シズ

千葉県佐倉市在住。大動脈解離から命からがら生還して7年余の65歳。自覚の足りない初老。…

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千葉県佐倉市在住。大動脈解離から命からがら生還して7年余の65歳。自覚の足りない初老。日々雑感、ボケ防止の書き散らかしです。

最近の記事

本棚の中身・ちくまプリマー新書

「ことばが変われば社会が変わる」(中村桃子著)を読む。ことばはほんとうに面倒くさい道具で、いったん知恵の輪みたいに絡まると解きほぐすのが大変だ。ただこのパズルのような道具が一度ピタッとはまったときの快感といったらない。人を生かすも殺すもことば次第。ということで巷にあふれる「○○ハラ」問題に始まってあなたの相方は「ご主人」「嫁」?それとも、といった問題までを考察する。 ところでこの本は「ちくまプリマー新書」というシリーズの一冊だ。HPによれば「学生の”学び”に役立つテキストや

    • ホキ美術館・写実の虚と実。

      4年ぶりにホキ美術館へ。佐倉の自宅をクルマでまっすぐに南下して約1時間、いわゆるニュータウンの一角にある写実絵画専門のミュージアム。ギャラリーの半分が宙に浮いた構造で、建物の背後にまわると四角い筒の中から今にも何かが発射されそうだ。中は連続した回廊式で、じっくり、ゆったりと作品に向き合えるように照明や採光に工夫がなされている。 日本人作家を中心にどの作品も最高峰のものが集められているので、一点一点に「よくもここまで」と嘆息を禁じ得ない。しかし後に続くのは「写真のように」では

      • 授業をさぼって陽のあたる場所にいたんだよ。

        期末試験が終わって夏休みを待つのみになった今頃のような気がする。高校生になって初めての夏休みだ。気がするだけでまったく違うかも知れない。なにしろ半世紀近く前のことなので、そういう前提にする。 昼休み、突然Tその1が5時限目の数学さぼっちゃおうかと言い出した。近くにいたTその2が提案に賛同する。部活動も出身中学も違うTその1とTその2とは、夏休みに3人で奥多摩の御岳山ハイキングに行こうと予定を立てていたから、何かと一緒に行動することが多かったような気がする。8月に入ると1年生

        • 口福の杜

          大学時代からの友人(女性)のたっての希望で鹿島神宮へ行く。学生時代の友人はほぼ妻の友人であるわけで、うら若き頃から今までの変遷をよく知っているので会話も口さがない。この数年、私生活でも波瀾万丈だった彼女によると、何でも今年の鹿島神宮は伊勢神宮より強いパワーがあるのだとか。そのあたりの謂れがどこから来ているのかわからないが、神社の杜を歩くことの清々しさはよーく知っているので、梅雨の間隙をぬって車を出す。 鹿島神宮は昨年の秋に訪れて以来。大鳥居をくぐってすぐのところにある楼門は

        本棚の中身・ちくまプリマー新書

          鈴木英人と’80s

          最高気温が38℃とか、梅雨寒という言葉はもう死後として古語辞典にしてしまってもいいんじゃないかと思う。この季節の歩数稼ぎにショッピングモールやデパートなどをうろつくのはなかなか有効なのだが、アレが欲しいコレもいいなと目移りするのは困りものなので、いらぬ声をかけられない程度にうつむき加減で歩く。 千葉のそごうで「鈴木英人展」というのをやっていた。展示販売をかねているので入場は無料。なつかしいタッチにふらふらっと入る。鈴木英人(えいじんと読む)は、今も現役で活躍しているイラスト

          鈴木英人と’80s

          宗教とか。

          すでに他界している両親は、キリスト教徒(プロテスタント)だった。というと今では宗教2世の話ですか?などと早合点されるかも知れないが、残念ながらそうではない。昔も今も我が身と心はゆるぎなく下世話な世間の中にいる。 両親が所属していたのは、おそらく多くの人の身の回りに1人2人はいるだろう日本でもっともポピュラーな教団だ。表向きは個人的な布教活動などをしてはならないということになっていてラジカルな色彩はまったくない。 そもそも双方とも実家は曹洞宗で、家にはコンパクトながら仏壇も

          宗教とか。

          井上ひさしを売る。

          第一次蔵書整理がほぼ終わった。500冊位は減ったと思う。しばらくは増やさぬよう減らさぬようキャパシティを考えながら適切な管理を心がける(つもり)。本を一気に処分するときは、1冊1冊吟味していては埒があかないので、たとえば作家まるごとドーンとおさらばしてしまう。今回も数名の作家がその対象となった。多くは勤めていたころ、とにかく軽く読めればいいと買い求めていた小説家のたぐいで、今後改めて読みたくなることもないだろうと思う方々。仕事をやめてみると、それらがあまりに退屈すぎていかに自

          井上ひさしを売る。

          佐倉ラベンダーランド

          高温多湿の千葉県に適応できるよう、富良野のファームの方の助言を得て土壌を改良。ザ・千葉な風景の一角に広がるラベンダー畑が見頃だというので見に行く。都市計画の見本としてたびたび話題になるユーカリが丘の住宅街を抜けると景色も一変。対向車と出会ったら面倒な狭く蛇行した道を行く。歴史を感じさせる農家が点在するこのあたりは先崎という地名で、字面からこの辺まで印旛沼が広がっていたことを想像させる。それにしてもこの先崎、何と読むかと言うと「まっさき」なのだ。音の由来はなんなのだろう、ほんと

