牛山素行

静岡大学防災総合センターで、豪雨災害を主な対象とした災害情報学を専門に研究しています。…

牛山素行

静岡大学防災総合センターで、豪雨災害を主な対象とした災害情報学を専門に研究しています。 https://researchmap.jp/read0193057

マガジン

  • 牛山素行 風水害の「避難」について

    洪水・土砂災害など、風水害時の「避難」に関係して書いた記事をとりまとめています。

  • 牛山素行 災害関係のいろいろなトピックス

    災害、防災関係で書いたことで、災害事例や特定の話題にかかわらず横断的な内容の記事をまとめました。

  • 牛山素行 静岡新聞「時評」寄稿記事

    静岡新聞「時評」欄に著者(静岡大学防災総合センター・牛山素行)に2,3ヶ月に1回程度の間隔で,災害に関係して筆者が考えることなどを寄稿しています.これらの記事を,紙面掲載後にこちらに転載しています.記事は字数制限がありますので,いろいろと追記している場合もあります.

  • 牛山素行 災害調査メモ

    静岡大学防災総合センターの牛山素行による、風水害を中心とした災害調査に関する資料を目次的にまとめたものです。

  • 風水害犠牲者調査について

    筆者はここ十数年以上にわたり,風水害による犠牲者の発生状況の調査を続けています.その調査結果に関係する記事をまとめておきます.

最近の記事

  • 固定された記事

講演・ご取材のご依頼

(2024年7月19日版) 講演・ご取材などのご依頼について 当方では,洪水・土砂災害を主な対象とした災害情報などについての講演や,ご取材,原稿執筆に協力させていただいております.これらのご依頼に関しましては,当方の業務の都合がつく範囲内で承っております. [参考] 講演実績 メディア報道 論文等 当方の考え方や最近の活動などについてはnoteやXをご覧下さい。 簡単な自己紹介 専門は災害情報学、自然災害科学です。風水害、特に豪雨災害を中心に、人的被害の発生状況、災害情

    • 自然災害の基本的性質 山は崩れ、川はあふれる

      (2024年7月18日付静岡新聞「時評」欄への寄稿記事)  「この辺りの山は頑丈な岩石で崩れない」といった話を聞くことがある。あくまでも相対的な話としては、比較的崩れやすい、という所がないわけではない。しかし、残念ながら「絶対に崩れない山」というものは存在しない。  川についても同様だ。周囲より低い土地、川幅が狭くなった箇所の上流側など、相対的に川から水があふれやすい場所はある。しかし、「絶対にあふれない川」というものも存在しない。  山を構成する岩石は空気や水に触れて

      • 「防災気象情報に関する検討会」の最終とりまとめに思うこと

         2024年6月18日、気象庁が開催してきた「防災気象情報に関する検討会」の最終報告がまとまり、公表されました。筆者は同検討会に委員(第5回からは副座長、サブワーキンググループでは座長)として参加の機会をいただきました。以下ではこの最終報告の主な内容について、筆者の個人的な考えを記しておきます。あくまでも個人的な記述であり、同検討会あるいは副座長としての公式の見解といったものではありません。 なぜ今このような検討が行われたのか 一言で言えば、災害時の避難情報に関する様々な議

        • 2023年の梅雨前線による豪雨災害調査メモ

          2023年6月から7月にかけての梅雨前線の活動による大雨に伴う災害について、静岡大学防災総合センターの牛山素行によるツイートなどもとに速報的にとりまとめたものです。※2024/06/10、マガジンから記事に変換しました。

        • 固定された記事

        講演・ご取材のご依頼

        マガジン

        • 牛山素行 風水害の「避難」について
          28本
        • 牛山素行 災害関係のいろいろなトピックス
          22本
        • 牛山素行 静岡新聞「時評」寄稿記事
          26本
        • 牛山素行 災害調査メモ
          6本
        • 風水害犠牲者調査について
          16本
        • 2023年の梅雨前線による豪雨災害調査メモ
          8本

        記事

          2022年9月23~24日の静岡県内での豪雨災害調査メモ

          2022年9月23日夜~24日朝にかけて、台風15号の影響により発達した雨雲による大雨で静岡県中部・西部を中心に豪雨災害が生じました。静岡大学防災総合センターの牛山素行による本災害についての調査報告などをとりまとめています。※2024/06/10、マガジンから記事に変換しました。 牛山 素行・北村 晃寿:2022年9月23日~24日の静岡県における豪雨災害の特徴、自然災害科学(日本自然災害学会誌)、Vol.42、No.1、pp.5-29、2023

          2022年9月23~24日の静岡県内での豪雨災害調査メモ

          2021年7月3日の静岡県熱海市での土砂災害に関するメモ

           2021年7月3日に静岡県熱海市で発生した土砂災害についての筆者の調査結果や関連資料をとりまとめています。※2024/06/10、マガジンから記事に変換しました。 牛山素行:2021年7月熱海市土砂災害にともなう人的被害の特徴と過去の災害事例との比較、自然災害科学(日本自然災害学会誌)、Vol.43、No.1、pp.29-46、2024

          2021年7月3日の静岡県熱海市での土砂災害に関するメモ

          2020年台風10号による災害に関するメモ

          2020年台風10号に伴って発生した災害についての調査結果や,災害発生前に記述した筆者の資料・記事をとりまとめています.ヘッダ画像は2020年9月6日12時の気象衛星画像,気象庁ホームページより。※2024/06/10、マガジンから記事に変換しました。

          2020年台風10号による災害に関するメモ

          令和2(2020)年7月豪雨による災害に関する調査メモ

          令和2(2020)年7月豪雨に伴って発生した災害に関する筆者の調査結果をnote等の記事にしたものをとりまとめています.ヘッダ画像は地理院地図の陰影起伏図より.※2024/06/10、マガジンから記事に変換しました。

