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会社の業績や実績を公表する際の"誇張"と"虚偽"

どうも、ゑんどう(@ryosuke_endo)です。

はてなアノニマスダイアリーに、そこそこ大きな会社の広報からスタートアップの広報へと転職した投稿主が、社長の虚偽の情報発信に悩んでいる内容のエントリーが投下されていました。

たとえば、実際のユーザー数が500人しかいないのに、「ユーザー数50000人突破」などというプレスリリースを作成することが求められるといった事例が挙げられており、誇張どころか虚偽の域にまで到達しているのですが、このような偽りの情報を作り、それを元にメディアにアピールし記事を作成することが日常的に行われているとのこと。

さらに社長は、プレスリリースを出さないと成長が鈍化しているように見えると考えており、そのために数字を誇張することを止めることはできないと述べるだけに留まらず、現場の営業部員には「広報が出しちゃったから仕方ない」と責任を押しつけられる様子まで記載されています。

この投稿が事実なのか虚構なのかは横に置いておきますが、こう言った事例を目の当たりにすると何が問題なのか考える機会にすることができますから、有効に活用してみようと思います。

問題の本質は何か

まず、この問題の本質ってなんだろうってことを考えてみます。

経営者個人の歪んだ承認欲求が軸になっている可能性もありますが、時として優秀な人は周りから疎まれることもありますので、一概にこの経営者を断罪することはできないような気もします。(やっている、指示している内容を肯定する気はサラサラありません。)

そんな経営者個人の問題ではなく、組織の問題として捉えると、問題の本質とは何かを考えやすくなりそうです。

言わずもがな、この組織における問題の本質は「組織の倫理観と透明性の欠如」なんでしょうね。

経営者が短期的な成功を追求するために、虚偽の情報を発信するという行為が許容されているという状況こそが、組織全体の倫理観と透明性を損なっています。

この問題は、組織の内部(広報担当者のストレスや不満)だけでなく、外部(企業の信頼性の損失、公正な市場競争の阻害)にも影響を及ぼすことは明白なわけですが、内部の自浄作用が働いていないことに大きな問題があります。

いくら経営者が「Go」と言ったとて、周りには役員や事業責任者等が存在しているはずで、彼らも実態と外部発信への乖離を実感しているはずなのに、それを許容している時点で組織としての倫理観が損なわれていると言わざるを得ないでしょう。

一般化してみると…

この問題を個別な事案としてではなく、一般的な問題にまで抽象化するとどうなるのかも合わせて考えてみます。

スタートアップの成長圧力
まず、何よりもスタートアップ企業は、投資家からの資金調達をしているのであれば投資家からの圧力があるでしょう。類似サービスや製品を提供する競合との市場競争力を維持するために急速な成長をしていかなければなりません。

それはもうボクみたいな無能な人間が想像できないほどに大きな圧力なんでしょうし、その圧力に対抗して見せるには実際の成果が追いつかない場合でも、一見すると成長しているように見せるために数字を誇張することが起こり得るのかもしれません。

結果として、誇張が行きすぎた結果として虚偽にまで発展してしまう可能性は存分にあり得るでしょう。ダメですよ。もちろん。

経営者の短期的視点
急激な成長を遂げ続けようと思えば、目先の営業をどうにかしてがんばらなければなりません。経営者が短期的な視点で事業を運営している場合、数字を誇張して短期的な成功を追求する傾向が芽生えても仕方ないようにも思えます。

いくら長期的な視点を大事にしろと言われても、目先の現金がなくなってしまえば会社を存続することすらできなくなるわけで、会社が存続できなければ雇用を守れなくなります。

事業を畳むような自体を避けるためにも短期的な売上や利益を確保し続けることは大事だと思えてきますし、その心情も理解できなくはありません。

でもやっぱり、長期的な視点で考えると、誇張や偽りは企業の信頼性を損ない、結果的には事業の成長を妨げる可能性があるわけですから、ダメですよ。やっぱり

倫理観の欠如
今回の事案だと経営者が槍玉に挙げられがちですが、経営者だけでなく組織全体が、誠実さや透明性といった倫理観を欠いているといえるでしょう。具体的には会社の役員や事業責任者などは虚偽の情報を発信している事実を認識・把握しているわけですから、明らかに組織としての倫理観が欠如していると言わざるを得ません。

また、それが許容される文化を形成している可能性があり、すでに定着しているような節すら感じられます。企業倫理って、字面だけみるとわかりづらいですが、その倫理観をつくっているのは人です。

企業の倫理観を欠如するような事態を招いているのは、中に存在する人であり、主導する役割を担っている人たちの責務だといえるはずで、それが欠如していることによって起こる問題だといえます。

内部のコミュニケーション不足
これは広報の役割を担ったことがある人なら理解しやすいことでしょうが、経営者と従業員間のコミュニケーションが不足していると、経営者の意図が正しく伝わらず、従業員が不適切な行動をとることってのはあります。

今回の件でも、広報担当者が社長の意図を理解できない、また社長が広報担当者の懸念を理解できない状況が記載されている通り、相互に理解する過程が省略されている、もしくはそのプロセスをつくろうともしていないがために意思の疎通が図れない状況を生み出していると言えるでしょう。

こういったケースは他の組織にも往々にしてあるものですから、参考にすることが可能だといえます。

広報担当者としてできること

もう、組織の問題であり、先導を切っているリーダーの問題ですから、広報担当者としてできることはなさそうですが、それでも広報担当者としてできることは何かを考えてみます。

対話を試みる
まず、社長との対話を試みること。

これはもう根性論でしかありませんが、自分の懸念を率直に伝え、虚偽の情報を発信することの長期的な影響について説明することぐらいしかできません。

いくら社長の中で成長過程が決まっているとはいえ、現実としては全然追いついていないわけで、要因は複数あるでしょうが、間違いなく経営者自身のリーダーシップや経営が誤っている証拠です。

この社長自身もそうだし、周りの経営陣や責任者が自身らの行動を再評価することを機会を設けられるのであれば、一生懸命に対話を試みてみるのはありかもしれません。

内部告発
ただ、正直にいえば対話なんて聞き入れてもらえないでしょうし、頑なに否定されることでしょう。すでに営業部員へ広報担当者の責任であると押しつけられてもいるわけですから、対話は解決策になり得ないでしょう。

そうなれば内部告発を考えることも一つの選択肢です。

ただ企業の内部告発制度が整っているか、または信頼できる第三者機関に相談できるかを確認する必要があります。内部告発をしたとて揉み消されて自らが窮地に立たされるような状況になるのだとしたら取るべき選択肢ではないでしょう。

転職を考える
あとはもう転職するしかないでしょう。

自身の倫理観と大きく乖離しているのは明白で、経営者や経営陣よりもよほどまともな倫理観を備えている人だといえます。

むしろ、この組織で働き続けることは、いつか虚偽がバレた際に責任を押しつけられて訴訟リスクを負ってしまうことにすらなりかねませんから、そうなっても負けないよう虚偽の証拠を集めつつ、さっさとこの組織からは逃げていく方が精神衛生上も必要な気がします。

おわりに

思考実験として書いてきましたが、もし、仮に自分がそういったケースに直面したらどうするのかなぁ...ってところから考えてみただけなので、大いにザルっぽい気もしますが、気にせずに参ります。

みなさん、今日もいい1日を。

ではでは。
ゑんどう(@ryosuke_endo)


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