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たった1発の右アッパーで3時間記憶が飛んだ話。



ボクシング。

デビューして2戦目のころに、相手の右アッパーをもらって3時間記憶が飛んだことがある。

恐らくこの記事を読んでいる人の大半は、記憶が飛ぶどころか、気絶すらしたことないだろう。
気絶するその瞬間まで自分もその一人だった。




< 試 合 中 >



相手のアッパーがくることは分かっていた。見えてたから。でも、ガードするより、相打ちになった方が倒せると思ったのであえてガードしなかった。(正確に言うと気付いたときにガードしても多分遅かった。)

打たれ強さと、ノーガードの打ち合いを売りにしてたので大丈夫だろうと思っていた。

しかし、相手の右アッパーは右斜め下から私の左エラあたりにもろに入った。



そこからの記憶はない。

次に現実世界に戻ってくるのは3時間後だった。




<3 hours later…>



気が付くと私は電車の中にいた。わけ分からなくて、相当パニックになったのを今でも覚えている。
隣には一緒に戦った友人が寝ていたので、無理やり起こして彼に尋ねた。



「俺の試合は?!」

「お前、判定で負けたやん(笑)」

「え?」

「え??」



そうなのだ。

私は記憶が飛んだあとも、最後までしっかり戦っていたのである!!!!!!

困惑している私に、彼が私の試合映像を見せてくれた。アッパーをもらった瞬間までは覚えている。問題はそこからだ。

私はダウンした後、カウント5くらいでむくっと起き上がりファイティングポーズをとっていた。ここは一切記憶がないわけだから、これは本当に俺なのかと自分の目を疑った。



さらに驚いたのは、その後ふつうに戦い、ふつうに負け、ふつうに解散したあと、なんと飯まで食っていたのだ。しかも、牛丼特盛!!

記憶が飛んでるのに!!!!!!!!!


そのあとなんやかんやあって、今に至る。

なにが一番怖いかって、記憶がとんだ3時間のあいだ私は何ら変わりない普通の生活をしていたことだ。パラレルワールドにでも飛ばされた気分だった。


この不思議な体験を機に私は、人間いつ死ぬか分からないからこそ、毎日を全力で生きなければなと強く感じた。(こんな変な体験で気づいたことが恥ずかしいw)





皆さんは日々全力で生きてますか?

必死に命を燃やしてますか?





自然界では日々動物たちが、弱肉強食の世界を全力で生き抜いている。

かつて人類もそうだったはずだ。

死と隣り合わせの中、毎日おびえながら一瞬一瞬を全力で生きていたと思う。



いつ死んでも悔いのないように。




絶対的な力を手に入れた人類はいま、すこしぬるま湯に浸かりすぎてるんじゃないかと思う。

昔のようにおびえながら生きろというわけではないが、一日一日を大切に過ごしてほしい。



せめて無駄にしないでほしい。



今日も最高な一日だった!
明日が待ち遠しい!
と思えるように生きてほしい。


「あなたが無駄に過ごした”今日”は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった明日。」




そんなことをふと思った、右アッパーをもらって記憶が飛んだ人の話。



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