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今日もコピーが書けません

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コピーライターの日々。 ※もちろんフィクションです
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#コピー

「今日もコピーが書けません」第11話:プレゼンの9割はハッタリ

「今日もコピーが書けません」第11話:プレゼンの9割はハッタリ

中堅広告代理店でコピーライターをしているPの元に若手営業Hが興奮した様子で走ってきた。

「Pさん、とれました!とれましたよ!」

「何が?ほくろ??」

「ちがいますよ!C社の競合コンペ、うちが勝ったんですよ!」

広告代理店は年がら年中、コンペに参加している。クライアントは億を超える予算の広告施策を任せるに足る代理店を決めるために、複数の会社を集めてプレゼンをさせ、優れた施策を提案した会社に任

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「今日もコピーが書けません」第10話:コピーライターVSアートディレクター

「今日もコピーが書けません」第10話:コピーライターVSアートディレクター

とある広告代理店の会議室。コピーライターPとアートディレクターDは、制作中のポスターデザイン出力を見つめていた。

「こっちの表情は、明るい中に少し憂いがあるんだけど、それがいい。こっちは、ど真ん中の笑顔、朝ドラ、って感じ。で、こっちは、微笑なんだけど品があっていい。う〜ん悩むな〜」

「どれも同じに見えますけど」

「ぜんぜん違うじゃない」

「それより、このコピー、また誤字がありますよ。赤字入

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「今日もコピーが書けません」第8話:夢の海外ロケ

「今日もコピーが書けません」第8話:夢の海外ロケ

灼熱の太陽が照りつけるタイのビーチ。日除けのテントの下で、監督とカメラマンはじりじりしながら待っていた。「モデルはまだ出て来ないんですか?」代理店のコピーライターであるPは、俺に言われても、と内心思いながら、「ちょっと見てきます」と現場を離れた。

撮影用のトレーラーのそばには、半分腐ったような野犬がうろうろしている。Pは現地のコーディネーターに言った。「あの犬を追い払ってくれませんか」コーディネ

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「今日もコピーが書けません」第7話:悪夢の社内競合

「今日もコピーが書けません」第7話:悪夢の社内競合

2015年のことだ。その年は、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が公開され、欧州に難民危機が訪れ、エルニーニョ現象などによって世界の平均気温が過去最高を更新した。そんな年だった。

中堅広告代理店でコピーライターとして働くPは、大手自動車会社Uの仕事に忙殺されていた。自動車の広告は、会社の中では花形であり、すべての仕事が大きな予算と規模で、やること、考えることは無限にあった。TVCMはもちろん

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「今日もコピーが書けません」第1話:皆殺し

「今日もコピーが書けません」第1話:皆殺し

あらすじ
コピーライターとして働くPの仕事奮闘記を、①若手時代②営業時代③CD時代④学生時代⑤独立時代の5話に分けて構成。はやくコピーが書きたいのに、なぜか遠回りばかりしてしまう。でも、その遠回りがないと、コピーというものは書けないのかもしれません。

第2話 https://note.com/door13/n/n908a7160f7ad
第3話 https://note.com/door13/n

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