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看護師さんの言葉とハグと涙(精神科退院4日目)

退院してから4日目。


きょうは昼過ぎまで寝て
テレビでYouTubeを見ながらソファでまた寝る
という寝太郎ならぬ寝花子な1日。


ただきょうは入院していた病院の夏祭りがあった。


入院中に培った
“人の目を気にしない精神”でGO!

到着すると私に気づいたOTさんが
入り口を教えてくれた。

その入り口に向かうと
看護師さんが手を振ってくれた。


看護師さんの元へ行くと
病棟の看護師さんやOTさんが
ジュースを振舞ってくれた。

あぁ、あったかい。


早くも忘れかけてた温もり。

ありがたやありがたや。


私がいた病棟の患者さんはまだ連れてきてない
ということだったので隅の方で待機。


本当は皆さんとお話ししたいし
他の場所も回りたかったけど

やっぱり出てしまった

“今忙しいんやけどって思われたくない”メンタル。

“「ぼっちじゃん」って思われたくない”メンタル。


そんなことを一人で無駄に考えていると
病棟の患者さんたちが来た。

16歳の子は私を見て顔を綻ばせた。

『ここで会えると思わなかった』と。

「ちゃんとごはん食べてる?」と聞くと
『ごはんは食べてるけど薬を飲んでない』という。

改善の兆し?と思ったけどどうやら違うらしい。


その後、それ以上話すことはなく、
看護師さんの指示を聞きながら移動していた。


正直もっと手を繋いだり、
別れるときはまた泣いてしまうんじゃないかと
思っていたけどそんなことはなかった。

でも安心というより
遠い目をする表情が気になった。


きっと彼女の頭には相変わらず
死が渦巻いているのだろう。


20歳の子にも声をかけた。

1人の看護師さんと1人の患者さんが
その子を挟むように腕を組んでいた。

表情もおぼつかないので調子は万全ではなさそう。


ただ声をかけると彼女もパッと笑ってくれた。

『どんぐりさん!』


看護師さんが
『せのび山さんが来たら笑顔になった』と
言ってくれたのはうれしかった。


そして彼女ともう一人の患者さんは
スーパーボールすくいをやり始めた。


ポイが頑丈なものだったようで
どんどんすくっていて楽しそうだった。


ただ彼女が立ち上がろうとした瞬間に
後ろに倒れた。

幸いもう一人の患者さんが
ずっと腕を組んでいたから
バタンと倒れることはなかった。

看護師さんが持っていたジュースを私が預かり
彼女は後ろにあったベンチに運ばれた。



少し落ち着いたところで
私は彼女の手を取って声をかけた。

「またね。ぼちぼちね。元気でね」


さっきよりも固い表情の彼女がうなずいた。



2人の元気な姿が見られたらと思っていたが
どうやら調子がいいとは
とても言えない状態だった。


ぼちぼちだよ。
応援してる。



盆踊りにはちゃんと参加した。


若い人は全然いなかったけど
ほとんど患者さんだったけど
人の目を気にせずに参加できた。


しかもちゃんと恥ずかしがらずに踊れた。


一歩前進。


盆踊りの練習に一緒に参加してくれていた
看護師さんが見てくれていたらしい。


『しっかりきれいに踊れてましたね』


何のことであっても褒められるのはうれしいね。



フィナーレは大きな打ち上げ花火。


私の地域では
花火が中止になった祭りも多かったから
見られてうれしかった。

近くで打ち上げられていたそうで
大きくて感動した。



帰り際、
親しかった女性の看護師さんが声をかけてくれた。


私の手を取ってはっきりと目を見ながら


『お会いできてよかったです。
 お元気になさってください。
 ご活躍を期待してます』と言ってくれた。


その目には涙が浮かんでいた。



本当は抱きしめたいところですが、と言われたので
思わず抱きついてしまった。

すると背中をさすりながら


『よく頑張りました。
 大丈夫です。よく頑張りましたね』と
 繰り返してくれた。


社交辞令とは思えない
看護師さんの心のこもったメッセージが
私を深く、優しく包み込んだ。


多分この瞬間のことは一生忘れない。


家族でも友人でもない
70日の入院先で出会った看護師さんが
なぜ一患者である私をここまで励ましたり、
応援したりしてくれるのか分からないけど
考える必要はない気がする。


看護師さんは私の背中を押してくれる
一員になってくれた。


この看護師さんに出会えて本当に良かった。

ありがとうございました。



今、看護師さんの言葉のおかげで
復職への思いがむくむくと湧いてる。


うれしい。がんばろう。

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