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キリスト教ゴリゴリ連載小説【ロゴス】

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2019年6月の記事一覧

ロゴス #19

ロゴス #19

19話『カナの婚礼』

婚礼に招かれたイエスは弟子とともにガリラヤのカナに来ていた。

当時のラビ(先生、師)と弟子の関係は、実の親子よりも強いと考えられていた。(親とラビが同時に溺れていたら、どっちを助けるか?と質問されたら、弟子はラビと答えた)それほど強い共同体なので、イエスの招かれた婚礼に弟子が同行するのは自然な事

イエスの母マリアもそこにいて、身内として宴会を切り盛りしていたのだが、予想

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ロゴス #18

ロゴス #18

18話『より大きな事』

エルサレムかヘブロン…もしくはベツレヘムだろ❓当時のユダヤの人々は、メシアはエルサレムか、ヘブロン。または生まれる場所と預言されているベツレヘムで姿を現すと思っている。ナザレは小さい町で、今まで一度も脚光を浴びたことなどなかった。

そんな事ばかり思っていたので、ナタナエルはイエスの方をすぐには見ようとはしなかったが、イエスはナタナエルを見て、すぐにこう言われた。

「う

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ロゴス #17

ロゴス #17

第17章『ヨハネからイエスへ』

ある時、ヨハネは二人の弟子と共にいた

一人は『アンデレ』もう一人は『ヨハネ』(このヨハネはバプテスマのヨハネとは別人物で、後に使徒ヨハネと呼ばれる人物。『ヨハネの福音書』を後世に残す)

イエスが前を歩いて行かれたので、バプテスマのヨハネは二人の弟子にこう告げた。

「見なさい。あの方が”神の小羊”(メシア)だ」

彼らのラビ(先生、師)であるヨハネがそう言うの

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ロゴス #16

ロゴス #16

第16話『あなたは何者』

「あなたは何者なんですか❓」イエスが山に籠っている間にヨハネに起こった出来事。

ユダヤ議会(サンヘドリン)から遣わされた祭司が、ヨハネに「何者ですか?」と尋ねてきた。

やっとか…とヨハネは思った。バプテスマを行なっている時に、いつも数人は様子を伺うようにウロウロしていたので、偵察しているんだろうことはわかっていた。しかし、なかなか接触してこないので、目障りだなとは感

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ロゴス #15

ロゴス #15

第15話『試みる者と試みない者』

「それをパンに変えて食べると良い。腹も満たされるし、何より…

あんたが”神の子”だということも一目瞭然じゃないか」サタンは寄り添うように語りかけてきた…空腹で欠けた部分から忍び込むように、目先の自分への利益…堕落へ手招きしている。

嘘と誘惑がサタン(訴えるもの)の武器それらを駆使し、堕落させ、信仰から遠ざけるのが目的であり、攻撃となる。
孤独、耐え難い飢餓、

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ロゴス #14

ロゴス #14

第14話『宣戦布告』

水から上がられたイエスは、ヨハネの衣服、立ち姿を今一度見て

「それはそうと…」

少し微笑んだ。

「あなたの姿はまるでエリヤだ」預言者エリヤ 旧約聖書『列王記』に名が見え、バアル崇拝への熱心な反対者、ヤハウェ信仰の守護者として描かれる。信仰的暗黒時代において、偶像礼拝を悔い改めるよう、アハブ王に直接迫った。ユダヤ人の信仰の鑑

