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日本

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日本の外で暮らす人間が、日本と日本人について思うこと。日本の会社・政治・教育についておかしいと感じることや、日本のすごさとポテンシャルについて、外からの視点で書いています。
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記事一覧

若者よ。食事を楽しんでいるか

ジュネーヴに戻ってまいりました。 これまで日本に一時帰国するたびに、日本で感じた違和感について書いてきました。 今回もそれなりにありましてね。 先月の noteのなかで、注文や会計のタッチパネル化が進んでいることに触れましたが、このトレンドは仕方のないことだと納得しました。 というのは、店員さんとの意思疎通が難しくなっていることを実感したからです。 日本滞在中、コンビニでお弁当を買ったとき、 「お箸はなんでおつけしますか?」 とレジの店員さんに訊かれまして。 お箸をつ

食い倒れのまちにて

大阪に来ています。 天満橋から少し歩いたところにあるお好み焼き屋さんに入りました。 やっぱり大阪に来たら “こなもん” ですからね。 鉄板のあるカウンターとテーブル 2席だけの小さなお店で、お客さんの入りは 8割ほど。なかなか繁盛しているお店のようです。 とりあえずチューハイをのみながら、鉄板でいろいろ焼いてもらいます。 隣に座っている 40がらみの男性が普通に話しかけてきました。 「お近くですか?」 「いえ・・・よそもんです^^」 「どちらから?」 ここで「スイス」と

祭りってのは

晩方、外を歩いていたら商店街の夏祭りに遭遇し、なつかしさについ誘われました。 いかにもお祭りを感じさせる笛と太鼓のお囃子がスピーカーから流れています。 夏祭りが麻布十番祭りのような巨大人混みイベントになって久しいですが、こんな昔ながらのローカルなお祭りも残っているんですね。 商店街通りを家族連れや若者グループや浴衣姿の男女がまばらに歩いています。地元の人たちなのでしょう。 「御神酒」と書かれた寄合所には、はっぴと足袋のお祭り装束の衆がいて、行き交う人々に目を細めています。

外国人に日本を見せたい

出張で日本に来ています。 先週は、がっつり商談やミーティングを入れられ、ゆっくりできませんでした。 スイスや香港からの出張者たちは、取引先の接待を好まず、夜は内輪だけで楽しく呑みたいなどとワガママなことを言う人たちでしてね。 するとどうなるか。 私も出張者の一人なのに、唯一の日本人である私が東京の夜をアレンジすることになるのですよ。 でまあ私はそういうのが嫌いじゃないもんだから、全力でオモテナシを企画してしまうわけです。 貸切りの屋形船で東京湾クルーズディナーとか。 忍者東

日本の後進性は経済に非ず

日本が経済的に貧しくなったとして「もはや後進国」みたいなことを言う人がいるそうです。 これに対しては、いろいろツッコミたくなりますね。 まず、GDP が中国とドイツに抜かれたからといって、依然として世界第 4位の生産力を誇る国が「経済的に貧しい」ってありえますか? 2009年まで世界第 2位だったのが、この 15年で 4位に転落したことから、 “相対的に” 貧しくなったとは言えそうですが、そもそも経済力を測る指標が GDPでいいのか?という問題もあります。 いやもっと言え

日本の正社員よ。正常な危機感を持て

最近、仕事絡みの経験から一つの思いに囚われています。 それは、会社員としての日本人の弱さのことです。 ある新しい仕事のポジションを募集していましてね。 社内と社外で同時に募集をかけていますが、できれば社内の人材のほうがいいので、私が前いた部署の元同僚などにも広く声をかけています。 募集しているポジションの職場は東京なので、私が昔いた日本企業の知り合いにも募集情報を提供しました。 するとどうなったか。 元同僚からガンガン連絡が入りました。詳しい話を聞かせてほしい、と。 即日

日本の違和感と幸福感と

年に 1~2回、一時帰国するたびに「違和感」という名の発見がある。 今回感じたそれは、「今さらそれ言う?」といった類いのものだった。 ひとつは、あまりの広告の多さである。 まちを歩くとあらゆるスペースが広告で埋め尽くされている。 テレビをつけると CM ばかりやっている。 娯楽コンテンツであるはずのテレビ番組さえも商品の宣伝をしている。 何を今さら・・・と笑われるだろう。 たしかに、私たちがそういう世の中に生きているのは自明だし、ビジネスと経済中心の社会とはそんなものだ、

