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【Tsugumi×deko 鳥の刺繍Collection Op.4】「イヌワシの刺繍バッグ」

今わたしは、ひとりよがりな満足感にひたりきっている。
そう、念願かなって憧れのイヌワシの刺繍を完成させたのだ。
鶫さんの鳥の絵に出会ってから、心ひそかに願い続けてきた――
もう、満願成就したような気分です。
作品の完成度には疑問符が両手いっぱいくらいつくけれども。
鶫さんの原画と並べるとため息がでる点ばかりだけれども。
形になったうれしさに今ぐらいは、ひたってもいいよね、なんて。

魅力的な鳥の絵を物語や俳句とともに描かれている鶫さん
その鶫さんの原画をわたくしdekoが刺繍にする
【Tsugumi×deko 鳥の刺繍Collection】の4作めができあがりました!

鶫さんの鳥の絵はどれも迫力があって精緻なところは、もちろんですが。
一番の魅力は物語性があるところではないかと、私は思っています。
なかでもイヌワシを筆頭とする猛禽類は、どれひとつ同じ表情がなく、
さまざまなことを語りかけてくれます。
鋭いまなざし、愁いをおびた瞳。
強い意思がやどる魂の光。美しくなびく羽毛。
毅然として雄々しく、哀しみも誇りも、
すべてを覚悟のうちにおき挑み続ける孤高の精神。

いつか刺繍で表現できたら――。
そんな不遜な願いを持ち続けてきました。
(身のほど知らずもいいところ)

3作めで小型猛禽類のチョウゲンボウに挑戦して、
ほんのちょっぴり自信(いえ、自己満足でしょうか)をつけ、
いい気になった私は、なんと厚顔無恥な提案を鶫さんに。

「次作は鶫さんにプレゼントしたいんです」
「それもできたら、イヌワシで」
(いやはや、恥知らずもここまでくると)

鶫さんからは3枚の原画のご提案がありました。
2枚はもちろんイヌワシ。全身像と胸像でした。
もう1枚は「イヌワシ以外だったらこれかなぁ」と、カラスを。
漆黒の鴉もぞくぞくするほどカッコよかったのですが、
わたしの頭のなかは、すでに「イヌワシ」一色だったのと。
黒のバリエーションをつけるのがハイレベルであることは、
以前に黒毛のラブラドールを刺繍してわかっていました。

バッグに配置したときのサイズ感も考え
(全身像だと小さくなってしまうので)
選ばせていただいたのは、イヌワシの胸像のほう。


その鶫さんの原画がこちらです。

『旅立ちの朝』イヌワシ Golden Eagle

原画は、こちらからもご覧いただけます。

あらためて拝見すると、その凛々しさと気品にたじろぎます。
わたしの拙い刺繍では、表現できなかった透明感。
次の課題ですね。

刺繍にしあげると、こんなふうになりました。
羽毛はGolden Eagleのゴールデンを意識して、
できるだけ金色に輝いてみえるように……したつもりです。
鶫さんの原画を並べると、その違いに茫然としてしまいます。
原画を写して下絵にさせていただいたはずなのに、
どうして太くもっさりと見えるのでしょうね。
うーん、原因は首のラインでしょうか。

相変わらず写真がへたっぴ。

バッグに仕立てたのが、こちらです。
鶫さんのご要望でA4ファイルが収まるよう、
いつもより少し縦長の仕様です。

<刺繍バッグ仕様>
サイズ:35(縦)×28(横)㎝
素 材:表地・裏地とも‥‥リネン100%
    持ち手‥‥本革
仕 様:内ポケット付き(14×18㎝)

以前に、鶫さんが鳥の絵を描く過程を公開記事にされていました。
下描きも何もなしで、頭部から胴体へと描きすすめられ、まるで「姿現し」の魔法をみているようでした。

わたしの刺繍は鶫さんの絵とは逆で。胴体の一番下の羽から刺しています。そうしないと、下の羽に上の羽が重なる表現ができないからです。
(顔、なかでも瞳を刺繍するのが苦手……というのも多分にありますが)

そうでした!
もっとも苦労したのが「瞳」です。瞳の影には、かなり四苦八苦しました。
当然のことながら、影の奥に瞳が透けてみえなければなりません。
瞳の球形も維持しながら、斜めの影をつけるにはどうすればいいのか。
糸の性質を考えると、ベースになる瞳の形を優先せざるをえません。
絵のように先に瞳を描いて、その上から薄く影をさっと刷く――
ということが刺繍ではできません。なぜなら、糸の太さは同じだから。
瞳を刺繍した上に、斜めに影を刺すと下の瞳がつぶれてしまうんです。

困り果てていたわたしに、鶫さんがすばらしいヒントをくださいました。
「まぶたの上にグレーを足すと、瞳の影が深まりますよ」

まぶたの下ばかりをなんとかしようとしていたので、
その発想の逆転に、目からまさに鱗が落ちるようでした。
まぶたの上にグレーを足すと、ほんとうに影が深まったのですから。
これが絵描きさんの視点なのだと感動を覚えました。

さて、次は何を刺繍しましょうか。
このバッグは鶫さんのもとに旅立つので、
自分用にイヌワシも欲しいし、
ハヤブサも刺繍してみたいな、とか。
また妄想ばかりがむくむくと果てもなくふくらんでいます。


1作めです。

2作めは、ツグミ。

3作めのチョウゲンボウ。


まだ、やっと4作。
この調子では、個展なんて、夢のまた夢ですね。

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