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【感想文】小説『死神の精度』から学んだ「発想の転換」

noteをはじめて3カ月。放送作家なのに、意外にも「#読者感想文」のお題を書いていないことに気付きました。

僕が漫画以外にどんな本を読むか、興味はありませんか?

……興味ない? まあまあ、そう言わないで笑

きょう紹介したいのは、伊坂幸太郎先生の『死神の精度』です。2005年に単行本化した作品。金城武さんの主演で映画化もされました。

主人公は「死神」

死神はサラリーマンのように地上へと派遣され、不慮の死が近づいている人間を7日間にわたって調査します。

そのまま死ぬべきか、それとも生きるべきか。

対象者たちと接触し、人物像を掘り下げていくことで見えてくる人間ドラマ。はたして、死神の判定は?

この本は6章立てになっていて、6人の人生が描かれています。そして、最後の対象者が実は……、というオチが素晴らしかった!

というのも、死神だからこそ可能な仕掛けをしているんです。

さらに、章ごとに見せ方を変える構成力、細かい伏線の張り方!

そしてもうひとつ、巧いなあと思ったのは死神のキャラクター設定です。

音楽を愛しているから、CDショップの視聴コーナーに入り浸っては悦に入る。雨男だから、青空に憧れる。妙に人間くさい部分はあるのに、人間の言葉や感性は今ひとつ理解できていない。

なので、時々会話がかみ合わなくて、ユニークな間が生まれるんです。

「醜い」と言われたら「見にくくない」と返したり「年貢の納め時」と聞くと「年貢制度は今もあるのか?」と尋ねたり。

感覚としては、缶コーヒー『BOSS』のCMに出てくる宇宙人ジョーンズみたいな。「この惑星の住人は……」ってアレです。

そんなキャラクターだからこそ、ラストでの台詞も生きてくる。

「人間というのは、眩しい時と笑う時に、似た表情になるんだな」

お見事でした。

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さて、話はここで終わりではありません。実は本の最後に載っている「解説」から学んだことがあるんです。

それは「異化」という言葉。

異化とは、非日常的な視点からものを見ることによって、普通のものを見慣れない、奇妙になものにしてしまうというのものだそうで。

つまり、死神(宇宙人)から見た人間ってこう思われていますよ、そう考えると人間って不思議だよね!ってこと。

この手法を応用すると、実に様々なアイデアが生み出せるなあ、と。

『吾輩は猫である』なんかもそうですね。

外国人から見た日本人もそう。

あとは、子どもから見た大人とか。

無機物を擬人化してしまうのだってあり!

こちら(↑)は、レモンサワーから見た依頼者😋

異化を通して学んだのは、僕たちが当たり前と思っている日常は、見る人によっては非日常になり得るということ。視点を置き換えると、思わぬ発見があるということ。

別に、文章や企画をつくるクリエイターでなくてもいいんです。面接、お見合い、雑談、様々な場面で役に立ちそう。

あなたにとっては当たり前のことでも、違う立場、違うジャンルの人からは新鮮に映ることはありませんか?

〇〇視点に置き換える「発想の転換」で自分の魅力を見つけてみては如何でしょう。

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ちなみに『死神の精度』の映画ですが、6章のうち3.5章分を取り上げていました。この「0.5章」分の要素は脚本の妙かなー。しかし、濃厚な1冊を2時間にまとめるのは難しいのでしょうね。

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