【乗車記】E353系「スーパーあずさ」一番列車のグリーン車に乗車

　2017年12月、中央線特急の新型車両E353系がデビューしました。上りの一番列車となった「スーパーあずさ４号」のグリーン車が運良く取れたので、早朝から乗車してきました。

■待ちに待った新型車両

　特急あずさ号は、長野県中信地区と首都圏を結ぶ代表的な列車。私は生まれが長野県であり、学生時代は東京に暮らしていたため、家族旅行や受験、帰省などで何度もこのあずさ号に乗りました。実はE353系の前のE257系のデビューのときも、松本駅で行われていた車両展示会へ祖父に連れられて行ったのを覚えています。いつもはあまり「一番列車」には興味がないのですが、この愛着のあるあずさ号の新型車には何としても一番に乗り、思い出に浸りたいなと思っていました。

　今では中央線のすべての定期特急列車に使用され、珍しい存在ではなくなったE353系も、当時は待ちに待った新型車両でした。というのも、実は2014年頃から先行車が試運転する様子が見られていたため、毎年ダイヤ改正のたびに「ついにデビューか？」とささやかれていました。　　
　しかし、試運転の結果が良好でなかったのか、なかなかデビューの発表がないまま３年ほどが経過。その間に、北信では北陸新幹線が金沢開業、南信では飯田市にリニアの駅が計画と明るいニュースが続き、中信地区は取り残されているような感覚に陥ったものでした。それだけに、E257系から16年ぶりとなるこの新型車両のデビューはまさに待望の瞬間だったのです。

■早朝から大勢の人に見送られ、出発

　12月23日。仕事で他県に住んでいた私は前日の夜に実家へ帰省。当日は朝早くにもかかわらず、大勢の人が松本駅へ詰めかけていました。

　駅構内にもポスターが随所に。松本城や富士山も写ったオシャレなデザインで、期待を募らせます。

　運行開始を記念した入場券も販売されていました。極寒の早朝の松本駅にも長蛇の列が。

　NewDaysでもE353系グッズが販売されていました。

　地域住民だけでなく、従業員のみなさんも運行開始を待ち望んでいたことがうかがえました。

　ホームでは記念式典が行われていました。朝から和太鼓の演奏が盛り上げます。

　長野県のご当地マスコット「アルクマ」も駆けつけていました（笑）

　車内へ入り、まずは普通車から見学。座席もディスプレイも新幹線のようなクオリティです。

　グリーン車。JR東日本のグリーン車は４列シートで安っぽい…との定評があり、これまであまり乗ったことがなかったのですが、乗ってみるとやはり普通車より贅沢な感じはありました（笑）

　外装。近代的でメタリックなデザインがとにかくかっこいいです。それでいて、E351系のような「あずさ」らしさも絶妙に残している完成度の高さ。テンション上がりっぱなしでした。

　出発。お隣は小淵沢からの乗車だったので、はじめは少しのびのびできました（笑）もちろん指定席はすべて発売済との放送。

　冬晴れの日で、八ヶ岳もよく見えました。最高の車窓。

　甲府に到着。いつもあずさに乗ると、甲府駅手前に見える「駿台甲府高校」と「甲府工業高校」の校舎の差が気になってしまいます（笑）

　八王子に到着。発車標には「新型」の文字が出ていました（笑）
子供のころは乗るたび、甲府まではそこそこ飛ばしてたのに、甲府～八王子はめちゃくちゃゆっくりやん！と心の中で思っていました（電波も入りづらいし…）。そんなことも思い出しながら旅は終盤。

　新幹線そっくりの立派なディスプレイ。「スーパーあずさ」という列車名は2019年のダイヤ改正で廃止されてしまったため、地味に貴重な光景かもしれません（このときは自由席もありました）。

　終点の新宿に到着。ロゴもめちゃくちゃカッコイイです。懐かしさと期待をどちらも感じられた良い旅でした。

■とはいえ、E353系ばかりの今はちょっと寂しい
　E353系がデビューする直前までは、中央線にはいろいろな特急型車両が走っていました。お盆や年末年始には臨時あずさに189系（あずさ色・あさま色）が走ることもあったし、土日には185系「はまかいじ」や189系「ホリデー快速富士山」が運行していました。普通に中央線の電車を待っていたら見慣れない古くさい車両が通過、ということもしょっちゅう。それが今では、臨時あずさはE257系が時々使われるだけになり、富士急行方面の臨時列車は「富士回遊」としてE353系に統一。違う車両に乗ると、乗ったことのある路線にも違った風情が感じられるもので、正直寂しいなと感じますが、なかなか効率面を考えると難しいのかもしれません…。
　E353系も、過去に中央線を走った車両と同様惜しまれつつ引退を迎えるような、沿線に親しまれる列車として走り続けてほしいです。