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「ニュース英語」がすらすら読めるようになるコツとは?読みにくさをピンポイントで攻略できる一冊。

英語教育者絶賛の「ニュース英語の読み方」決定版、『日本人が苦手な語彙・表現がわかる「ニュース英語」の読み方』が、2024年3月22日に発売となりました。
このnoteでは、英語の「独特な表現」を理解するのに最適な本書から、一部抜粋・編集して公開します。

突然ですが、次の例文の「slam dunk」は、どういう意味に訳されるか分かるでしょうか?

Republican Sen. Bill Cassidy described the case against former President Donald Trump for allegedly mishandling classified documents as “almost a slam dunk” and said he thinks Trump should drop out of the 2024 presidential race.
(CNN, 2023/8/20)

共和党のビル・キャシディー上院議員は、前大統領のドナルド・トランプが機密文書の取り扱いを誤ったとして訴訟されていることについて「ほとんど○○」であると評し、トランプは2024年の大統領選から撤退すべきであると述べた。


・ニュース記事の中で出てくる口語表現

上の問題の答えは、「ほとんど確実なこと」です。

slam dunkという表現は、もともとバスケットボールの「ダンクシュート」という意味ですが、「ダンクシュート」が普通のシュートと違って絶対確実に決まるものであることから、「絶対確実なもの」という意味になりました。
今ではスポーツ以外の一般的な会話や書き言葉の中でも、非常に頻繁に使われるようになっています。

こうした口語表現は受験英語や英検、さらにはTOEIC、TOEFLなどの検定試験にはほとんど出てこないものです。
したがって、そうした試験対策の勉強ばかりしていると、実際にネイティブが毎日のように使い、映画やテレビ番組でも頻出する、生きた口語表現を全然知らないという何とも残念な結果になってしまいます。

ニュース英語を読むうえにおいても、ビッグワードと呼ばれる難しい単語を覚えることは大変重要なことです。しかし、そうした単語をいくらたくさん覚えていたとしても、口語で使われる単語や熟語を知らなければ真に英語を理解していることにはなりません。

もちろん、口語表現に特化した辞書や参考書も数多く出版されていますので、そうしたものを通じて勉強することもできるでしょう。しかし、辞書や参考書に載っているのはどうしてもその数が限られます。
また、それらに掲載された単語や表現のうち、どれがどれぐらいの頻度で、どのような文脈で使われているのかということは実際にはよく分かりません。
その意味でも、口語英語を知るには、ニュース英語記事を読むことが一番有効な手段になるのではないかと思います。

・英語学習者の急増

日本の英語学習者はこの10年間で急増しています。2006年には25歳以上の英語学習者が614万人だったのに対し、2016年には804万人と30%以上も増えています(日本政府による、2006年及び2016年社会生活基本調査のデータをもとにThe English Club 調べ)。

この流れはコロナ後の海外旅行熱の高まりでさらに強まり、外国人とのコミュニケーションの手段として英語を本格的に学び直そうと考える人が増えているようです。

独学で英語学習を本格的に始めている/始めたいと考える人が増えている今、英語学習の題材としておすすめなのが、新聞・雑誌・テレビで使われる「ニュース英語」を読むことです。

時事英語に苦手意識を持つ人は多いと思いますが、ニュース英語を読むことのメリットは実はたくさんあります。

海外の視点からニュースを知ることができたり、幅広い分野の最新情報を知ることができるということはもちろん、なにより最大のメリットは、今まさにネイティブ・スピーカーが使っている、“生きた語彙・表現”を学ぶことができることにあります。

・40年以上ニュース記事を読んできたプロの実務家がコツを伝授

三輪裕範氏は、総合商社の国際政治経済の専門家として長年活躍し、40年以上にわたり、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなど、欧米の主要な英語新聞・雑誌を読み続けてきました。英語のまま記事を読むことで、最新の情報を得てリサーチャーとしての仕事に活かしてきたのです。

『日本人が苦手な語彙・表現がわかる「ニュース英語」の読み方』では、そんな経歴を持つ著者が、欧米の主要英語新聞や雑誌記事の語彙・表現上の特徴をまとめました。ニュース英語を読むメリットや読むときのポイントを、実際の記事を引用しながら紹介していきます。苦手な人の多い、英検・TOEICの時事英語の対策にもぴったりです。

・ニュース英語がすらすら読めるようになるコツとは?

