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読書感想文・2023年課題図書「低学年向け」本の選びかた byせたがや作文教室

今年は、
「他人にどう見られているか」
という、今の小・中学生が常に気にしていることをテーマになった本が、低学年以外にもあります。

今年の、課題図書の選び方の、ひとつの観点なんでしょうか。
それに共感する子が多いとしたら、なんだか、寂しい時代ですね。

そうした本の低学年版が、これです。

「それで、いい!」

絵が好きで、うまいとか下手とか考えず、夢中で楽しんで描いている、きつね。その絵を、やまねこたちにけなされて、「上手な絵に見られるにはどう描けばいいか?」という、「人の評価が第一」と思うようになり、何をどう描いていいか、わからなくなってしまいます。

そんなとき、自分がボツにした絵を部屋に飾っていたうさぎに会います。うさぎは、大好きな「きつねの絵」について熱く語るうさぎに出会って、楽しんで描いていたときの気持ちを取り戻します。

[読書感想文の書きかたアドバイス]

「ぼくも、人の目を気にして~したり~したりしています。」
と、わかりやすく共感したことが書ければいいのですが、学校で読まれるかもしれない読書感想文に、「人目を気にしている」ことプラス具体例を、お子さんが、書けるでしょうか?

書けない気がするんですよ。それなら、この本にたくさん散りばめられている、たくさんの「なぜ」の中で、自分が一番興味のある「なぜ」について書いてみる方がいいと思います。きつね目線、うさぎ目線など、いろんな目線の「なぜ」がいっぱいありますよ!


「よるのあいだに…:みんなをささえる はたらく人たち」

わたしがパジャマにきがえるころ、ママは、でかける。たいせつな仕事にいくんだ。

「よるのあいだに…:みんなをささえる はたらく人たち」より

子どもがみんな知っている職業でも、夜に働いている人がいる。それは、みんなのために。夜に働く人たちがいること。小学校低学年のお子さんには、それだけで驚きかもしれません。

外国の絵本ですが、日本の職業とそれほど変わらず、「こんなお仕事で、こういうことのために、夜に働いている人がいるんだ」と思えるでしょう。

[読書感想文の書き方アドバイス]

シンプルな絵本なだけに、「書き手の視点」に気づけるか? が重要です。または、まったく違う視点を見つけられるか、です。

単に、「夜働く人がいるという驚き」だけで書くと、
「こんな人がいます。すごいと思いました。あんな人もいます。すごいと思いました。」
こういう、「事実の羅列」という悪い読書感想文の典型になりかねません。けっこう、想像力が必要なお話。読書感想文を書くには、ややむずかしい。
でも、お子さんが「これがいい! これにする!」と言って決めたなら、きっと書けるはず。


「けんかのたね」

シンプルでわかりやすいお話。「おおきなかぶ」みたいだな、と個人的には思いました。4人きょうだいがけんかをして、お父さんに怒られる。その言い訳を、上から順に他のきょうだいのせいにして、最後はきょうだい以外にまでとばっちりがいく。でもあることをきっかけに、きょうだいはまったく反対の想いに包まれます。

[読書感想文の書き方アドバイス]

主人公は、きょうだい全員か? そのきょうだいたちの気持ちが、とてもわかりやすくガラッと変わる、「国語のクライマックス」がわかりやすく、描かれています。しかし、なぜ、こういう「国語のクライマックス」になったのか? 「なぜ?」がたくさんあります。その「なぜ」に対し、自分が思ったこと、考えたこと、意見を書くといいですね。

結末は、単純。でも、ホントのホントに最後のページについて、どう思うか? 想像力をフル回転して、書いてみましょう。

うまれてくるよ 海のなか

ここ数年、低学年の課題図書に必ず1冊は入っている、写真絵本。
当たりはずれがありましたが、今年はとってもいい感じです。

まず、お子さんの好きな、「生きもの」というところがいい! 写真も素敵! ほとんどが、魚のお父さんがいて、お母さんがいて、どうやって卵をかえるまで、お世話をしたり、守ったりしているのか、とてもわかりやすい! おもしろい写真絵本です。ここ数年の課題図書で、一番いい写真絵本だと、わたしは思います。

[読書感想文の書きかたアドバイス]

「○○という魚は、こんなふうにします。すごいと思いました。□□という魚は……」と、羅列にならないように、場面ごとに「たまごをまもる」「うまれる、うまれる」のように、カテゴリで分けられているところがいいですね。どこかにしぼって書くといいでしょう。また、出てくる言葉にもよく注意すると、お子さんの気づき、想像力の発動があるかもしれません。


くわしい書きかたは、それぞれの本の書きかたページをご覧くださいね!

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