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ホキ美術館・写実の虚と実。
4年ぶりにホキ美術館へ。佐倉の自宅をクルマでまっすぐに南下して約1時間、いわゆるニュータウンの一角にある写実絵画専門のミュージアム。ギャラリーの半分が宙に浮いた構造で、建物の背後にまわると四角い筒の中から今にも何かが発射されそうだ。中は連続した回廊式で、じっくり、ゆったりと作品に向き合えるように照明や採光に工夫がなされている。
日本人作家を中心にどの作品も最高峰のものが集められているので、一点一点に「よくもここまで」と嘆息を禁じ得ない。しかし後に続くのは「写真のように」では決してない。そこには写真にはないふくよかさ、あるいはふくらみがある。たとえばじっとこちらを見つめる1人の少女がいる。その射抜くような目に一瞬たじろいだとしても写真ならこれは切り取られた過去だと納得させることで作品として冷静に鑑賞できるが、いくつかの写実絵画はそうはいかない。今にも息づかいが聞えてきそうな、あるいは瞬きをしそうな現実感をもって迫ってくるそれは、こちらの邪悪を見透かすようだ。
絵に隠された「たくらみ」を想像するのも楽しい。一見ありのままの装いをまとった写実絵画ならその「たくらみ」はなおのこと巧妙だったりする。どんな的外れな想像だろうが、絵は世に出たが最後何も言わない。こうやって絵画を見ていると、ああでもないこうでもないといつもブツブツ言っている自分のコトバ依存症ぶりが時々痛い。
ホキ美術館では今「作家の視線・過去と現在、そして・・・」という企画展示をやっている。長い年月の中で作家の意識がどう変わり、あるいは変わらなかったのかを作品を通して感じてください、という企画。写実絵画の世界では第一人者の作家たちでも、門外漢はその誰一人として知ってはいない。すでにいやというほど刷り込まれたような大作家の変遷ではないので、思いっきり曲解も許される。題材、色彩、視線、様々な角度から勝手な妄想を逞しくできるのがいい。
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