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HRの存在意義を見つめ直す


今回は、HRの存在意義についてまとめます。

VUCA時代と言われる変化の激しい外部環境の中で、「人的資源の最適化」というのは最も重要なテーマの1つです。
それにも関わらず、日本企業においてHR(人事)の立ち位置はまだまだ低く、バックオフィス(間接部門)の1部署として捉えられていることも多いのではないのでしょうか。

この一般認識こそが、日本企業と欧米企業との「人における企業競争力の差」を生み出してしまっている最大の要因だと思われます。

そういう意味でも改めてHRの存在意義を再認識し、HRの在り方を考えていきましょう。

今回は、

・人材獲得
・人材保持
・人材開発

の3点でまとめていこうと思います。



①人材獲得

人材獲得とは、「採用」とイメージしていただければ分かりやすいかと思いますが、近年では単なる正社員の採用だけを行っていくわけではなく、様々な雇用体系・関わり方を総合的に加味しながら人材の獲得を行っていくことがHR部門に求められていること、ともいえます。
いわば、「人材獲得」から「労働力獲得」の変化にどう適応していくか、ということです。

DXのようなビジネスモデル変革や業務変革の実現に向けて、単なる新卒一括採用だけに限らず、不足するスキルや専門性を有した人材をグループ内または外部市場からタイムリーに調達しなければなりません。
正社員雇用契約に限らず、有期雇用や労働者派遣、業務請負といった契約形態のミックスをどうデザインしていくのか、その人材がシナジーを発揮するためにはそう組織をデザインしていくのか、このような部分もHR部門には求められてきます。

そして、短期的な視点だけではなく、中長期的な視点から自社の事業ポートフォリオがどのように変化していくのかを見通し、そこで将来必要となる人材要件を明確化した上で採用計画に落とし込み、実行していく。
そのような経営的な要素もより必要となってきます。


②人材保持

人材保持とは、「人材流出の防止」のことです。どれだけ優秀な社員を採用(育成)しても、その人材が社外に流出してしまえば意味がありません。

自社に関わっている人材に対して、給与を支払い、ベネフィットを提供し、適切な貢献評価を行うことでエンゲージメントを向上させ、人的資源としての価値を維持・向上させることで組織基盤(=経営基盤)を支えていく。
さまざまな階層や属性の人材とコミュニケーションをとることで、人や組織の問題意識、コンディションを把握し人材保持に努めます。

また、近年では合併や買収、グループ再編なども積極的に行われている時代です。
事業スキームやスピードばかりが重要視され、本来手放してはいけない人材の流出やエンゲージメントが低下し、結果的に組織全体のパフォーマンスが下がるといったケースは珍しいことではありません。
DD(デューデリジェンス)では考慮されにくい、人材や組織固有のカルチャーなどをしっかりと把握し組織を作り上げていくことも、HR部門の大きな存在意義なのです。


③人材開発

人材開発によって人材のパフォーマンスを最大化することは、企業競争力を高め、持続的成長を担保することに直結します。つまりHR部門は、「ヒト」という経営資源のパフォーマンス向上に関しても、使命と戦略をもって取り組まなくてはいけません。

まずは、日本企業の大きな課題として「人材投資」が十分に行われていないことが挙げられます。米国企業と日本企業では、人材投資への比率が4倍以上離れているというデータもあり、それこそが企業競争力の差に繋がっていると言わざるを得ません。

しかし、やみくもに人材投資をするわけにはいきません。
だからこそ、企業におけるビジネスゴールである財務的結果(売上、利益、ROI、ROA)と人材開発投資との関係をきちんと明確にし、投資対効果を正しく説明できる状態の中で、適切投資を行っていく。
このあたりの投資戦略もHR部門の役割だといえます。


まとめ

今回は、①人材獲得 ②人材保持 ③人材開発 の視点からHRの存在意義をまとめさせていただきました。
改めて、HR領域に対する仕事の難易度が上がってきているのを実感するとともに、この激変の時代におけるHRの重要性や意義を再認識していただければ幸いです。

それでは、また。

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