世界の普通から

ヨーロッパ・中東・アジアに移住しながら生きる会社員です。世界の変な人たちと日々かかわる…

世界の普通から

ヨーロッパ・中東・アジアに移住しながら生きる会社員です。世界の変な人たちと日々かかわる体験から、生き方、働き方、日本などについて思うことを書きます。 世界の “普通” は全然フツーじゃない。それを知れば、ずっと生きやすくなる。

マガジン

  • 働き方

    “労働” の意味を再考。コロナ禍での働き方、転勤のあり方、女性社員の意義など。基本的に現代社会の労働はブルシットジョブ。ムダな労働をやめて、いかに自由に、自分らしく働くかの提案です。

  • 日本

    日本の外で暮らす人間が、日本と日本人について思うこと。日本の会社・政治・教育についておかしいと感じることや、日本のすごさとポテンシャルについて、外からの視点で書いています。

  • 異文化

    私の異文化体験。おもに、西洋と東洋のメンタリティの違いについて考察。異文化セミナーの内容共有もあります。日本のカルチャーに違和感を持つ方にも読んでいただきたい記事たちです。

  • 自由研究

    言葉とは。教養とは。大衆とは。美とは。そんなこじらせ系の語りから昭和のエンタメまで。ドラッカーやメルケルから、みうらじゅんやレベッカまで。 一見マジメそうなテーマをふざけて語る。あるいは、一見ふざけたテーマをマジメに語る。

  • ゆうの学びなおし

    「世界の普通から」アカウントを使わせてもらって、「ゆう」が言いたいことを言う。 ゆう。女。三十路。大学生。 大人たちは眠たいことばっか言っててウンザリよ。あたしは学びなおして、真の言論を取り戻したい。目覚めよ、真の大人たち!

最近の記事

改革すべきは働き方ではない。こだわりを捨てることだ

日本のホワイトカラーの優れているところとダメなところについて、これまでも何本か書きましたが、直近の経験から思ったことを書かせてください。 私は 28年の会社員人生のうち、日本勤務 8年、日本企業の海外駐在員 8年、スイス企業の expat が 12年というキャリアになります。 現在は、スイス企業の本社で多国籍チームと仕事していますが、日本語が話せるので、日本支社との折衝に便利使いされることもあるわけですよ。 そのこと自体はいいんです。私にしかできないことだし、ネイティブ日

    • 移民問題を本音で語ったら極右認定されました

      日本に一時帰国するたびに、年々外国人のプレゼンスが高まっていることをヒシヒシと感じます。 外国人観光客の増加はさておき、日本で普通に暮らす外国人が増えている。つまり、移民のことです。 私が住んでいるジュネーヴ市は移民だらけで、私もその一人です。居住者としての体感で、人口の 60%くらいが移民(=非スイス人)だと思います。 この程度で驚いてはいけません。 私はドバイに住んでいたことがありますが、この首長国では人口の 85%が移民(非UAE人)でした。これは統計データで、体感で

      • 私のロシア考

        私にとってロシアほど愛憎相半ばする国はない。 極めて厄介な国でありながら、ロシア人が愛すべき人たちであることを知っているからだ。 仕事柄、ロシアには 10回以上訪れた。 いずれも監査業務出張なので、1回につき 2~3週間の滞在になる。 プライベイトで訪れたことはない。 ロシアの首都モスクワは大都市である。 政治と経済の中心地であり、ヒト・モノ・カネ・情報が集まっている。 しかし、他国の大都市と比べてこれといった特別感はない。 おとぎの国のお城のような Saint Basi

        • 乗ってはいけないファーストクラス

          LH717便。羽田発フランクフルト行き。 ANAとの共同運航と記載されているが、これは大嘘である。 このフライトのオペレーションに ANAはいっさい関与していない。 なぜそう言えるのか。本稿を読めばわかっていただけよう。 搭乗してまもなく、ドリンクのメニューを渡された。 そこにはワインやビールのほかに Japanese Sake とある。 ドイツのエアラインに普通は日本酒などないが、羽田便の特別メニューなのだろう。 ただし、銘柄は書かれていない。そこまで期待してはいけない

