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【廃線跡をめぐる】石川県能登半島の鉄道遺構②

 石川県能登半島をかつて走っていた「のと鉄道能登線」廃線跡の紹介です。

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 (画像:『北陸の私鉄』https://www.hokuriku-rail.com/Noto/Rosen/Rosen.html)

②九十九湾小木駅&"イカの駅"


 能登線の真ん中あたりの「九十九湾小木(つくもわんおぎ)駅」。九十九湾という小さな入り江に沿うように集落があり、そこに建てられた駅です。

 1面2線の比較的大きな駅だったようで、駅舎も立派です。

 現在駅舎は町の集会所となっています。この日は周囲の草刈りをしている方がいました。

 ホームもしくは線路があったと思われる場所ですが、草木に覆われてほぼ何も見えません。

 線路側から駅舎を見た図。

 時計は止まったまま…。

 近くの路地には、盛土と橋脚らしきものが残っていました。

 のと鉄道の旧駅はほぼすべてが路線バスの停留所になっています。バスになっても「◯◯駅」という名称を使っているのが面白いです。

 鉄道の駅はなくなった小木地区ですが、現在は「イカの駅」があります(笑)旧小木駅のすぐ近くの、『イカの駅つくモール』という施設です。
 ここ小木港は古くからイカ漁がさかんで、釣れたてのイカを船の上で冷凍し、鮮度を保って出荷する「船内一尾凍結イカ(通称「船凍イカ」)」が有名。『イカの駅つくモール』では、さまざまなイカ製品を買ったり、イカ漁の歴史を学んだりすることができます。

 施設の真横には巨大なイカのモニュメントが。このモニュメント、なんとコロナ対策のための地方創生臨時交付金2,500万円が設置費用に充てられました(笑)あまりの使い道のシュールさに、なんとイギリスのBBC放送にまで取り上げられてしまいました。


 「税金の無駄遣いだ」との批判が多いようですが、現地を訪れるとそれらは全くの見当違いだとわかります。平日昼間にもかかわらず、ひっきりなしに人が来て巨大イカにスマホを向けていました。広々とした駐車場はほぼ満車。私が訪問した日は夏休み期間だったとはいえ、こんな奥能登にこれだけの人が来るとは、間違いなく巨大イカの宣伝効果は絶大だったといえるでしょう。
 さらにいえば、小木地区のイカ漁は北朝鮮や中国の漁船の違法操業が年々増え、水揚量の減少に悩まされています。巨大イカは、能登半島=イカというイメージを広め、こうした問題に対する世間の関心を高める役割も期待できると思います。

 イカフリッター(400円)。揚げたてでおいしかったです。

《MAP》

③宇出津駅

 話が廃線跡から逸れてしまったのでもう1駅紹介します。能登町の中心市街にあった宇出津(うしつ)駅です。

(画像: のとルネ  https://noto-renaissance.net/concertnoto/)

 現在は『コンセールのと』という地域交流センターになっていますが、わずかに鉄道があった痕跡があります。

 建物の裏側には、駅名標と線路の跡らしき舗装された道が。

 腕木式信号機も残されています。

 線路の跡をたどって東に進むとトンネルがあります(第2宇出津トンネル)。能登線は、事故が起きた際に場所の特定がしやすいよう、トンネルに「いろは」順でひらがなを振っていました。このトンネルは「よ」だったようです。

 『コンセールのと』館内には、当時の姿が写った写真なども展示されていました。

《MAP》

 次回は珠洲・輪島エリアの廃線跡を紹介します。

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