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ホラー系全力片思い小説

けれどそれでいいのだ。ぜんぜんかまわない。マモちゃんにくらべたら、ほかのことすべて、やっぱりどうしたって「どうでもいい」に分類されてしまうのだ。

愛がなんだ 角田光代


ひえ〜〜〜〜〜!!!!
ちょっと、あんた、しっかりしなさいよ!!

読んでいて主人公テルコにこんな声をかけてしまった読者の方も、
多いんじゃないでしょうか。笑


大好きな男マモちゃんに出会ってから、テルコはマモちゃん以外のこと、
例えば仕事とか人間関係とか、はたまた自分の自尊心さえも「どうでもいい」に
分類してしまう。


その踏ん切りの良さが、読んでいてこわいこわい。

そして、テルコが心酔するマモちゃんと言う男は、いわゆる典型的なハンサムで優しくてお金持ちで、、、なあんて男では全くないのである。

でも逆にそれが、さらに恋愛のどうしようもなさみたいなのを
リアルに描いちゃっている感があり怖いのである。

なんて阿呆な男なんだろう。
自分がかっこいいから私に好かれているとでも思っているのだろうか。


ちっこくて猫背で安い海老フライみたいな男、マモちゃん、を好きなテルちゃん。

恋愛というか、愛と呼ばれるものの、ものすごく暗くてどうしようもないところにスポットライトを当てたこの一冊。

Amazonで見たら”全力疾走片思い小説”と紹介されていたけれど、
私は、個人的にホラー系のジャンルに分類される本だと思っています。笑

ぜひお手に取ってみてください。

Written by あかり

アラサー女

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