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ロゴス #16

第16話『あなたは何者』

「あなたは何者なんですか❓」

イエスが山に籠っている間にヨハネに起こった出来事。

ユダヤ議会(サンヘドリン)から遣わされた祭司が、ヨハネに「何者ですか?」と尋ねてきた。

やっとか…

とヨハネは思った。バプテスマを行なっている時に、いつも数人は様子を伺うようにウロウロしていたので、偵察しているんだろうことはわかっていた。しかし、なかなか接触してこないので、目障りだなとは感じていて、むしろホッとした。審問の段階である。

当時はメシア誕生が噂されていたこともあり、サンヘドリンは宗教的活動、特にメシア運動について敏感に取り締まっていた。取締りの段階は三段階有り、観察→審問→結論と進んでいく

ヨハネは堂々とした態度で答えた。

「私はメシアではない」

その答えを受け、続けて質問をしてきた。

「では一体何ですか❓あなたはエリヤですか❓」

旧約聖書 マラキ書 4章 5節 「見よ。わたしは『主』の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす」

「エリヤでもない」

「❓❓エリヤでもないと…では何ですか一体…それではあの預言者ですか❓」

旧約聖書 申命記 18章 15節 「あなたの神『主』はあなたのうちから、あなたの同胞の中から、私のような一人の預言者をあなたのために起こされる。彼に聞き従わなければならない」

「違います」

「は❓❓なら一体何なんですか❓…

…まあ気づいているでしょうが、私たちはあなたが「何者なのか調べろ」と遣わされているんですよ。これじゃあ報告のしようがないんだが❓」

「…私は、ただの”荒野で叫んでいる者の声”」

「は❓❓❓❓❓❓」

「預言者イザヤが言った『主の道をまっすぐにせよ』と荒野で叫んでいる者の”声”です」

旧約聖書 イザヤ書 40章 3節 「荒野に呼ばわる者の声がする。『主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のために、大路を平らにせよ』」

「❓❓何だそれは❓メシアでもなく、エリヤでもなく、あの預言者でもない…ただの”声”だと❓❓

そんなものが、偉そうにバプテスマを行なって大騒ぎしているのか❓❓」

「私は水でバプテスマを授けている…が、それは大したことじゃない

あなた方のまだ知らないお方がおられる

そのお方は私の後に現れる

そのお方と比べれば、私なんて奴隷以下だ」

その時だった。尋ねる者たちが、ヨハネの言葉を飲み込めずに悩んでいると、一人の男がこちらに近づいて来るのが見えた。痩せていて、服も汚れているようだった。

「見よ❗️世の罪を取り除く神の小羊」

ヨハネは叫んで続けた。その視線の先にはイエスがいた。40日間の断食からの帰還である。

「私が『私の後に現れる方』と言ったのは、このお方のことです」

尋ねる者たちは訳がわからなかった。ヨハネを調べに来たのに、この痩せた男は一体誰なのか?

「私も確信したのは最近です

しかしハッキリとわかった

このお方がイスラエルで明らかにされるために私は来た

そのために水でバプテスマを授けなければならないのだ…と」

サンヘドリンからの使者たちは、何と言って報告をして良いものやら、頭を抱えながら帰って行った…

…17話へ続く