日本人のヤバさを再考する

異文化についていろいろ書いてきましたが、今、最も根本的な違いのことを書きたい衝動に駆られています。 それは、日本人には公共心が欠如しているのではないか、という疑問です。 20代の後半をロンドン、30代の前半をルクセンブルクで暮らしていた頃、私はヨーロッパ人の振舞いに違和感をもっていました。 見ず知らずの人が微笑みかけてくること。 駅で。道端で。スーパーで。エレベーターで。 彼らは、アジア顔=よそ者の人間にフレンドリーに振舞っている、くらいに私は感じていました。 そのとおり

社会に蔓延する空気を変えられるか

私の記事は、noters の皆様の記事とコメントとメールに支えられています。 3~7日の間隔で書いていると、書くネタなど基本的にはないのです。 様々な noterさんの記事を読み、noterさんからいただくコメントやメールに触発されることで、書きたいことが生まれています。 今日の記事も、前回の記事のコメント欄に背中を押されて書こうと思いました。 日本の社会に蔓延する空気のことです。 日本に住んでいない私に何がわかるのか? 私と日本の接点は、日本支社の社員とのやりとりと一時帰

日本の銀行よ。さらばでござる

私はスイスの銀行と香港の銀行の他に、いちおう日本の銀行にも口座を持っているわけですが、今日その銀行からこんな題名のメールが来ましてね。 「【重要】現在の住所が確認できませんでした」 メールにはこう書かれていました。 たしかに、7ヵ月前に香港からスイスへ移住したとき、日本の銀行に住所変更届など出していません。そんな必要など思いつきもせんわい。 ちなみに、銀行から郵送してほしい「書類」など皆無です。この「書類」とは、住所を確認するために銀行が勝手に送りつけてくる嫌がらせです

コロナが明けた東京にて

出張で東京に来て 1週間たちました。 前回の一時帰国では、日本で感じる違和感について書きました。 今回感じたことも記しておこうと思います。 日本に住んでいる方にとっては、「え?そんな細かいこと?」と思えるかもしれませんが、海外在住者は日本のそんな細かいことが気になるのです。 今回の東京滞在中に気になったことどもを、小ネタ的に集めてみました。 朝のラッシュを避けるため、取引先との商談を午前10時にセットした。 9:40 に溜池山王から銀座線に乗ったら、車内は足の踏み場がない

日本の夏を遊ぼう

7月に東京出張と home leave を合わせて 1ヵ月ほど日本に滞在する。 私にとって東京で一番落ち着く場所は、四の橋商店街である。 四の橋から徒歩 2分のアパートに住んでいた期間が最も長かったからだ。 花の都・大東京のなかにあって、四の橋商店街は、住民とお店の人たちの顔が見える、住み心地の良いまちだった。 日本に滞在するときは必ずぶらつく場所となっている。 前回の帰国時、「必ず行くお店」は目黒のとんかつ「とんき」だと書いた。 四の橋にも「必ず行くお店」がある。 有

とんかつ屋さんにて

日本に来ると必ず行くお店がある。 目黒のとんかつ「とんき」だ。 今回もわざわざ目黒まで足を運んだものである。 その 3日後、妻女らと合流した。 長女に「何食べたい?」と訊くと、「とんかつ」と言う。 もう食べたわ、とは言えない。 10歳の長女に「とんき」はまだ早い。 長女の目当ては、千切りキャベツと柚子ドレッシングなのだ。 都内某所の和幸に来た。 午後 4時のことで、店内は比較的空いている。 このお店は客層が幅広い。 まず、私たちのような家族連れがいる。 外回り営業中ら

日本で感じる違和感の正体

日本に来ています。 帰国時に感じる違和感は、毎回だいたい同じです。 まず、ANA の異常に多い機内アナウンスに殺意を覚えます。 羽田空港に着き、ATM でお金を下ろします。 「お取引しています」 「最初に現金が出てきます」 と、よくしゃべるアレです。 お札を財布に入れている間、 「カードのお取り忘れにご注意ください」 と、かん高い声で 4回言われました。 「うっさいわ!」 と、思わず言うと、5歳の次女が 「パパが一番うるさーい!」 と、私より大きな声で叫びました。 周囲の