前作『今度こそすらすら読めるようになる 「ニュース英語」の読み方』では、読みにくさを感じることの多いニュース英語の構造・文法的なポイントをあげて解説し、ご好評をいただきました。

本書では、特に語彙・表現上のポイントについて、数多くの実際のニュース英語記事を引用しながら、それぞれの英文の構造や記事の背景をくわしく解説していきます。

紹介している語彙例


①   「shower praise on」(本文p.76-80)

Majority Leader Chuck Schumer took an emotional victory lap on Wednesday after Democrats won the Georgia runoff and secured an outright majority with a 51st Senate seat.
The New York Democrat said he was “brought to tears last night” watching Sen. Raphael Warnock, D-Ga., in his reelection victory speech, talk about how his mother went from picking cotton and tobacco as a teenager to picking her son to be a U.S. senator. He showered praise on Warnock for an “inspiring” campaign.
(NBC NEWS, 2022/12/8)

訳:
多数派民主党の上院院内総務であるチャック・シューマーは、水曜日に民主党がジョージア州の決選投票に勝って、上院で51議席となり完全な多数派とすることを確保したあと、気持ちが大いに高揚し勝利を祝った。
そのニューヨーク選出の民主党員(=シューマー)は、ラファエル・ウォーノック上院議員が再選勝利演説の中で、彼の母親がティーンエイジャーの時代に綿やタバコを刈り取ることから始めて、自分の息子を合衆国上院議員にまで育て上げた話を語るのを見て涙を流したと語った。そして、彼はウォーノックが人々を鼓舞し勇気を与えるような選挙戦を戦ったことを褒め讃えた

解説:
「shower praise on」
シャワーのように称賛を浴びせる→「褒め讃える」


②   「a sport striving with all its might to become less interesting」
(本文p.146-148)

A sport striving with all its might to become less interesting just held the first chockablock Saturday of its fresh season, and it seemed more aching than ever to scour that Saturday for the charms it might have yielded.
(Washington Post, 2023/9/3)

訳:
全力でより面白くないようになろうと努力しているスポーツがこの土曜日に観客でぎっしり詰まった新シーズンの最初の試合を行ったが、そのスポーツが明け渡してしまった魅力をこの土曜日に探し求めることはこれまで以上に望まれることのように思われた。

解説:
「a sport striving with all its might to become less interesting」
直訳:全力でより面白くならないようにしようと努力しているスポーツ
→「非常に高い人気を誇るスポーツなのに、最近は試合が面白くなくなってきた」ことへの皮肉


③   「sticky prices」(本文p.213-216)

There are already signs that the Fed’s tightening is working, at least in some parts of the economy. The housing market has slowed, manufacturing is down and prices on a number of goods have stabilized. Washing machines, tires, smartphones, meat and whiskey all got cheaper in February, though economists say there is still a long way to go in bringing down “sticky” prices on services, such as rent, transportation and restaurants.
(Washington Post, 2023/3/14)

訳:
少なくとも経済の一部において連邦準備制度の金融引き締め策の効果が表れているという兆候がすでに出ている。具体的には、住宅市場が減速し、製造業も速度を落とし、多くの商品価格も落ち着いてきた。洗濯機、タイヤ、スマホ、肉、ウィスキーなどもすべて2月には価格が安くなった。もっとも、家賃、輸送、レストランといった高止まりしているサービス価格を引き下げるにはまだ遠い道のりが残っているとエコノミストたちは述べている。

解説:
「sticky prices」
ねばねばした物価→「なかなか下がらない物価」を表現


本書で紹介しているニュース英語記事の大半は、この1〜2年に掲載されたものです。ジャンルも政治・経済だけではなく、スポーツや芸能、新型コロナウイルスのような社会問題など幅広い分野を盛り込んでいます。

ウクライナ危機や新型コロナウイルスの流行、米国のインフレ、米中関係など、世界の「今」を扱った例文が豊富なので、読みものとしても楽しむことができます。

・時事英語に苦手意識があり、ピンポイントで攻略したい。
・英検・TOEIC・TOEFLなどの試験対策のため、英文記事を読んでおきたい。
・独学で英語の学び直しをしたいと思っている。
・ネイティブがよく使う英語ならではの表現を身につけたい。
・国際人としての教養を身につけたい。

このような方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

書籍情報

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著者について】
三輪裕範(みわ やすのり)

1957年兵庫県生まれ。1981年神戸大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。 1991年にハーバード・ビジネス・スクールにて経営学修士号(MBA)を取得。 その後、ニューヨーク店経営企画課長、大蔵省財政金融研究所主任研究官、経団連21世紀政策研究所主任研究員、伊藤忠商事会長秘書、調査情報部長、伊藤忠インターナショナル上級副社長(SVP)兼ワシントン事務所長等を歴任。2017年にはジョンズ・ホプキンス大学大学院高等国際問題研究所(SAIS)の上級客員研究員を務める。 英検1級、TOEIC満点を17回取得(2024年2月現在)。 著書は、『超訳 努力論』、『時間がない人が学び続けるための知的インプット術』、『日本人が必ず間違える英単語100』、『今度こそすらすら読めるようになる 「ニュース英語」の読み方』(以上、ディスカヴァー)、『四◯歳からの勉強法』、『ビジネスマンの英語勉強法』、『ヒラリーの野望』、『アメリカのパワーエリート』(以上、ちくま新書)、『通のアメリカ英語』、『ハーバード・ビジネス・スクール』(以上、丸善ライブラリー)、『ニューヨーク・タイムズ物語』(中公新書)、『TOEIC L&R テスト PART5 至高の1500問』(コスモピア)など多数。



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