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ロゴス #6
第6話『メシアの証人』
ベツレヘムの町の外、羊飼いの野と呼ばれる場所で、羊飼いたちが順番に交代で、羊たちを見守りながら野宿をし、夜を明かしていた。
すると突然、空に明かりが灯った…
それは陽の光とはまるで違う、栄光に満ちた光だったので、ただならぬ事が起こっていることをすぐさま理解した一人の羊飼いは、寝ている仲間を叩き起した。
「おい❗️❗️起きろ❗️❗️…どうなってんだ、こりゃあ…」
眠っていた他の羊飼いたちも皆目を覚まし、光の原因を探ろうとするが理解できずにいた。その時だった。
「恐れることはありません。今、私はこの民全体のための素晴らしい喜びを知らせに来たのです」
その栄光の光の中に、一人の御使い(天使)の姿が見えた。
「今、ダビデの町(ベツレヘム)で、救い主がお生まれになりました。この方こそ
主、キリストです
あなた方は、布に包まって、飼い葉桶に寝ておられる
みどりご(赤ん坊)
を見つけます。この方がキリストです。」
そのお告げを聞き終わった後、羊飼いたちは、空が一段と賑やかになっていることに気がついた。そして…
「…これは…歌か❓…」
空を埋め尽くす、御使い達の軍勢は”キリスト”の誕生を祝っているようだった。聞こえてくる声はまるで喜びに溢れる歌のように…この瞬間を祝い…神を賛美した。
「いと高き所に栄光が神にあるように…
地の上に平和が御心にかなう人々にあるように…」
それはソロモン王(旧約聖書『列王記』に登場する古代イスラエル第3代の王【在位紀元前971年 - 紀元前931年頃】)の第一神殿から”主”が去られて、500年ぶりとなる”シャカイナグローリー”であった。
御使い達が天に帰るまで、羊飼い達はその光景に釘付けとなった。
シャカイナグローリーとは神の臨在が人間に知覚できる現象となって現れたもの。その具体的な現れとしては、光、火、煙、雲、雷、雹、角笛の音などがある。語源としては、「シャカイナ」はヘブル語で「シャカン(隣人の間に住む)」という動詞の名詞形。「グローリー」は英語で「栄光」という意味。この2つの言葉を組み合わせて、「神の臨在に伴う栄光」という意味となる。聖書に出てくるシャカイナグローリーの例としては、エジプトを脱出したイスラエルの民を荒野で導いた「雲の柱と火の柱」(出エジプト13:21〜22)や、モーセがシナイ山で神から律法を授かる時に現れた「雷といなずまと密雲、角笛の音、火、煙」(出エジプト19:16〜20)などがある。
御使い達が歌声が遠のくと、いつもの静寂と暗闇も帰って来て彼らを包んだ。しかし、彼らの心には未だ消えぬ栄光が輝いている。
「…おい、行こうぜ❗️ベツレヘムへ❗️❗️確かめたいって気持ちもあるけどよう…これって俺たちの使命なんじゃねーか❓
”主のしるし”の証人となるんだよ❗️❗️
そして伝えるんだ❗️このお方が”キリスト”我らの王だってよ❗️❗️」
飼い葉桶のある洞窟はたくさんあったが
飼い葉桶に眠っている赤ん坊
なんて普通はいない。彼らのよく知る洞窟を、しらみつぶしに調べていくことは、さほど難しいことではなかった。
「❗️❗️おお…主よ」
マリヤとヨセフ、そして飼い葉桶に眠る赤ん坊を見つけた羊飼いたちは跪いた。マリアが言った。
「すみません、寝る所がなかったものですから…」
「とんでもございません、”我らの王”を迎える場所が、こんな汚れた所で申し訳ない」
羊飼い達は興奮しながら、早口で先ほどの出来事を説明した。栄光の光、御使いのお告げ、賛美…
その内容に、ヨセフとマリアは大いに驚いた。
「なんということ…」
マリアはこれらのこと全てを心に収めて、思いを巡らせた。ヨセフへの告知、マリアへの告知、羊飼い達への告知、聖書の預言…
思えば思うほどに、身は引き締まり、また不安にもなった…
重い…自分に与えられた使命はあまりにも
そんなマリアの苦悩を知る由もない羊飼い達は、歌い、神を崇め、賛美しながら帰って行った…
「すげぇな…本当にいたぜ、キリスト様がよ」
「聞いたこと、全部本当だった…どうなるんだろうな?これからよ」
「…さあな、見当もつかねーや、俺たちは明日生きるのが精一杯だよ」
旧約の時代が終わり
”キリスト”の時代へ
世界はまだ、この出来事を知らない…
…7話へ続く