食い倒れのまちにて
大阪に来ています。
天満橋から少し歩いたところにあるお好み焼き屋さんに入りました。
やっぱり大阪に来たら “こなもん” ですからね。
鉄板のあるカウンターとテーブル 2席だけの小さなお店で、お客さんの入りは 8割ほど。なかなか繁盛しているお店のようです。
とりあえずチューハイをのみながら、鉄板でいろいろ焼いてもらいます。
隣に座っている 40がらみの男性が普通に話しかけてきました。
「お近くですか?」
「いえ・・・よそもんです^^」
「どちらから?」
ここで「スイス」と答えるのもメンドーな気がして、「東京です」と答えました。先週まで東京にいたのは事実なんだし。
「大阪は暑いでしょ」などしばらく世間話になります。
大阪だなぁ、と思います。
敷居が低いというか、敷居がないんですね。
見ず知らずの人と話すことにまったく抵抗がありません。
ヨーロッパの田舎まちもこれと似たようなところがあって、英語であれフランス語であれ、言葉が通じるとわかったら、知らない人同士の間でごく自然に会話が始まることがあります。
先週までいた東京では起こり得なかった現象です。
「ここの豚玉はうまいですよ」
と、おすすめまで教えてくれます。
そのうち、反対隣の女性や店主も会話に加わってきて、あれ?今日はこの人たちと呑みにきたんだっけ?と錯覚しそうになりました。
次の日は道頓堀に来ました。
ここは毎日がお祭りのような場所ですね。
東京にこんな場所あるでしょうか。
外国人観光客の多さは東京以上だと感じましたが。
食い倒れのまちに来て、こなもんの次に食べなければならないものといえば・・・串カツですね。
ここならどこもハズレないやろと考え、テキトーな串カツ屋さんに入りました。
お店に入って数分後、お店を間違えたかな、と思いました。
なんと!ザク切りキャベツが出てこない!
そしてさらなる違和感が私を襲いました。
ソースの入ったカンカンがない!
こんなん串カツ屋ちゃうやん・・・
二度漬け禁止を守らない輩が増えたからでしょうか?
道頓堀のお店は、天満橋のお店とはずいぶん雰囲気が違います。
まず、店員さんがいかにもバイトな若者ばかりです。
お客は外国人比率 70%超え。
注文はタッチパネル式。
なるほど。これでは会話など発生しようがないですね。
これだけ外国人客が多いと、4ヵ国語対応のタッチパネルのほうがラクだもんね。
でも、バイトの若者は外国人と話す良い機会だと思うんだけどなあ。
日本に来る外国人がこんなに増えたのに、日本人の語学力とガイジンアレルギーはいっこうに改善しないわけですよ。
もったいないなー。
大阪と東京の違いにばかり目がいきがちですが、そこじゃないんですね。
同じ大阪でも、天満橋と道頓堀で全然違うのですから。
天満橋のお店は、地元の常連さんが集まる場所なのでしょう。
かたや、道頓堀は観光客やよそ者が集まる場所で、今や外国人だらけのまちになっています。
同様に、同じ東京でも北千住と渋谷では全然違うのでしょうね。
(☝どっちもよく知らない)
変わりゆくまちがあれば、変わらないまちもあります。
そのむかし。久しぶりに京都を訪れたとき、祇園や木屋町界隈のあまりの変貌ぶりに悲しくなりました。そのとき生粋の京都人が「変わってへんところは全然変わってへんからええねん」と淡々と言っていたのを思い出しました。