「機能性表示食品」制度の表と裏 〜広告表現事例をわかりやすく解説〜
最近では、機能性表示食品の届出受理をされていた小林製薬の紅麹サプリが健康被害を出してしまい、社会的問題となっています。この問題は、機能性表示食品という制度そのものを揺るがしている問題でもあるのです。
制度が始まって間もないころ、企業の担当者から「機能性取ろうと思うんだけど、どう思う?」「機能性取った広告ってどうすればいいの?」などなど、それはそれはたくさんの相談を受けました。
いろいろ話をしていると、「商品を売る側」と「制度を作った側」の目的が違っていて、面白いなぁと感じました。
機能性表示食品制度の表の目的と裏の目的
機能性表示食品は2015年、当時安倍総理大臣の肝入りの施策として制度が開始されました。制度が始まってから約10年が経ち、今では「機能性表示食品」という言葉自体はだいぶ浸透してきましたが、その実態を把握している人は少ないかもしれません。
参考にしたのは、サプリメント大国であるアメリカのFDA(米国食品医薬品庁)の制度です。日本と違いアメリカは医療費が高額なため、なるべく医療機関のお世話にならないようにサプリメントで健康を維持することが当たり前のようになっています。
公式にリリースされている内容はこんな感じです。
なんだか、わかるようなわからないような言い回し・・。
国側の裏の目的は、「胡散臭い健康食品をこの世から駆逐し、絶対に健康被害を出さない」という目的です。(こんなことを厚労省や消費者庁に聞いたら、そんなことは言ってない!と全力で否定しますが)
それゆえに今回の小林製薬の紅麹問題は、制度の目的を達成するどころか死亡者まで出してしまった大問題な出来事なのです。
そうなると、今回の紅麹の問題は、届出受理をした国側にも責任があるのでは?と思うかもしれませんが、そこはうまい逃げ道が作られています。
「届出の受理は国がやるけれど、何か問題があったらそれは事業者の責任ね」ということです。【認可】ではなく、あくまで【届出受理】という立場です。
一方、特定保健用食品(トクホ)は、国がエビデンスの審査を行って認可しているもので、ここにトクホと機能性表示食品の違いがあります。
制度が始まる当初は「これはプチトクホだ!」なんて言われていましたが、国側(厚労省)は声を大にして断固否定していました。それは認可制のトクホと誤認されることを嫌ってのことでした。
制度を作った側は表立っては絶対に言いませんが、機能性表示食品制度は、主体はあくまで消費者と事業者であるけれど、エビデンスがしっかり表示されているものを選ぶような風潮にすることで、エビデンスが曖昧で怪しい健康食品が売れなくなり、そうなれば健康被害も起こらなくなるんじゃないかという思惑がある制度なのです。
売る側から見た機能性表示食品制度の思惑
売る側からすると、薬機法的に今までNGだったことが訴求できるということで、「広告」という観点で注目されるようになりました。
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