心のあり方よりも、「器用」を極めよ
13歳から真剣勝負を初め、20代の終わりまでに60数回の勝負をしたという宮本武蔵は、兵法の道を極めて勝ったというわけではなく、生まれつきこの道に器用だったからだと『五輪書』で述べている。その「器用」について、小林秀雄は思索を重ねる。
「器用」とは、われわれが普段つかう器用、不器用という言葉であり、細かい仕事に対する巧みさや、ときに抜け目のなさも語感に含まれる。小林秀雄は「小手先の事」という言い方をする。
『五輪書』では、小林秀雄が引いた「兵法至極にして勝つにはあらず、おの