        改革すべきは働き方ではない。こだわりを捨てることだ

        マガジン

        • 働き方
          26本
        • 日本
          35本
        • 異文化
          20本
        • 自由研究
          43本
        • ゆうの学びなおし
          23本
        • 生き方
          33本

        記事

          若者よ。食事を楽しんでいるか

          ジュネーヴに戻ってまいりました。 これまで日本に一時帰国するたびに、日本で感じた違和感について書いてきました。 今回もそれなりにありましてね。 先月の noteのなかで、注文や会計のタッチパネル化が進んでいることに触れましたが、このトレンドは仕方のないことだと納得しました。 というのは、店員さんとの意思疎通が難しくなっていることを実感したからです。 日本滞在中、コンビニでお弁当を買ったとき、 「お箸はなんでおつけしますか?」 とレジの店員さんに訊かれまして。 お箸をつ

          若者よ。食事を楽しんでいるか

          労働を捉えなおすと別の生き方が見える

          ゆうです。 世界さんに薦められて『14歳からのアンチワーク哲学』を読みました。 14歳の少年の疑問にニートのおじさん(自称哲学者)が答えていく対話形式の物語です。 現代の大人たちが薄々おかしいと感じている事どもに対して、意外な視点から「おかしさの正体」を暴いています。 それらは、現代のシステムや現代人の感覚がちょっとおかしくなっているというレベルのものではなく、もっと根本的なところからチャンチャラおかしいのだ、と教えてくれます。けっこう笑えないけど目から鱗が落ちる言説が満載

          労働を捉えなおすと別の生き方が見える

          地元を捨てた人間は心を隠している

          中学時代の同級生に会いました。 タケシとオサム。 この二人は、小中学校以来の親友で、私が海外に行ってから音信が途絶えていましたが、お互い 40代になってから再び連絡をとるようになりました。 今は年に 1度くらいで会っています。 この二人に共通しているのは、中学時代の同級生と結婚していることです。 タケシは、中学時代にクミコと付き合っていましたが、別々の高校に入ってから別れました。 その後、何人かの女性とお付き合いしたそうですが、長くは続かなかったようです。 30歳を前にし

          地元を捨てた人間は心を隠している

          食い倒れのまちにて

          大阪に来ています。 天満橋から少し歩いたところにあるお好み焼き屋さんに入りました。 やっぱり大阪に来たら “こなもん” ですからね。 鉄板のあるカウンターとテーブル 2席だけの小さなお店で、お客さんの入りは 8割ほど。なかなか繁盛しているお店のようです。 とりあえずチューハイをのみながら、鉄板でいろいろ焼いてもらいます。 隣に座っている 40がらみの男性が普通に話しかけてきました。 「お近くですか?」 「いえ・・・よそもんです^^」 「どちらから?」 ここで「スイス」と

          食い倒れのまちにて

          Perfect Days を再考する

          先週『Perfect Days』(Wim Wenders監督)について雑感を述べました。 今回はもう少し掘り下げてみたいと思います。 この映画は、観る人の価値観と人生観を問う。 価値観とは、どのようなモノ・コトを大切だと考え、あるいはしょーもないと考えているかという、その人の好みである。 人生観とは、どのような生き方を大切だと考え、あるいはしょーもないと考えているかという、やっぱりその人の好みである。 観る人の価値観と人生観しだいで、平山の日々の生活に対する評価は大きく

          Perfect Days を再考する

          祭りってのは

          晩方、外を歩いていたら商店街の夏祭りに遭遇し、なつかしさについ誘われました。 いかにもお祭りを感じさせる笛と太鼓のお囃子がスピーカーから流れています。 夏祭りが麻布十番祭りのような巨大人混みイベントになって久しいですが、こんな昔ながらのローカルなお祭りも残っているんですね。 商店街通りを家族連れや若者グループや浴衣姿の男女がまばらに歩いています。地元の人たちなのでしょう。 「御神酒」と書かれた寄合所には、はっぴと足袋のお祭り装束の衆がいて、行き交う人々に目を細めています。