          令和2(2020)年7月豪雨による災害に関する調査メモ

          防災の数値情報の捉え方 細かく読まず大まかに

          (2024年4月18日付静岡新聞「時評」欄への寄稿記事)  数値で表されるさまざまな情報は、それぞれ異なる正確さの度合いを持っている。これが「精度」と呼ばれ、数値のばらつきの幅(誤差と言うこともある)などで表される。ハザードマップなどで用いられる地図も実は数値情報の集合体であり、地図上にさまざまな形で表現されている記号や標高などの情報にもそれぞれ精度がある。  国土交通省が整備している「重ねるハザードマップ」の背景図として使われている地図は国土地理院が整備している「地理院

          防災の数値情報の捉え方 細かく読まず大まかに

          大井川鐵道被災区間見学ツアーに参加して

          大井川鐵道被災区間見学ツアー 大井川鐵道大井川本線は、2022年9月の静岡県付近で発生した豪雨による災害で被害を受け、2024年5月現在も金谷-千頭間39.5kmのうち、川根温泉笹間渡-千頭間19.5kmで運休が続いています。同区間の復旧に関しては、静岡県が「大井川鐵道本線沿線における公共交通のあり方検討会」を開催し、「早期の運行再開を目指した検討を継続する」という報告が出ているようです。  大井川鐵道は、5月11日と18日に、「大井川鐵道被災区間見学ツアー」を開催しまし

          大井川鐵道被災区間見学ツアーに参加して

          能登半島地震 多様な現象が全て発生

          (2024年1月24日付静岡新聞「時評」欄への寄稿記事)  元日の北陸地方を襲った能登半島地震。23日時点では死者233人(うち災害関連死15人)、安否不明者19人と発表されている。なお災害関連死者とは、災害による負傷の悪化や避難生活などにおける身体的負担による疾病での死者であり、1995年の阪神・淡路大震災以降に一般化した概念である。それ以前の災害でも同様なケースはあったと考えられるが、災害の死者数としては記録されていない。従って、過去と近年の災害の人的被害規模を見比べる

          能登半島地震 多様な現象が全て発生

          能登半島地震 土砂移動現象による建物倒壊等の発生箇所と土砂災害警戒区域

           能登半島地震にともなう土砂移動現象により多くの人的被害が生じた2箇所について、先に記事を書きました。  今回は、人的被害発生箇所に限らず、今回の地震起因の土砂移動現象により激しい家屋被害が生じた箇所を空中写真から判読してみました。 倒壊等建物の判読方法  判読対象は、住家や事務所など人が日常的に所在していると思われる建物です。空中写真から地震による土砂移動現象が見られる箇所にあり、今回の地震にともなう土砂移動現象により倒壊、流失、変形したとみられる建物を判読しました

          能登半島地震 土砂移動現象による建物倒壊等の発生箇所と土砂災害警戒区域

          誤解多い『内水氾濫』 既知の現象 冷静に議論

          (2023年10月31日付静岡新聞「時評」欄への寄稿記事)  大雨に伴う現象の一つに「内水氾濫」がある。降った雨水が排水できなくなり、宅地や道路にあふれることを指す。河川の本流の水位が上昇し、支流の水が流れ込みにくくなって支流があふれることを指す場合もある。内水氾濫の対になる言葉が「外水氾濫」で、これは河川の堤防が決壊したり、堤防を越えて水があふれ出したりすることを指す。  内水氾濫は極めてありふれた現象である。外水氾濫以外はすべて内水氾濫であり、日常的に目にする「道路が

          誤解多い『内水氾濫』 既知の現象 冷静に議論

          石川県による能登半島地震で亡くなられた方の氏名等公表に思うこと

          能登半島地震で亡くなられた方の氏名が公表へ  1月15日、石川県は「令和6年能登半島地震で亡くなられた方の御氏名等(第1報)」という資料を公表しました(あえてリンクはしません、冒頭画像は公表資料の一部)。この資料では、今回の能登半島地震で亡くなられた方23人について、氏名、市町名、性別、年齢、死因が挙げられています。「ご遺族の同意を得られた内容を記載しております」との注記があります。  災害時の安否不明者のお名前については、捜索活動に役立つことなどから積極的に公開する方

          石川県による能登半島地震で亡くなられた方の氏名等公表に思うこと

          住家がないところは土砂災害警戒区域にはならない

           能登半島地震では、地震に伴うがけ崩れなどによる土砂災害が各地で発生し、人的被害にもつながっていることが伝えられています。1月10日時点で比較的多くの報道が見られる土砂災害被災現場としては、穴水町由比ヶ丘付近(死者14人程度)と、珠洲市仁江町(死者9人)の2箇所があります。 珠洲市仁江町の土砂災害  珠洲市仁江町では斜面崩壊で家屋が被災し、ここにお住まいだった方と、正月で帰省していた家族11人が巻き込まれ、うち9人が亡くなったと報じられています。   下図は地理院地図

          住家がないところは土砂災害警戒区域にはならない

          令和6(2024)年能登半島地震 災害調査メモ

           2024年1月1日に発生した令和6(2024)年能登半島地震による災害に関連し、当方が記述したことやまとまった報道などを以下にとりまとめておきます。なお、各記事の記述内容は、各記事の執筆時点で得られた情報をもとに記述したもので、その後得られた情報により数値や見解が大きく変わっている場合があります。この場合も全ての内容を都度修正してはいないことをあらかじめご了解下さい。 関連論文等 自然災害科学(日本自然災害学会誌)Vol.43,No.2掲載予定の「令和6年能登半島地震に伴

          令和6(2024)年能登半島地震 災害調査メモ