          佐倉ラベンダーランド

          小学校時代のおぞましい光景。

          今でも脳裏に焼き付いて離れないおぞましい光景がある。その後半世紀以上にわたる時間の中で、自分に降りかかったありとあらゆる厄災を差し置いて、あの光景は特別だ。あの時自分はまったくの傍観者だった。 小学一年生のある日、1時間目の授業が始まる前だったと思う。クラスでも目立って勉強のできなかったT君が教室の前に連れ出された。担任のUという女の先生がものすごい形相で泣き叫ぶT君を文字通り首根っこを捕まえて廊下に追い出した。一体何が起きたのかわからない。ものの数分だったとは思うが、直視

          小学校時代のおぞましい光景。

          ニッポンの夏、かき氷の夏。

          白地に赤く、一言「氷」の文字。意匠のバリエーションはあるもののほぼ完成された夏のイメージ。うだるような太陽の下、この文字を見つけた時の砂漠にオアシスの心強さといったら。それに比べて近頃は、焼酎飲んで結局は自分に酔っているだけだったりピクトグラムがいつの間にか難解さを競っていたり、アドもパブも一体誰に向けているんだろうな感じで訴求というものに「キッパリ感」がない。 あまりにも有名なこのフラッグは氷旗と呼ばれ、明治のはじめ粗悪な氷の取り締まりのために許認可制となった時、掲示を義

          ニッポンの夏、かき氷の夏。

          頼山陽と中島らも

          頼山陽の掛け軸である。妻の祖父が上野のぼろ市で入手したというが定かではない。当の本人はすでに他界しているので確かめようもないのだが、義父は遺品故に処分こそしていないものの本物とは露ほども思ってはいない。それもそのはず、頼山陽の掛け軸というのはひところかなりもてはやされた事がありそれ故に贋作が殊の外多いといわれている。依頼(誰もしていない)品を見たこともないのでその状態や筆遣い、何が書かれているかは全く知らないのだが、義父の判断は至極まっとうと言えるだろう。見たところで真偽を見

          頼山陽と中島らも

          2009年5月の多摩蘭坂とゼミの先生。

          たくさんのメッセージや花束、のど飴などが手向けられた国立市の多摩蘭坂。この写真を送ってくれたのは隣の国分寺市に住んでいた大学時代のゼミの先生。ニュースを聞いて散歩がてら撮ってきたからと、突然送ってきてくださった。ちょっとピンボケな気配もあるが、何だか無性にありがたく今も小さなフォトスタンドに入れて飾ってある。在学中、特にキヨシローのファンであるような事を表明したことはないと思うのだが、数多いる卒業生の中で一体何人に送ったのだろう。拓郎だサザンだと言っているその口の端にRCな匂

          2009年5月の多摩蘭坂とゼミの先生。

          佐倉七福神めぐり

          生まれてこの方「巡礼」というものとは縁がない。きっとこれからも縁がないと思っていたが、妻の御朱印集めにつきあって地元の七福神めぐりをすることになった。商工会議所のHPでは「佐倉は、歴史ロマン漂う史跡の多い町です。(中略)ゆっくりとウォーキングを兼ねて七福神めぐりにでかけませんか」とある。数ある巡礼の中でも最も気軽に行えるのが七福神めぐりのいいところ。商工会議所も「佐倉は坂の街です。脚力に自信のない方は、最初の寺社付近まは路線バスの利用を強くおすすめ致します」といたってやさしい

          佐倉七福神めぐり

          佐倉市立美術館「エドワード・ゴーリーを巡る旅」

          終始不穏な空気を漂わせる「エドワード・ゴーリーを巡る旅」に乗船。果たして無事戻ることができるか、観る者の想像力が試される展覧会。なんてことはなくてその不思議な世界観を妄想たくましく楽しめばいい。その「ひねくれ方」から大人向けの絵本作家と思われているゴーリーだが「うろんな客」という作品について、彼はこう言っている。「私の考えでは子ども向けの本なんですよ。出版社を説得しようとして”なぜ児童書にしないんですか”とよく言ったものです。彼らは危ない橋は渡りたくなかった」ゴーリーは常に子

          佐倉市立美術館「エドワード・ゴーリーを巡る旅」

          アジアンフラッシュ!

          酒を飲んで顔が赤くなる人は「アジアンフラッシュ体質」といって新型コロナにかかりにくいようだという報告が佐賀大学の研究チームから発表された。何でもこの体質の人は顔色ひとつ変えないでぐびぐびいく人の3分の1の感染率だったという。無知なワタクシはこの指先からビームでも出したくなる、もしくはカンフーの必殺技のような名前を初めて知ったのだが(東アジアに多い体質で、およそ半数の人が該当するらしい)、そういえば今のところこの新手のウイルスにはまだ感染していない。昨年高熱を出して運ばれたとき

          アジアンフラッシュ!

          鍋島焼でひと休み。

          展示の一部入れ替えがあるので、ぜひもう一度観てみたいとの妻のリクエストにより渋谷の松濤美術館で開催中の「エミール・ガレ展」を再訪。平日にもかかわらず館内は前回に比べずいぶんと人が多い。 小一時間で観覧し終え、曇りがちで穏やかな日よりなのを幸いに渋谷の街までのんびり歩いて行く。谷へ降りる手前に戸栗美術館というミュージアムがあるのでそのラウンジで気分転換がてらのひと休みをしようという目論見。伊万里焼や鍋島焼などを中心とした陶磁器専門の美術館だ。旧鍋島藩の屋敷跡に建てられていて「

          鍋島焼でひと休み。