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『発達障害サバイバルガイド』感想…イチ押ししたい3つの理由

「片づけが苦手」「お金の管理が難しい」「眠れないし休めない」……誰もが当たり前にやっていることが、なぜか自分だけできないと悩んでいるあなたへ。

『発達障害サバイバルガイド』(借金玉:著)を、ぜひ手にとってみて欲しいです。著者名だけ見たら、思わず身を引いてしまうかもしれませんが、内容はすごくマジメです。発達障害のある方やグレーゾーンにいる方にはもちろん、仕事や生活がうまくいっていない方にも参考になると思います。

「この困りごとは、こんな風に切り抜けることができるのだな……」と、生き延びるヒントが目白押し。人生をラクに過ごすためのライフハックが、ギュッとつまっています。

著者:借金玉さんについて

まずは本書の著者である、借金玉さんについてご紹介。

借金玉さんは、1985年に北海道で生まれました。自称「日本一意識の低い自己啓発本作家」

本書のプロフィールを見ると、借金玉さん自体がまさにサバイバルしてきた人だとわかります。以下、簡単な経歴です。

●小・中学校は不登校。
●高校は落第寸前で卒業。
●早稲田大学在学中、ADHDと診断される。
●大手金融機関に就職するも、仕事がうまくできず、2年で退職。
●飲食業界で起業して、一時は経営を拡大するものの、事業破綻。2000万円の借金を抱える。
●「うつの底」からはい出して、非正規雇用の不動産営業マンとして働きはじめる(2020年現在は、営業職とライター・作家業を兼務)。

「借金玉」というペンネームは、事業破綻時に多額の借金を抱えてしまったことから。

本書の「はじめに」の部分に、これらの経緯がありありと描かれています。本来なら重く深刻になりがちな話を、読者をグイっと引き込むように語られているのは、さすが。

私自身もASDがあり、転職を繰り返し、どん底から立ち直ってきた人間なので、自分のことのように感じられました。

8つのテーマと47種類のライフハック

本書では8つのテーマで、47種類のライフハックが紹介されています。

自分を変えるのでなく、やり方・道具・環境を変えることにより、生きやすくなるのをめざすライフハックです。

●CHAPTER1 生活環境――サバイバルに絶対必須の設備ハック
●CHAPTER2 お金――貧困と借金から学んだマネーハック
●CHAPTER3 習慣――くりかえしが苦手な僕らの365日ハック
●CHAPTER4 在宅ワーク――だらだらに勝つ自宅作業ハック
●CHAPTER5 服――おしゃれとか以前の身だしなみハック
●CHAPTER6 食事――ずぼら完全対応版自炊ハック
●CHAPTER7 休息――生き延びるための休日ハック
●CHAPTER8 うつ――不安とともに生きる再起ハック

以上が8つのテーマ。生活のあらゆる分野を網羅していますね。本書は文字通りハック本ですが、まるでエッセイのように面白かったです。これらの分野において悩んでいる友人が身近にいたら、ぜひ本書をおすすめしたいと思いました。以下、3つの理由からです。


1.簡単ですぐに実践できそうだから

私は本書を一読して、これらのライフハックを試すのは簡単そうだと感じました。ハードルが低いから、すぐにでも実践できそうなものが多いです(設備投資に関しては、お金もかかるので、すぐにとは言えませんが)。

「サバイバルとはよりラクに、より快適に、より優雅に生きられる環境を自らつくり上げていくこと」……そう、借金玉さんは語ります。木の皮や泥水をすするような苦労をしなくてもいい。具体的な工夫やノウハウを取り入れることで、人生をラクにすることをめざしています。

意識の高い自己啓発本を見ると、ゲンナリしてページを閉じたくなりますが、意識の低い本書は、グイグイ読み進めたくなりますね。

「意識が低いままの自分でいいんだ…」と、安心できる本です。


2.やる理由に説得力があるから

47種類のライフハックそれぞれに、試すべき理由がちゃんと説明されているのも、ポイント高いです。説得力があります。

私はASDのせいか理屈っぽいところがあり、「このライフハックをやりなさい」とだけ命令されても、「えー!何で?」と反発したくなります。ところが本書では、そういった気持ちが、ほとんど起こりません。

しかも本書は、味わいのあるイラストで図解されています。具体的なグッズも紹介されているから、イメージしやすいです。


3.文章が上手くて心動かされるから

借金玉さんは、すごく文章が巧みです。もうそれだけで、本書を強力にプッシュしたくなります。ユニークだし、リアリティもあるけど、何よりもいいのは、文章のすみずみまで貫かれているメッセージ。

「あなたはあなたのままでいい」

当たり前のことができない私にとって、この当たり前すぎるメッセージが、何よりもズシリと響きます。

発達障害者に向けて書いているというより、ひとりの困っているあなたに向けて語っているという姿勢が、またいいですね。励まされます。

私は本書の肝は、「CHAPTER8 うつ」と「おわりに」の部分にあると、思わずにはいられません。

まとめ

『発達障害サバイバルガイド』(借金玉:著)を紹介しました。

自分を変えるのでなく、やり方・道具・環境を変えることにより、生きやすくなるのをめざすライフハック本。

  1. 簡単ですぐに実践できそうだから

  2. やる理由に説得力があるから

  3. 文章が上手くて心動かされるから

以上3つの理由から、自信をもって本書をイチ押ししたいです。


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