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【哀愁の町に霧が降るのだ(椎名誠)】【読書記録#25】
青春のバカヤロー!!
なにがなんだがわからないが青春はバカヤローだ!!
とでも叫びたくなるような一冊。
なんでバカヤロー!!と言いたくなるのかはわからない。
そんな自分の青春はいつだったか、しみじみと思い返してしまう。
何も考えずがむしゃらに遊んだ子ども時代だろうか。
部活の顧問に文句を言いながらも、仲間と笑いあった中学時代だろうか。
部活と勉学を両立しようと努力した高校生時代だろうか。
自分の殻を破ろうと足掻いた大学生時代だろうか。
家族ができ、仕事に打ち込んでいる今だろうか。
さて、この物語の説明は下記の通り。
東京・江戸川区小岩の中川放水路近くにあるアパート「克美荘」。家賃はべらぼうに安いが、昼でも太陽の光が入ることのない暗く汚い六畳の部屋で、四人の男たちの共同貧乏生活が始まった――。
アルバイトをしながら市ヶ谷の演劇学校に通う椎名誠、大学生の沢野ひとし、司法試験合格をめざし勉強中の木村晋介、親戚が経営する会社で働くサラリーマンのイサオ。椎名誠と個性豊かな仲間たちが繰り広げる、大酒と食欲と友情と恋の日々。悲しくもバカバカしく、けれどひたむきな青春の姿を描いた傑作長編が復活!
裏表紙に書かれている内容だが、ここに至るまでにちょっと時間がかかる。それも克美荘を舞台とする話、執筆当時の仕事回りの話、学生時代の話、などさまざまな時間軸を行き来しながら書いていく、という構想があるからだ。
ここだけ聞くと、読みにくいんじゃないかなぁと思われる方もいるかもしれないが、驚くほどすんなりと受け入れることができるので、安心してほしい。著者のワードセンスが光り、思わずくすりとしてしまう、ずんずんと読み進めたくなる一冊だからだ。
こういった自己の経験を元にしたエッセイを読むたびに、「なんでこんなに細かくエピソードが出てくるんだ?」と考えてしまう。
一方で、あんまり思い出せることがないように思ってしまう、自分の人生。
当時は当時、今は今で必死に生きているつもりだったのかもしれないけれど、実はそんなことはなかったのかもしれないなぁと。
全部の出来事を覚えていることはできないから、忘れっぽい自分でも覚えていることは大事にしておこう。
と、ただ面白いだけでなく、自分の「青春」について省みてしまう本となっている。
何度も復刊しているぐらい、青春小説として名作なので、ぜひ手に取ってもらいたい。
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