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21 孫子の兵法("THE ART OF WAR")使ってる?

現在も、多くの人々に読まれている兵法書があります。それが、「孫子」と呼ばれる兵法書です。現在の中国に紀元前500年ごろ「孫武」という軍事思想家が誕生します。紀元前500年ということは、今から、2500年ほど前ということになります。戦略論として大変評価の高いこの孫子は、「孫子の兵法」として今日でも世界中で読まれています。

東西の二大戦争書と呼ばれているものの一つが「孫子」で、もう一つが「クラウゼヴィッツの戦争論」です。ちなみに、このクラウゼヴィッツの戦争論は、ナポレオン以降の近代戦争について研究したもので、戦争と政治の関係を体系的にまとめています。

孫子の兵法は、中国春秋時代に孫武によって書かれた兵法書なわけですが、この時代中国はどのような状態にあったかというと、古代中国における周王朝の後半期になります。「周」という王朝が東西に分裂したのが紀元前771年で、大国「晋」が三国に分裂したのが、紀元前5世紀ごろとなります。およそ300年に渡る期間を中国春秋時代と呼びます。

「孫子の兵法」は軍隊の配置や戦術について大変にわかりやすく、教訓を交えてまさに戦の極意をまとめています。わかりやすく、本質をとらえているため、多くの人が参考にしやすいのです。また、戦争をビジネスや生活の様々な場面に置き換えてもこの戦略的な考え方が使える点も大きな魅力です。

中国の名だたる軍師や将軍だけではなく、日本では、武士が世の中を治めるようになった鎌倉時代や戦国時代には、孫子の兵法を学ぶことは武士にとっては必須事項だったのです。日本を代表する武将、武田信玄が孫子の旗を本陣に掲げ、最強の騎馬軍団を率いていたことはとても有名な史実です。もちろん、織田信長も徳川家康も黒田如水も上杉謙信も読んでいました。それだけではありません。あの、「わがはいの辞書に不可能という文字はない」で有名な、ナポレオンも「孫子の兵法」を学んでいました。時を超えて、現在でも、あのマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが愛読しているほどです。

では、この「孫子の兵法」にはどのようなことが書かれているのでしょうか。「孫子の兵法」が書かれる以前では、戦は、天の意志によって勝敗が決まるとされていました。ですから占いやお祈りは欠かせない戦の前の儀式でありました。つまり、運任せなので「勝負は時の運」といった感じで国家を左右するような戦を始めてしまっていたわけです。孫武は、春秋時代という大変な乱世の中で、過去の戦争の歴史を研究し、いくつもの共通点を発見し、それを軍事法則としてまとめました。戦争の勝敗にはいくつかの理由があるということに気づいたのです。また、その理由を研究することで戦争の結果をより良いものに導く方法を発見したのです。それが「孫子の兵法」でした。この発見とそれをまとめた孫武の業績は、それまでの戦への考え方を大きく変える歴史的な偉業となりました。

孫子の兵法に書かれている内容は、大変有名であり、様々な人がその内容を説明しています。関連する書籍もたくさん出ていますので、今回は、ごく簡単にその内容を4つにまとめ紹介します。

(孫子の兵法の4つの要点)
 〇戦争は国民の命や国の資源やお金をたくさん使うことであるため、ちゃんと考えてから始めないといけません

 〇戦争をする前、する時、している時には、情報をしっかり集めて十分に分析してお互いの力や政治の様子などを把握しなさい

 〇戦争は負けないようにする準備をして、勝てるという見込みがある計画を十分に立てないといけません

 〇戦争はできるだけ効率よく進めて、計画を立てて実行しなければいけません

孫武は、戦争を極めてリスクの高い重大なものであると考えていました。戦争をすること自体できればしない方がよいと考えているのです。「戦わずして勝つ」という考え方も孫子の兵法に書かれている考え方です。つまり、戦争は、国民の生死、国家の存亡に関わることであるから、よく考えるべきであると言いたいのです。戦争という国家にとって負ければ滅亡を意味するような大きな判断は、国家をどのように導いていくかを考える政治と一体として考えていかなければならず、やるからには勝つために必要な努力と分析と判断を適切に行わなければならないという孫武の思想が込められています。

「戦争」という部分をほかの言葉に置き換えてもこの考え方は様々なことに応用できます。さらに、具体的に活用したいときは、孫子孫子「十三篇」を見てみることをお勧めします。大変実用的な教訓が短い言葉で記されています。例えば、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。」などはとても有名です。彼は、相手や対象物です。己は自分です。運動会で、相手のチームに大柄の選手がいたら力では勝てません。であれば、速さで勝負した方が勝ちの芽が出ます。さらに、相手が大柄ではあるが体力に問題があるようなら最後に勝てばいいので最初は、体力を削ればより勝ちに近づくことができます。

このように、時代を超えて「もののやり方や考え方」の真理を伝えてくれている書物はほかにもたくさんあります。悩んだときは、歴史に学ぶことも大切なものの見方かもしれません。

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