          あの人は今何をしているのだろう

          日本企業で働いていた頃の元同僚と会いました。 年齢も現在の境遇もバラバラな3人です。 (飲み会はマックス4人までの法則を遵守) そのうちの一人は、去年の noteにも書いた松井さん。 60歳でスパッと仕事をやめて、何もしない生活をしている人です。 互いの近況などを聞きながら、三者三様、ずいぶん違う道を歩いているなあと感じました。 松井さん (62) 60歳で定年退職後、地元の友達とバイクで遊ぶ隠居生活。奥さんと大学生の娘さんと3人暮らし。 池上さん (56) 54歳

          あの人は今何をしているのだろう

          Perfect Daysの平山という男

          『Perfect Days』(Wim Wenders監督)ようやく観ることができました。 もうどこも上映してないのかなぁ、と半ばあきらめていたのですが、有楽町の映画館でやってました。 地味で淡々とした、私好みの映画でした。 1回観ただけでは解釈が難しいですね。 本稿では、あまり深掘りせずに率直な感想を書くことにします。 観た方・観てない方を問わず、なんとなく伝わればいいかなと思いつつ。 まず、前半きつかったです。 柄本時生演じる若者にイラッときて、それだけで席を立つ理由に

          Perfect Daysの平山という男

          外国人に日本を見せたい

          出張で日本に来ています。 先週は、がっつり商談やミーティングを入れられ、ゆっくりできませんでした。 スイスや香港からの出張者たちは、取引先の接待を好まず、夜は内輪だけで楽しく呑みたいなどとワガママなことを言う人たちでしてね。 するとどうなるか。 私も出張者の一人なのに、唯一の日本人である私が東京の夜をアレンジすることになるのですよ。 でまあ私はそういうのが嫌いじゃないもんだから、全力でオモテナシを企画してしまうわけです。 貸切りの屋形船で東京湾クルーズディナーとか。 忍者東

          外国人に日本を見せたい

          本当の自分 vs 作られた自分

          Lumina Spark Assessment という研修を受けました。 ルミネ? 新宿の? 1のほう?2のほう? って思うじゃないですか。 いや、そうではなくてですね。 これは、心理学者かなんかが開発した性格診断のようなもので、自分の内面を深く知ってそれを仕事や職場の人間関係に活かしましょう的な、いちおうビジネス研修なのです。 事前に膨大な Questionnaire が送られてきて、40分くらいかけてそれに答えました。 数日後、その結果が送られてきました。 簡単に

          本当の自分 vs 作られた自分

          システム開発の仕事って何

          来週、日本に出張するんですよ。 これがまったく気の進まない出張でしてね。 現在、とあるモバイルアプリを開発するプロジェクトに巻き込まれていまして、その開発委託先が日本の会社なのです。 この会社、小学生でも名前を知っているくらいの超大企業で、なんでそんな動きの鈍そうな会社に依頼したの?と訊きたくなります。 だいたい、どうして日本の会社を選んだの? 開発するシステムは中国でも使うもので、中国の情報セキュリティ関連の法律が特殊すぎるため、欧米系のベンダーでは不安があるからだそう

          システム開発の仕事って何

          一票の軽さ

          日本では、東京都知事選が終わったばかりで、選挙の話題はもうたくさん、と感じておられる方も多いと思いますが。 東京都民でない私は投票権もないし、そもそも都知事なんて誰がやっても変わらんだろ、と思っているので、候補者や開票結果について語ることはしません。 ただ、投票率に関する巷の声に違和感がありましてね。 「投票率が低すぎる!」とか「投票に行こう!」みたいなアレです。 政治への関心や期待が低いことを問題にされる方もいらっしゃるようですが、投票に行かない理由はそこじゃないと思うの