そんなモヤモヤを抱えていた時、大変興味深い記事を見つけました。毎日新聞のコラム「火論」の6月15日付の記事で、「最高のチーム」について書かれていたのです。

記事にはこんな風に書いてありました。

(以下、記事より抜粋)
 米IT大手グーグルは、2012年に「最高のチームをつくる要素」を調査する5年がかりの社内プロジェクト「アリストテレス」を開始した。社の幹部は「外交的で高い業績を持つ個人を集めたチーム」が最強だと思っていたという。

 ところが社内180チームの個人データやアンケート、過去の業績などを解析して分かったのは二つの意外な要素だった。

 業績を上げるチームは全員が、
①ほぼ等しく発言する
②他者の気持ちを読み取り互いに配慮ができる
で共通していた。

 アイデアや問題点を安心して自由に語り、互いに配慮し合えるチームは「優秀」な個人の寄せ集めよりよほど業績を上げるという。
(以上、抜粋)

 この記事を読んで、僕のモヤモヤは消えました。あの時僕は、他の子供たちも集めて彼のプレーについて、本人を含めて一人ひとりに質問するべきだった。

「あのプレーは、ラグビーでは絶対にやっちゃいけないプレーなんだけど、どうしてダメなんだと思う?」と。

 そう、質問し、一人ひとりに「考える機会」「発言する機会」「みんなで意見を出し合う機会」を創るべきだったんだ、と思ったわけです。

 怒ることは簡単です。でも、怒ることで、或いは自分は怒っていなくても、相手に「怒っている」と感じさせてしまうことで、相手の「考える機会」「発言する機会」「成長するチャンス」を奪ってしまうことは大きな過ちです。相手に対する重大な過失と言っても過言ではないような気がします。そして、Googleの言う「最高のチーム」作りとは程遠い…。

 相手の成長機会、考える機会を奪わない!と、強く肝に銘じた矢先、朝から息子に「早く用意しなよー!」と、怒ってしまった僕でした^^;

 …理想への道のりは、まだまだ遠い…。

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