旧約聖書 列王記 1章 8節「彼らが『毛衣

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ロゴス #13

ロゴス #13

第13話『イエスのバプテスマ』

来る日も来る日も、ヨハネはバプテスマ(洗礼)を人々に授け、また、人々の荒んだ信仰を叩き直していった。そんなある日の出来事

群がる民衆の中で、格段に目を引く、一つの光を、ヨハネは立ち所に感じ取った。その光は、罪深き民衆の列に紛れ、そして

列に並んだのだ駆け寄ろうとするヨハネに、手をかざし、

続けなさいと列の中で示したので、ヨハネは、混乱しながらも、続けた。

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ロゴス #12

ロゴス #12

第12話『私はキリストではない』

「聞け❗️❗️マムシの子孫ども❗️❗️❗️❗️」思いもよらぬヨハネの厳しい叱責で、群衆はビクッと背筋を伸ばした。

マムシとは悪魔の比喩とも取れる…つまり、神に選ばれし民であるイスラエルの民とは対極にある表現で、まさか自分達に向けられた言葉とは、到底思えない。

「必ず来る主の怒りを逃れる事ができると❗️❗️一体誰がお前たちに教えたのか❗️❗️」…群衆は唖然とし

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ロゴス #11

ロゴス #11

第11話『苛立つ人』

〜時は皇帝テベリオ(在位:紀元14年 - 37年)の治世15年

ユダヤ総督 - ポンテオ・ピラト

ガリラヤ国主 - ヘロデ

イツリアとテラコニテ地方の国主 - ピリポ

大祭司 - アンナスとカヤパ

の時代〜

一人の男がヨルダン川のほとりの荒野に立っていた。彼はラクダの毛で織った物を着て、皮の帯を締めていた。

彼はひどく苛立っているようだった…彼の名は

ヨハネ

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ロゴス #10

ロゴス #10

第10話『最初のロゴス』

幼子イエスは成長し、また力もつき、知恵に溢れた素晴らしい男の子に育っていった。

ただ平穏に流れゆく時間…時が経つにつれ、マリアの胸に刺さっていた針のようなものが、次第に抜け落ちていくようだった…御使いによる告知や、奇跡の数々、そのようなものが遠い過去の出来事のように感じ、目の前にいるイエスという少年を

自分の息子と感じるようになり、自分の息子として愛するようになって

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ロゴス #9

ロゴス #9

第9話『ヘロデからの逃亡』

三人の博士(占星術学者)たちはイエスの元へ訪れ、マリアとヨセフに、星の導きによって来たことを告げた。

そしてひれ伏して拝み、宝箱を差し出した。その中には

黄金 王としての身分の象徴

乳香 神性(神であるということ)

没薬 死後に体に塗る薬(死を象徴する)

の三つの贈り物があった。これは古くからの聖書的な伝統としての贈り物で、メシアに捧げられる物として考えられ

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ロゴス #8

ロゴス #8

第8話『偽の王がイエスを恐る』

「ユダヤの王として生まれた方はどこにおいでになりますか?私たちはその星を見たので、拝みに参りました」ユダヤの王ヘロデはその言葉を聞いて冷たい汗をかいた…

王を目の前にして゛王はどこか❓゛と尋ねるのだ。東の方から来た三人の博士(占星術学者)はメシア誕生を知らせる星を見たので、来たらしい。

旧約聖書 民数記 24章 17の預言「私は見つめる。しかし間近ではない。ヤ

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ロゴス #7

ロゴス #7

第7話『続く”しるし”』

ヨハネと同様に八日目の割礼の日に

イエスと名付けられた幼子は、生まれてから40日たったので、エルサレムへ全焼の生け贄を捧げるために上った。

旧約聖書 レビ記 12章 6〜8節「彼女の清めの期間(出産後40日は汚れるとされるため、行動が制限される期間)が満ちたなら、それが息子の場合であっても、その女は全焼の生け贄として一歳の子羊一頭と、罪のための生け贄として家鳩のひな

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ロゴス #6

ロゴス #6

第6話『メシアの証人』

ベツレヘムの町の外、羊飼いの野と呼ばれる場所で、羊飼いたちが順番に交代で、羊たちを見守りながら野宿をし、夜を明かしていた。

すると突然、空に明かりが灯った…それは陽の光とはまるで違う、栄光に満ちた光だったので、ただならぬ事が起こっていることをすぐさま理解した一人の羊飼いは、寝ている仲間を叩き起した。

「おい❗️❗️起きろ❗️❗️…どうなってんだ、こりゃあ…」眠っていた

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